[ルポ] 地雷原、「ウィーン…」轟音の中の風景は不思議に平和だった
登録:2018-10-03 22:00 修正:2018-10-04 06:56
登録:2018-10-03 22:00 修正:2018-10-04 06:56
DMZの高地地雷除去作業
11月まで地雷除去作業、その後に遺骨発掘
20キロの装備が重く、10~15分で作業交代
韓国軍200人、フランス・米軍100人の遺骨収集を推定
2日、江原道鉄原郡の第5師団近隣の非武装地帯で、軍人が地雷除去作業をしている。南北は軍事分野合意書で10月1日から20日まで板門店の地雷から除去することにした=共同取材団//ハンギョレ新聞社
南北共同遺体発掘事業が本格的に幕を上げた翌日の2日午前、江原道鉄原郡(チョルウォングン)大馬里(テマリ)の非武装地帯(DMZ)内「矢じり高地」の頂上から北側に稜線が続く所。地雷探知装備で重武装した将兵7人が並んで立ち、周辺の土地を隅々まで探知していた。最前面に地雷探知装備の“ショーンスタッド”を持った将兵が周辺の地下をくまなく探知して通過すると、すぐ後には“草刈機”を持った将兵が生い茂った草を短く刈って視野を確保した。また、すぐに「地雷探知機」運用兵2人と「空気圧縮機」運用兵1人、また別の地雷探知機運用兵1人が後に従った。彼らは地雷と疑われる物体が探知されると標識だけを付けて、地雷の確認および除去は別の爆発物処理班が来て実施するという。
ショーンスタッドは地中深く3メートル下までの金属を探知できる装備だ。現地部隊の指揮官は「ショーンスタッドには“M14対人地雷”が探知できないという短所がある。そこでショーンスタッドでまず探知した後に、敏感度がそれぞれ違うように設定された地雷探知機で2~3回再探知する」と説明した。別名「足首地雷」とも言われるM14対人地雷は、材質がプラスチックなので金属探知器に反応しない。空気圧縮機は地雷と疑われる物体が捉えられれば、その周辺に強風を噴射し安全に視野を確保する役割を果たす。
これら地雷探知チームの行列の前方には、K-1またはK-2小銃で完全武装した警戒兵3人が配置され、万一の事態に備えていると聞いたが、稜線に隠れたのかその姿は見えなかった。代わりにこれらの行列の後方には、また別の警戒兵3人が小銃で武装し、警戒に立っている姿が見えた。
軍当局が2日、非武装地帯内の矢じり高地で進めている地雷除去作業をメディアに初めて公開した。この日、陸軍第5師団所轄区域にある“57通門”を通過して上がった矢じり高地には“監視警戒所”(GP)がコンクリート要塞のように立っていた。そちらから北側の稜線に沿って眺めると、山を越えて北側の監視警戒所も自然に目に映った。文字どおり南北対峙の最前線であることが実感できた。こうしたところで危険千万な地雷を除去する作業をしているのに、緊張感は全く感じられなかった。空気圧縮機のポンプのモーターだけが「ウィ~ン」という轟音が耳を打っているだけで、暖かい秋の日差しとまだ緑陰あふれる周辺の風景がゆったりと平和に感じられ、かえって奇異だった。
2日、江原道鉄原郡の第5師団近隣の非武装地帯で、軍人が地雷除去作業をしている=共同取材団//ハンギョレ新聞社
南北が共同遺体発掘場所にこの矢じり高地を選択したのは、ここが持つ象徴性のためだ。矢じり高地は海抜281メートルで、ソウルの南山(ナムサン、海抜270.9メートル)と似た高さの比較的小さな山だ。しかしこの日、矢じり高地に上がると、南に広く広がる鉄原平野が一望できた。ここが敵に制圧されれば、鉄原平野が危険になる戦略的要衝という現地部隊幹部の説明に自然とうなずいた。
このような戦略的重要性のために、6・25戦争当時矢じり高地はその東側にある白馬(ペンマ)高地(海抜395メートル)とともに南北間で争奪戦が繰り返された所だ。当時、矢じり高地戦には韓国軍だけでなく米軍、フランス軍、中国軍も参戦した。軍当局は、矢じり高地に埋められている遺骨が韓国軍200人、米軍・フランス軍100人余りになると推定している。
