外は雨。
シトシトと薄い水の膜を張ったように静かに降り注ぐ雨は風情もあって意外と悪くない。
ただし安全で快適な部屋の中から外を眺めての事、という状況に限る。
自分は雨が苦手。
濡れるのがイヤだし傘を持って片手がふさがるのがイヤ、とにかく何かとひと手間増えるのが面倒でイヤ(我ながら筋金入りの面倒くさがり笑)。
なので雨の日はできるだけ外出しない。
日常的な雨ならまぁ笑い話ですむけども、ここ数年のめちゃくちゃな豪雨には恐怖感しかない。
特に夜の雨は怖い。
朝になると世界が変わってるかもしれないから。
10代前半の頃、住んでいた地域が台風豪雨で壊滅的な被害を受け、その後だいぶ離れた土地に集団移転した経験がある。
ありがたいことに自分家は事なきを得たけれど、嵐の夜が明けたら谷を挟んで向かいの山の斜面に建っていた家が流されていた。麓の川沿いでも道路や建物の流失があったらしく、夕方からずっと、父や近所の男親たちは集落の家々の被害対応で出ずっぱり。夜の雨の中、危険な救助作業も行なっていたようだ。
当時の様子を記録していた父のメモを読むと、少ない人手で移動が不便な山間地域をケアし対処せざるを得なかった状況がよく分かる。もしかしたら二次災害が起こってその後の人生が全く違ったものになっていたかもしれない。そう思うと今でもゾッとする。
そして台風一過。茶色い土とゴロゴロの石が混ざりあってむき出しになっていた向かいの斜面は、あっという間に草が芽吹いて緑で覆われ始めた。
変わり果てた景色がさらに新しく変わろうとしている。
自然の力の恐ろしさと、それに反作用する逞しさを目の当たりにして、子供心に純粋にスゴいなぁと感じたのを覚えてる。
今日も、恵みをもたらし災害を運び季節を分ける雨が降る。
破壊と再生を繰り返す自然の循環の中に、人間の感情が忖度される余地なんか全然ないんだなと思い知らされる。
いろいろ詳しく思い出してたら今更のように恐怖と不安がぐるぐるしてちょっと泣きそうになる。
今も大変な思いをしてる人たちを思うと言葉にならない。。。