寝転んで空を見る

山高きを厭わず 海深きを厭わない

秋の槍ヶ岳と涸沢を目指して 2nd Day 前編

2012年10月11日 | 2012北アルプスの旅

10月5日、AM4:30に起床。

前夜の夕食時に作り置きしておいた『山菜おこわ』を食べる。

勿論、冷たいし、硬くなっていて今一ならぬ、今三のお味。

AM5:30を回ると、テントの中も明るくなってくる。

外へ出てテントを撤収。

天気予報では『晴れ』のはずが、空は雲に覆われ今にも雨が降りそうな天気。

隣のテントの『おっちゃん』が出てきたので、挨拶を交わす。

『おっちゃん』は天狗原へ向かい、そこから中岳・大喰岳・槍ヶ岳と縦走して、ここ槍沢へ戻るそうだ。

と、言う事は、俺と何処かで再会する事になるはず。

先発したおっちゃんに遅れる事30分位だろうか?俺も重たいザックを背負い歩き出した。

 

本日のメインイベントは勿論、槍ヶ岳登頂。

宿泊地は南岳となる。

山と高原の地図によるコースタイムは以下

槍沢キャンプ地→1:00→大曲→1:00→天狗原分岐→2:10→殺生ヒュッテ→0:40→槍ヶ岳山荘→0:30→槍ヶ岳山頂

→0:30→槍ヶ岳山荘→2:30南岳

今日は、ちょいと多目の合計歩行時間8時間40分(槍の山頂往復を除けば1時間マイナス)

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歩き出して1時間もすると雨が降り出してきた。

もうテンションガタ落ち・・・。

モチベーション崩壊。

『気象予報士の野郎・・・嘘つきやがって~』と、

今日の天気を『晴れ』との予報を出した顔も知らない相手に怨み節を言いながら登っていった。

雨はパラついては止む事を繰り返し、おまけに西から吹き降ろす風は非常に冷たい。

雨と寒さ+風で指先が痛い。

グローブ2枚をはめても、その痛みが無くならない。

この天候じゃ山頂には立てないのじゃないだろうか?

そう思いながらも、何とか足を前に出し登っていった。

 

こんな状況でも俺に力を与えてくれる物がある。

それは槍沢の紅葉とチューイングキャンディー『カムカム』。

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『カムカム』の酸味が~って、カムカムの話は置いておこう。

この紅葉に力をもらい、『若しかしたら晴れるかも』とポジティブな気持ちを何とか持ち続け登る事ができた。

たまに、雲の切れ間から太陽光が射せば、紅葉は一段とその色彩を増して元気を与えてくれた。

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自分を奮い立たせ登っていると、昨夜槍ヶ岳山荘に泊まった登山者が、すれ違いざまにこんな言葉を残していく。

『今日は何にも見えなくてダメだね』

『昨日の方が天気良かったね』

登っている人間に、そんな事言うなよ!

寒いし、登っても報われないのかと思うと、もう、泣きそうな気分だった。

好天時なら槍の穂先がドーンと見える所まで登ってもこんな感じ↓

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しかし、その時、雲の切れ間に空の青さが一瞬見えたかと思ったったら、一気に雲が流れ出し青空が俺の頭上を覆った。

そして、纏っていた雲を脱ぎ捨て、槍がその姿を現した・・・

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槍ヶ岳3180m

なんて、『じらし上手さん』なんだろうか。

『どSさん』と言わせてもらおう。

恋愛上手の性悪女みたいな手を使いやがる。

しかも、この美貌でだ。

もう、メロメロです・・・

 

この姿を見ただけで力が湧いてくる。

体中の細胞が震える!

心が踊る!

笑っちゃう位、元気が出てくる。

『やっぱり槍が一番好きだな、剱や穂高よりも槍ヶ岳が好きだ!』

そう声に出して一人呟いた。

もう、寒さも感じない、指も痛くない。

今からだって富士登山が出来るくらいの力が満ち溢れてる。

 

『山を登る為に一番必要なのはこれなんだ』と改めて思った。

どんなに体力があったとしても、景色風景に感動できる力が無ければ山は登れっこない。

ワクワクする力が無ければ冒険は出来ない。

自分にその力がある事が嬉しくて、目頭が熱くなった。

 

山岳天気予報の気象予報士を信じて良かったー!

えっ?

 

                                                    つづく


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