2日、太極旗と国連旗が非武装地帯の矢じり高地GPにひるがえっている=共同取材団//ハンギョレ新聞社
接戦地域であったため矢じり高地周辺には多くの地雷と不発弾も埋まっている。人の安全を脅かす地雷と不発弾を先に取り除いてこそ南北共同遺体発掘を進行できる。現地部隊の指揮官は「ここは計画埋設された地域ではない。味方と敵が互いに牽制するために多くの地雷をばらまいた未確認地雷地域だ。どこにどれほど埋設されているか、全く分からないので一つ一つ確認しなければならない」と話した。
矢じり高地の地雷除去作業は、高地二カ所でなされる。1カ所はすでに将兵が非武装地帯監視のために利用した捜索路周辺だ。矢じり高地の北側稜線につながる捜索路800メートル区間から幅4メートルの範囲まで(800メートル×4メートル面積)の地雷を除去する作業だ。現地部隊の指揮官は「現在、安全に通ることができる捜索路の幅は1~2メートルだ。この幅を4メートルに広げていると見れば良い」と話した。また、山の下方に構築された交通壕周辺の地雷も除去される。交通壕500メートル区間から幅10メートルの範囲(500メートル×10メートル)が対象だ。現地部隊の指揮官は「今回の作業のために3カ月前からここの地形を熟知し偵察するなど、多くの準備をしてきた」として「作業は安全問題を優先的に考慮して進める」と話した。
作業には地雷除去工兵80人が参加する。彼らはすべて1年以上地雷除去作業をしてきた経験豊富なベテランであり、投入される人員の40%が幹部だという。作業は午前2時間、午後2時間、一日4時間ずつ行う方針だ。作業時は安全のために保護衣と地雷靴・上履き、ヘルメット、防弾チョッキ、保護帯など20キロを超える装備を着用する。作業は非常につらいという。軍当局者は「非常に大変な作業なので、通常10~15分程度作業して他の組と交代する」と話した。
地雷除去作業には彼ら工兵だけが参加するわけではない。地雷除去作業中に遺骨が見つかる可能性に備えて、遺体発掘TF13人が待機しており、爆発物処理専門担当EOD(Explosive Ordinance Disposal)チーム4人と、安全事故に備えた軍医官を含む医務チーム4人も常時待機する。また、第5師団捜索隊4チーム24人も警戒チームとして地雷除去作業を支援している。現地部隊の指揮官は「地雷除去作業は11月までに終える計画だ。冬には土地を掘れないので、遺骨発掘作業は来年4月から始まる」と話した。
軍当局は、南北共同遺骨発掘場所のアクセシビリティ確保のための道路開設作業にもまもなく着手する計画だ。新しく作られる道路は、非武装地帯内の“駅谷(ヨッコク)川”を渡る橋の“ピマ橋”から出発し、矢じり高地の東側の麓を走り、軍事境界線(MDL)に至る幅12メートル×長さ1.7キロメートルの道路だ。メディア公開行事があった2日には、道路が始まるピマ橋近隣に赤い旗の標識だけが挙げられていた。
道路開設作業も先に地雷除去が進められた後に推進される。地雷除去作業はまず掘削機で掘った後に地雷探知チームが投入される方式でなされる。現地部隊の指揮官は「防弾掘削機が掘削作業をするが、この掘削機の先は網になっている。地雷が埋まっているならば、ほとんどが掘削機の網に引っかかる」と話した。地雷の除去には工兵30人が投入され、遺体発掘TF、医務チーム、爆発物処理班、警戒チームが支援する。道路開設事業も今年末までに終える方針だ。
南北は1日から各自の地域で地雷除去と道路開設作業をすることで合意した。したがって、北側も地雷除去作業を始めたと推定される。現地部隊の指揮官は「北側から非武装地帯に入ってくる通門地域は、山岳地形に隠れていてこちらから見えない。北側も作業を始めたと推定されるが、肉眼では確認されていない」と話した。
鉄原矢じり高地/パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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