都下を流れる多摩川の河川敷には捨て猫が絶えないのだと言います。捨てられた猫たちの過酷な運命は言わずもがな。でも前回紹介した「おじさんと河原猫」はそんな猫たちの世話をする貧しく病弱なおじさん2人と猫たちの絆を中心に展開する。
おじさんと出会えた猫たちは幸せだったけど、運命はそんな猫たちの小さな幸せすら奪うかのように、台風19号による多摩川の氾濫を引き起こしたのでした。それから年月が過ぎ静けさが戻った多摩川の河川敷には、今も捨て猫が絶えないであろうことを忘れないようにしたいと思います。
店で一時代を築いたリードの達人テンちゃん
前々回のわが子を託しに来て最後に力尽きたノラのお母さんの話、そして前回のホームレスのおじさんと捨て猫たちの話、どちらも事実を淡々と描いているだけなのに読めば何かを感じざるを得ない。それは話のテーマ自体が教条的な要素を含んでいるからです。話の裏側に見え隠れする人間の悪徳を意識せざるを得なくなる。そして、これでいいのかと訴えかけてくる。
でも、思い出してください。第4話のマリの話。佐竹さんの脚色や文章力だけではありません。哀愁とささやかな幸せ。マリだってもともとは捨て猫でした。なのにその話は教条的なものが影を潜め、掛け値なしの愛に満ちている。千鶴子さんの不変の愛です。だから読後に心がほっこりと癒される。
今回紹介するお話は再び佐竹さんの登場。今もsippoやフェリシモ猫部に連載書いてますが、どの話もひたすら猫愛に満ちている。周囲の人たちの愛があれば、ノラだってこんなにも幸せになれる。東京は新宿区の住宅街に暮らす老猫ピーちゃんのお話です。ピーちゃん、何と28才に!?
テンちゃんは佐竹さんの取材を受けたけど、病気療養のため中断した
そのとき佐竹さんのお話を伺って以来、店のスタッフは佐竹さんの大ファンになった