羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

白いオブジェ 20の物語ー象山隆利展

2008年12月20日 09時07分05秒 | Weblog
 昨日、「象山隆利展」を見に、青山に出かけた。
 ギャルリー・ワッツの入っているマンションは、ワンルーム空間をいかした小さくも個性的な店がならぶ超ミニバザールといった場だった。
 洋品店、といっても普通に着られない服?
 アンティークな飾り物の店?
 そのなかにこの画廊はある。

 通称246の沿道を一歩入った住宅地。
 昔は静かなお屋敷街だった。今では飲食店やブティックや雑貨店が街のあちこちに点在している。それもかなりの数が‘軒並み’といった状況だ。
 ここ南青山界隈は、なぜか優しさとよい意味での幼さが交じり合っている。

 一つの路地を抜け、また次の路地を歩いていると、金融危機に伴う不況下で正社員までリストラにあい、内定が決まった学生には一通の葉書で‘内定取り消し’が伝えられ、大企業も業績悪化の一途にある、といった連日のニュースを忘れさせてくれる。‘不況’の文字と‘未曾有’の文字が飛び交っている現実から、ちょっと逃避できるような雰囲気がある。
 ただし、これは青山には日ごろからなじみがないエトランジェゆえの印象かも。

 前置きが長くなった。
 今回の個展は、今までになくあたたかだった。
 これまでは大きな作品を見せてもらっていたからだろうか。
 この作家のなかに、もうひとりの違った顔の人格を見せてもらった。
 一つひとつがそれぞれの物語を紡ぎ出してくれる。
 宇宙からのポエムあり、モンゴルの草原からの風の便りがあり、水の波紋がギリシャ神話を思い起こさせ、エベレストの頂上で宇宙から飛来した未知の生物が地球を見下ろしていたり、ブラックホールに吸い込まれるまで止まることのない時計の物語があったり、古代の生物が語る歴史は‘あんたたち人間が想像しているよりもっと豊饒だ!’といっているようだったり、子どもが忘れ物をしておっかけていく乗り物があったり、気にくわないことがあって心が尖がってしまった子どもがいたり、……、大人に聞かせる童話の世界を彷彿とさせてくれる。
 そうそう、蓑虫がいたなぁ~。いつまでも殻に閉じこもって、家から出ない。でもそれだっていいじゃん! いつか、必ず外の空気を吸いたくなるのが人ってものさ、たとえその時が死ぬ間際であっても。

 とにかく楽しかった。
 その足で、表参道から青山一丁目を通り越し、外苑の競技場を左手に千駄ヶ谷まで30分ほど散歩して、電車に乗って帰宅。
 久しぶりに文化圏の異なる街に身をおいた初冬の午後を過ごした。
 
 尚、「象山隆利展」は、本日17時まで。
 南青山5-4-44 ラポール南青山#103
 ギャラリーワッツ
 電話:03(3499)2662
 http://www.wa2.jp
  
コメント (3)
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