ポーランド映画祭2024で人生で初めて手描きの油絵アニメ「農民/Chlopi」を観ました(2024.11.24)@恵比寿ガーデンプレイス
ポーランド映画祭2024で 日本初公開の手描きの油絵アニメ「農民 Chlopi」を観に行き 人生で初めて「油絵アニメ」を観て手に汗を握り鳥肌が立ち 画面から一時も目が離せず 最後は涙が止まらず大きな衝撃を受けました🎥
Ganz zum ersten Mal in meinem Leben habe ich einen gemalten Animationsfilms (mit den Őlbildern) gesehen, Gänsehaut bekommen, und an Ende mit den Tränen den Film "Bauern(Chłopi)" gesehen...🎥
恵比寿ガーデンプレイス
人生で初めて 油絵アニメというものを観ました
予告編だけは観ていたものの 2時間にわたる長編を油絵でアニメにするということに驚き その労力とエネルギーと情熱に圧倒されました 私も高校生の頃美術部で油絵を描いていたので 信じられなかったのです...
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ノーベル文学賞作家ブワディスワフ・レイモント(Stanisław Władysław Rejment)の小説を原作に 手描きの油絵で描いたアニメーション作品 第96回アカデミー賞国際長編映画賞ポーランド代表作品
原作者ブワディスワフ・レイモンド(1867年~1925年)はポーランドの小説家で 1924年度ノーベル文学賞を受賞
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2017年に油絵アニメ第1作『ゴッホ・最後の手紙(loving Vincent)』を制作したのと同じチームで創りました 今回第2作となる『農民』のオーディオ・ブックをひたすら聞きながら『ゴッホ』を仕上げたそうです あと1作作ってからは実写に戻るとのこと
ロトスコープという モデルの動きをカメラで撮影し それをトレースしてアニメーションにする手法でもって 4年半の歳月をかけ 約100名のスタッフで 計20~25万時間に及ぶ稼働時間を費やして創り上げられました🎥
シナリオを創り ストーリーボードを創り 俳優に演技をさせて視覚効果を加えたフィルムを創ったのですね
結婚式のシーン
主役のヤグナ役は400人もの候補から選ばれました 恋人のアンテック役は第1作でゴッホを演じた俳優
実写から絵画に移し変えるため 100名の油絵画家が3年間にわたり じつに4万枚の油絵を描いたそうです アニメーターではなく油絵の画家が描きました 壮絶です… 映画と絵画を融合させた作品を創りたかったとのこと
また「キーフレーム」という2点の間をアニメーション化してゆく手法で 一筆ずつ動きを描き足しながら次の絵を撮影する手法が取られました デジタル技術を用いましたがAIは使っていないとのこと
19世紀から20世紀にわたる農民文学からなる群集劇であり シナリオは100ページにも及び 共同体の中の異端を描く点では『ゴッホ』と同じですね 破滅からかすかな救いを感じるラストであり 2023年10月にポーランドで上映された時は150万人の観客を動員し 約40ケ国で上映されたそうです
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「ゴッホ 最後の手紙」を創ったチームがそのまま この「農民」を創ったそうで そのチームについてwikipediaにはこうありました:
「映画製作者たちはセルアニメーターではなく古典的な技術を持つ画家の起用を選択した。ウェルチマンは「パーソナライズされたスタイル」のアニメーターを避け、「非常に純粋な油絵画家」である人々を選んだと述べた
制作はグリーンスクリーンで実際にキャストに演じさせて開始された。撮影終了後、各フレームはキャンバス上に投影され、画家たちがそれに合わせて描画した。
キャストの撮影から絵画の完成までの全過程には4年を要し、ウェルチマン自身も「我々はこの120年で最も遅い映画制作法を発明した」と振り返った。」とのこと
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『農民』のWikipediaによると ポーランド リトアニア ウクライナそしてセルビアのスタジオで油絵が制作され ウクライナ侵攻で中断されましたが ポーランドで制作を継続し 電気もない中で クラウドファンディングを募り制作を続けたそうです
実写で観ても圧倒されるポーランドの群集劇を まさか油絵で鑑賞するとは… 実は絵を観るのに忙しくてストーリーが追えないと困ると思い 事前にwikiでストーリーと登場人物をすべてチェックしてから観に行きました ポーランド語は全くわからなないし名前も複雑だし… そのため急展開の驚きはなかったのですが絵に集中できました もっと長くオンライン上映にして後世に残していってほしいと願います
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ストーリー(一部ネタバレあり まっさらで観たい方はお読みにならないでください) ← 絵に集中するために私は事前に英語版Wikipediaでストーリーと登場人物を把握してから観ました 字幕を読む時間を少しでも絵の鑑賞にあてたくて...
秋/ 若く美しいヤグナ(Jagna)は切り紙(making cutouts/ポーランドの民芸品)が上手な村一番の美しい娘 アンテク(Antek Boryna)という青年と恋をするも 彼の父マチェク・ボリーナ(Maciej Boryna)は農村の最有力者であり ヤグナの母親に6エーカーもの土地と引き換えにヤグナを後妻に迎えようとする
アンテクの妻ハンカ(Hanka Borynowa)は土地のことで反対し アンテクも父に抵抗して家を追い出される ヤグナもボリーナを拒絶するが母親に逆らえず結婚する
この結婚式の舞踏シーンがものすごい迫力で 音楽と激しいダンスの動きと これが油絵アニメかと思う程に手に汗を握るシーンだった
ヤグナとアンテクの舞踏のシーンは こちら (音が出ます)
冬/ その後もヤグナとアンテクは密会 しかし地主がオオカミの谷を売り 農民のものである森の木々の伐採権を売り渡してしまう 抗争中にボルニアは大けがを負いアンテクも逮捕される
春/ アンテクの妻ハンカはヤグナを恨み 暮らしてゆくために義父のボルニアから隠しておいた財産を受け取り子供たちを養う(ハンカは家庭を守り農村を経営する堅実な妻)
ヤグナはアンテクの釈放を買って出た市長から辱められ 夫ボルニアも種まきの時期だとベッドから起き出してそのまま亡くなる 息子のアンテクが後を継ぎ権力を手にする なじるハンカに6エーカーの土地の権利書を突き返し家を出るヤグナ
夏/干ばつがリプセの村を襲う ヤグナは農民マテウス(Mateusz)の求婚を拒絶 アンテクは村の有力者となり妻ハンカは巡礼の旅に出る ヤグナは村で完全に孤立し 恋人だったアンテクも彼女を見捨て とうとうある日村人たちの群衆がヤグナの家に押しかけ…
ここまでの展開で 好きでもない男(しかも恋人の父親!)に嫁がされたために なぜヤグナがこれほどまでのひどい目に逢わなければならないのかと思いましたが これは現代ではなく19世紀末~20世紀初頭のポーランドの農村が舞台でありこの時代では仕方ないのだろうと思いました 最後に必死で立ち上がるヤグナにかすかな救いを感じました
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人生初の油絵アニメを観るという体験をしに映画館に行くまで緊張していました 待合室にイングリッド・バーグマンの「カサブランカ」の写真が飾られており懐かしかったです💕
E.バーグマンの写真も💕
映画のお知らせは こちら