羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

織物

2022年04月23日 09時43分30秒 | Weblog
本日の朝日カルチャー野口体操講座では羊毛、絹、綿、織物の手触りの違いを触っていただきます。
ギャッベ(羊毛絨毯の原型)布、紬布、ラオス綿布です。
この写真は、龍村美術織物製でお土産用の小銭入れです。
紋様は、667年中国新疆省トゥルファン地方の遺跡から出土したものと同じで、日本には飛鳥時代に伝えられた「蜀江錦(しょこうきん)」の紋様の一部。
現在は東京国立博物館・法隆寺献納宝物館所蔵。
赤地に二重格子の中に連珠を伴う華文と忍冬文(ギリシャ由来のスイカズラ紋様)によって構成されている、と説明書にある。

いささか遠回りになりますが、糸や布や染色、そして織物に触れることでわかってきたことに触れたいと思っています。
中心テーマは、野口三千三が生まれ育った環境の中で培われ、それを生涯にわたって持ち続けた観察眼についてです。


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「たばこと塩の博物館」「塩袋と伝統のギャッベ展」解説

2022年04月22日 13時22分26秒 | Weblog
この博物館での「塩袋」の展示は、今回で三回目だそうだ。
まずは解説書から紹介しよう。

「塩袋からギャッベに至る道」〜担当学芸員からみた開催の意義〜
「たばこと塩の博物館」 主任学芸員 高梨浩樹

実は、明日の朝日カルチャー野口体操講座・土曜日クラスのレジュメをつくるために、高梨さんの解説を丁寧に読み込んだ。
家畜のための「塩袋」や絨毯の原型tなる「ギャッぺ」の力づよく大らかで自由奔放な紋様と色彩の世界に心ときめいたが、それと変わりなく解説にもワクワクした。
この展示のものたちから高梨さんが考察した内容は、野口体操の価値観をそのままなのだから。

そもそも「塩袋」は、山羊や羊たちを「塩」の匂い引かれて人間の後からついてこさせるためのもの。これは草食獣を“物理的なヒモ”ではなく“生理的なヒモ”でつなぎとめる必需品であるという。

そうした遊牧民の暮らしの価値観について高梨さんはこう指摘する。
遊牧にとって大切な技術は道具(モノ)にあるのではなく、刻々と変わる家畜の様子を漏らさず観察し、いま何をなすべきか判断して実行できる能力であって、心や身体に「身についた」智慧や技法(コト)のほうにあると考える、と。
自分の「外」にある技術や道具に頼る文化ではなく、自分の「内」に身についた智慧や技法を重視する文化なのではないだろうか、と指摘する。

いやいや、まさに野口三千三の発想に通じる解釈である、と思いませんか?
自身がものから直接に感じとったコトを、客観よりの主観を大切にして言葉にして解説書に書き込む姿勢こそ「野口体操」そのものなのだ、と申し上げたい!

・・・・野口のテーマでもある「モノ」と「コト」の本質を言い当てている!・・・・と。

そういう観想を引き出すのが、塩袋やギャッベの紋様と色彩の世界なのだ。
遊牧民の女性たちは10代のころから自由な発想を織物に込めていく技を身につけるそうだ。実際に子供が練習に織ったギャッぺも見ることができる。稚拙は残るがそれがなんとも愛らしい。

この絨毯の原型となるギャッベには、花々、薔薇、生命の木、ライオン、人、お守の象徴、サソリ、男の力(富)、鳥、孔雀、吉祥紋・・・・・、あげたらキリがない。身近にあるものから想像の世界まで、大胆にまた細やかに織りあげている。
小さなものから長さが2メートルを超える大きなものまで、大きさも様々。
作られた年代も1880年、1900年から1980年およそ100年前のものも見られる。
色褪せぬ植物染色、中には鉱物もあるけれど、赤・橙・青・黄・黒、生成りが描く紋様は夢があって楽しい!

