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地下鉄都営新宿線・森下駅を降り立って新大橋方面に向かって歩き、橋の手前を左折する。しばらく行くと「江東区芭蕉記念館」がある。
この記念館のなかに図書室があって、そこで小一時間をすごした。
大学の図書館でも事足りたかもしれないが、やはり芭蕉が息をしていたその場所で、調べ物をしたかった。それは正解だった。
コピーをとってもらい、丁寧にお礼を言って庭にでた。
小さな庭園だが、芭蕉が句に詠みこんだ草木を植え込んで、丁寧に木の札に名前がしるしてある。ひとつひとつを読みながら、見ながら一歩ずつ歩みを進める。
築山はかなりの急勾配である。大きな石を中心に、大中小の石を池を渡るように按配よく配置してある。
きっと芭蕉が旅をしながら登ったであろう名跡を、象徴的に模しているに違いない。ここには小さいながら「風雅」が映しだされている。
登りきると、そこには芭蕉庵らしきものが建っている。中には芭蕉翁坐像に花と果物が供えられていた。季節柄イガのなかから栗の実が顔をのぞかせている。
灯明や線香はないけれど、なんとなく手を合わせてしまう自分に、苦笑した。
その建物から少し身をズラすと、隅田川が望める。
水量も多く、海に近づく川幅は広そうだ。
目を閉じて、空気とともに水の匂いが鼻腔の奥にたどり着くのを味わったその瞬間に、網膜に先ほど目にした芭蕉自筆文字が浮かび上がった。
「肉筆はいい!」
この記念館のなかに図書室があって、そこで小一時間をすごした。
大学の図書館でも事足りたかもしれないが、やはり芭蕉が息をしていたその場所で、調べ物をしたかった。それは正解だった。
コピーをとってもらい、丁寧にお礼を言って庭にでた。
小さな庭園だが、芭蕉が句に詠みこんだ草木を植え込んで、丁寧に木の札に名前がしるしてある。ひとつひとつを読みながら、見ながら一歩ずつ歩みを進める。
築山はかなりの急勾配である。大きな石を中心に、大中小の石を池を渡るように按配よく配置してある。
きっと芭蕉が旅をしながら登ったであろう名跡を、象徴的に模しているに違いない。ここには小さいながら「風雅」が映しだされている。
登りきると、そこには芭蕉庵らしきものが建っている。中には芭蕉翁坐像に花と果物が供えられていた。季節柄イガのなかから栗の実が顔をのぞかせている。
灯明や線香はないけれど、なんとなく手を合わせてしまう自分に、苦笑した。
その建物から少し身をズラすと、隅田川が望める。
水量も多く、海に近づく川幅は広そうだ。
目を閉じて、空気とともに水の匂いが鼻腔の奥にたどり着くのを味わったその瞬間に、網膜に先ほど目にした芭蕉自筆文字が浮かび上がった。
「肉筆はいい!」
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