6月4日の朝カル・オンライン「野口体操講座」の準備で、『原初生命体としての人間』から「呼吸」に関する記述を抜き出している。
テーマを『「痛み」と「動き」と「呼吸」』する予定で始めたからである。
最初のページから「呼吸」の文字を拾いながら、全編を通うしてみた。
すると思ってもいなかったところに呼吸に関する記述を見つけて、これまでも読んでいたはずなのに、野口三千三の「呼吸」に対する深い考えを理解していなかったことに気づかされた。だからと言ってすべてを理解したということではない。まだまだであるのだが。
それでも、1972年当時の「呼吸」の捉え方と、1986年6月26日付けの「呼吸における基礎感覚」野口三千三手書きによる「A4 一枚」にまとめられた語録集と比較してみると具体的になった「呼吸」が読み取れたのだった。
その作業をしながら、ふと 思った。
自分用にその他の言葉で「索引」をつくってみようか!
そうすることで、野口三千三が生涯を通してご自身の体操に何を求めていたのか、それがより明確になるような気がしてきた。
「呼吸」だけでもかなり興味深いのだから、他のキーワードを選びだして索引づくりをしたら、野口体操を深める一歩になるかもしれない。
見出し写真は、三笠書房版 6刷りに当たっていただいたサイン入りの本である。
文字は「甲骨文」まじり。
当用漢字では、次のように置き換えられる。
〈捧げる 羽鳥 操 様 第六刷 に当って 野口三千三〉
奥付には1979年とあるから初版から7年後である。
美しい!
そして、今、ようやく私の野口体操の緒につくことができた思いの中で、残された時間が少ないことに愕然としている。
ようやくわかり始めたことがあるが、73歳という年齢はあまりにも遅い、と嘆息。
ようやく それでも「痛み」「動き」「呼吸」を通して、野口三千三の身体実感に迫れるような気がしている。ただし「内臓」の問題ではなく、運動系の問題として。
そう言えば、こんなことがあった。
野口三千三没後のこと、見ず知らずの男性から電話が入った。
「僕は、孫弟子くらいの方に野口体操を習いました。紹介された『原初生命体としての人間』を読みました。すべて野口先生の実感をもとに書かれている、とその人から言われましたが、本当でしょうか。真面目に体操を習い、真面目に本を読んでいるうちに、社会生活が出来なくなりました。
本部はどこですか。こうなってしまったことを、どなたが責任を取ってくれるのですか」
1時間ほどおっしゃることを聞き続けました。
その時、どのように返答をしたのかはっきり覚えていない。
それでも最後はお礼を言って電話を切ってくれた。
体操を身につけ、深い理解までいかなくても一冊の本を読みこなす、ということは難しい。
今、言えることは、ただ それだけ。