それらは見せるためではなく日常使いの必需品だ。
こうした素朴であたたかみがあふれる品々に囲まれていると、幸せな情感に浸ることができる。
国境も超え民族も文化も超えてしまう大らかさこそ民具なのだと思う。

5月15日まで、「たばこと塩の博物館」で開催されています。
足を運ばれてはいかがだろう!
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たばこと塩の博物館「塩袋と伝統ギャッべ展」

2022年04月20日 16時50分21秒 | Weblog
本日、4月20日 日経新聞朝刊「文化」掲載の「塩袋に描く遊牧民の美」丸山繁を読んで、午後から墨田区横川にある博物館をさっそく訪ねた。

『イランを中心とした西アジアには家畜を飼い移動しながら生活を営む遊牧民が存在する。』
冒頭はこんな言葉から始まる。

その家畜を飼うための必需品が「塩」とそれを入れて運ぶ「塩袋」だという。
遊牧民は生きるために必要な塩を与えることで、家畜をつながなくとも逃げない状況を生み出している。ヤギや羊は人間と共に生きることで塩がもらえることを知っているからだ、という。

写真にもある塩袋は、匂いに引かれてくる羊やヤギの頭が勝手に入らないために上部を狭く作ってある。
展示会場にはいくつもの「塩袋」が展示されている。
どれも可愛らしくあたたかい。生活の中にある民具として逸品揃いなのだ!

そして圧巻なのは、「ギャッべ」と名付けられた100年〜数十年前に織られ使われた絨毯を中心とした遊牧民染色品たちである。
赤(茜の根、茜)、青(インディゴ)、茶(玉ねぎ)、鉱物(鉄鉱石他)自然染色の鮮やかな色は、時間が経過しても色褪せない美しさを保っている。

紋様は、花、動物、幾何学、波、水、生命の木、と現代美術家も真っ青になりそうな意匠ばかり。
雨乞い、生命讃歌、魔除け、幸福といったどの民族にとっても普遍的な祈りが、太い羊毛の糸で自在に織り込まれている。

素朴で、大胆、加えて繊細な緻密な織り込みもある。
厳しい自然環境の中で生きる遊牧の民の息遣いが、紋様と色からグングンと迫るように伝わってくる。
5月15日まで開催されている。

また「たばこと塩の博物館」の常設展示である「塩」と「たばこ」も見逃せない。

GWの穴場かもしれません。
おすすめでありまーす!


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某女性週刊誌の取材

2022年04月14日 04時32分11秒 | Weblog
昨日、4月13日午後のこと。
『「野口体操」ふたたび。』がきっかけで、「野口体操CH」や羽鳥のブログ、HP等々、調べていらした女性週刊誌の取材を受けました。

1時間ほど座敷で話をした後、お蔵スタジオで動きの写真撮影。
ふたたび座敷戻って30分ほど話をして終了。

市民演劇の脚本、演出を手がけ、俳優さんに表現ワークをおこなっている女性に助手をお願いしていました。
舞台づくりのセンスでフロアーディレクター?をしっかり引き受けて、さらにご自身と野口体操の関わりについてもインタビューにとてもいい話をしながらしっかり答えてくれました。

「今日は贅沢な取材をさせていただきました!」
ライターさんは言葉を残してカメランマンさんと我が家を後にされました。

詳細はあらためてお知らせします。

写真は、お土産にいただいた花ですが、ブルーの花瓶があればウクライナカラーにはなったのですが……。いただいたままで撮影しました。
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『「野口体操」ふたたび。』世界文化社 レビューのお願い

2022年04月05日 09時46分49秒 | Weblog
この本の発売から、10日ほどの間に、たくさんの感想をいただきました。
「野口体操を見直した!」
「野口先生はすごい先生だった!」
「習っていた頃の教室が目に浮かんで懐かしかった!」

野口体操を経験していらっしゃる方々からのメッセージからは、とても深く本を読んでいただいていることがビンビンと響きました。

そこでお願いです。
レビューをお書きいただいてもいいですか。
実は、朝日カルチャーセンターの野口体操講座を受講される方々は、ほとんど本を読まれています。
野口体操をよく知らない人たちに読んでいただきたい。
その一心で書き上げました。
からだが潜める可能性、感覚を豊かに育てる野口体操の扉を開けていただきたい。
1行でも結構です。ご記入ただけると嬉しいです。
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