羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

8月の風と夕暮れの光線

2014年08月22日 08時37分19秒 | Weblog
 桜の木の下で、目を閉じたままからだを包むように過ぎていく風を感じていた。
 とっぷりと日が暮れるには、しばしの時間があった。
 耳にはヘッドホーン。iPhoneに入れてある曲を無作為に選び出す。
 ヴァイオリン、ピアノ、チェンバロ、ハープ、エレキ楽器、テノール、カウンターテナー、……時の過ぎ行くままに、音楽に身を委ねていた。

 久しぶり。
 何も考えず、何もかも忘れて、流れてくる音楽に心の重心を落としていく。
 午後2時間の大学体育指導者講習会も無事に終えて、11月に本番を迎える演劇の立ち稽古も見させてもらった。
 すでに明大シェイクスピア・プロジェクトの稽古ははじまっている。週に2回、午前中に指導している野口体操は、その日は休ませてもらった。
 
 6時すぎからはじまる懇親会までには、たっぷり時間があった。
 和泉から高円寺までは近い。一旦、自宅に戻って、出直すこともできる。
 でも……、神様からいただいた真っ白な時間を自分のためだけに味わわせてもらおう、と決め込んだのは2時間くらい前のこと。
 こんな過ごし方は、20代の頃、たった一人で古都を旅したとき以来かもしれない。

 稽古場を出て、図書館一階にあるカフェでお茶をすすりながら、外を眺める。
 夏休みでも部活動やサークルの稽古があるのだろう。帰っていく学生、来る学生。三々五々、行き交う学生の姿をぼんやりと見つめていた。
 ふと、少し離れたところにある桜の下で、音楽を聞いてみたくなった。
 春には満開の花で新入生を迎える庭。
 今は真夏の青々した葉を茂らせている。
 木々の間を抜ける風に、音楽の取り合わせは、極上の味だった。

 さぁ~、会場に入ろう。
 校舎のエレベーターに乗り込んだのは、6時15分を過ぎた頃だった。
 到着した6階から眺めた町は、昼と夜が交叉する夕暮れの柔らかな光に包まれていた。
コメント
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