ヤマサの工場群を掻きわけてガタゴトと2両編成がやってきた。この車両は伊予鉄道から嫁いで来た。
この車両の鮮やかな塗装は空の青、波の白、海の紺碧ってところか、なかなか洗練されているね。
JR総武本線の終着駅・銚子、電車を降りた2番ホームを前方へ進むと尖り屋根のゲートが待っている。
そこが銚子電鉄の乗り場だ。
銚子を発って2つ目の観音駅、3つ目の本銚子駅が旧市街に隣接している。
全国屈指の水揚げ量を誇る銚子漁港を抱えて、市内には新鮮な魚を提供する店が多い。
本銚子駅を途中下車して5~6分歩いて旧いアーケードの通りにチェックしておいた「喜可久寿司」を訪ねる。
ご自慢の "サンマの押し寿司" をいただく。旨い肴だ。見た目も食感もプリンのような "伊達巻" も楽しい。
ところで本銚子駅は、テレビ番組の企画でタレントのヒロミがリフォームしている。
ボロボロだけどノスタルジックで味のある建物は、レンガ調の外観に生まれ変わり、壁にはステンドグラス、
梁にはランプが掛かるモダンな駅舎になった。喜ぶ地元の方々と鉄道関係者、大ブーイングの鉄道ファン、
物議をかもしたっけ。そこに生活し、利用するひと達がハッピーになれば良いんじゃないかな。
南欧風の犬吠埼駅に降り立つ。待合室は銚電グッズや土産物に溢れ、老若男女、観光客でごった返している。
メディアにも登場する "ぬれ煎餅" や "まずい棒" は、資金難の銚子電鉄の救世主でもある。
紺碧の海を背景に、白亜の塔から満艦飾のような信号旗が風にはためきながら左右に延びている。
岬に高くそそり犬吠埼灯台は、高さ32m、レンガ造りの西洋式灯台、銚子のシンボルだ。
傍らの遊歩道に「犬吠埼・ロカ岬友好記念碑」を見つけた。
銚子市とポルトガル・シントラ市は同緯度に位置し、2つの岬は友好関係にあるそうだ。
ところで、INUBOW TERASU TERRACE には地ビール醸造所が入っている。
"銚子エール" の香りと苦味を愉しみながら、丸みを帯びた太平洋を眺める。潮風が心地よい。
2両編成の電車がゆっくりと、かなり大袈裟に揺れながら最後の坂を上ると銚子電鉄の旅は終わる。
終点の外川駅、駅舎も赤いポストも引き込み線で古びたデハ800系も、映画のセットになりそうだ。
昭和ノスタルジーに浸りながら、僅かな休息で折り返す電車で吞み人も銚子へ戻るのだ。
銚子電鉄 銚子~外川 6.4km 完乗
天使 / 甲斐バンド 1980
お出かけの日も晴れると良いですね。
楽しんでいらしてください。
いつも有難うございます。