午前11時から夕方4時まで、はじめの予告編と途中休憩10分を抜いて、4時間37分の上映時間中、一瞬たりともスクリーンから目を離すことができなかった。
全て実写である。
それも4Kリマスター版という好条件・音声、ナレーションも聞き取りやすい。適所で挿入される邪魔しない音楽等々。グイグイと惹きつけられ、観続けることができるのだ。
時間の経過の中で、「何を裁こうとし、(恣意的に)何を裁こうとしなかったのか」次第にはっきり見えてくる。
色々と書きたいことはあるけれど、ここがいちばんの大事なところなのだ。
裁判だけではなく、世界情勢や戦争の実情を、記録映像によって映し出し、世界の中で、明治以降、日本が行なった戦争の近現代史をしっかり学ぶこともできる。つまり歴史を知ることの本当の意味、そして日本の戦争を実感として得られる。それは、広い視野を持って、今、これから、を考える視点を、理屈抜きに持つことに通じている。
小林正樹監督は、戦争のおそろしさ・むなしさ・おろかさを、この作品の前に作られた映画で描き出してきたという。
それを経過して、最終的に作られた『東京裁判』。残された実写記録をどのようにまとめるのか、このドキュメンタリーを完成させた監督と監督を支えた人々のすごさは、映画を見ていただくことでしか伝えられない。
戦勝国に裁かれた敗戦国の人間・日本人としての矜持が隅々溢れているのだから。
何度か繰り返して見ないことには消化しきれないが、戦後の日本がここから始まった重さをズシリとからだに刻み込むことだけはできた、と思う。
とにかく凄い、凄すぎる。
最後に、偉そうな物言いをお許しいただこう。
「それそれの人が映画館に足を運んで、あなたの目で見て欲しい!あなたの耳で聞いて欲しい!」と。