昨日、朝日カルチャー「野口体操講座」日曜クラスのレッスンがあった。
先日来、このブログでも紹介している青柳茂男氏からいただいた『現代の眼』1967(昭和42)年9月号を持参した。
この月刊誌に掲載された野口の評論は、5年後に同じく青柳氏の編集で三笠書房から『原初生命体としての人間』として単行本として出版され、第一章にほぼそっくり収録された。
さて、昨日のテーマ:解剖学の視点から『骨格と伸筋・屈筋の関係』をはじめに説明した。それを踏まえて、野口三千三の『体操による人間変革』から「動きが成立するための条件」(およそ3000字)を取り上げた。
ここでは、「腕立て伏臥の腕屈伸(腕立て伏せ)」を行うとき、腕を曲げるときにはたらく上腕二頭筋(屈筋)と、伸ばすときにはたらく上腕三頭筋(伸筋)の拮抗筋の関係を通して、解剖学の言葉にまどわされない野口体操の基本理論の根拠となる実感を得る実験を含んでいる。
そこから導かれる一つ目の結論は
《最大量の力をだし、最高速度や持久力を求めるためには、それぞれの瞬間には全身の筋肉のうち、少なくとも半数の筋肉は完全に休ませなかればならない》
この部分、三笠書房版では少し整理されているが、初出の文章にかえって読んでみると野口三千三が苦労しながら言語化した痕跡がそこここにあって、その苦労を追体験する感覚を重ねて読んでみると「なるほど」と納得がいく。
そこで昨日は、野口体操の理解が深まって成長著しいMさんに「腕立て伏せ」をやってもらいながら、センテンスを区切って3000字ほどの文章を朗読し、多少の解説も加えながら、見て聞いてそれぞれの感覚に落とし込んでもらいながらレッスンを進めた。
このテーマに40・50分以上の時間をかけた甲斐もあって、最初は何のことやら戸惑いの表情だったが、最後には「分かってきたーッ!」と、表情が大きく変化していた。
もう二つ目の結論:動きが成立するための条件ー最後にある「休む」(完全に力を抜く、完全に緊張を解く、よくほぐれている)ということを重要視する野口体操の真髄に触れられた、という反応が返ってきた。
レッスンが終わって、雑談時間にある方が一言。
「月刊誌だけに終わらせないで、三笠の単行本につなげてくれたことは、快挙ですよね! 昭和42年当時、『現代の眼』の読者がこの文章をどれだけ理解したのか、むにゃむにゃむにゃ・・・・・」
以上、昨日の報告でした。
今週の土曜日に、もう一回取り上げてみたい。