中国共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)で、一人っ子政策を緩和する事に決定したと云うニュースは、中国の様々なメディアが連日の様に取り上げており、このニュースについての関心の高さが伺えます。
夫婦の内、どちらか一方が一人っ子の場合は、二人目を産んでも良いと云う今回の政策の緩和の対象者は、全国で約1500万人から約2000万人と予想されるとの事です。また、専門家の予想では、新しい政策の対象者となる夫婦の内、実際に二人目を産む夫婦は、50%から60%程度と予想しているようです。特に、大都市では子育てに費用もかかる事もあり、子供は一人で良いと考える夫婦も多いので、今回の緩和策で大幅に人口が増える事はないだろうと予測しているとの事です。
今回、この時期に一人っ子政策が緩和される事になった背景としては、中国社会で高齢化が急激に進んでいる事や、労働力人口が減少している事等が関係しているようです。
中国では60歳以上(中国では60歳以上が老人)の高齢者が急激に増えており、2012年には全人口に占める高齢者の割合は、14.3%となり、その数が、2030年には約25%となり、高齢化がピークを迎える2050年頃には、高齢者の数は約4億4千万人となり、総人口の約三分の一を高齢者が占めると云う超高齢化社会となると予測されるそうです。
また、中国では生産年齢人口は、2011年に約9億4100万人となりピークを迎えたが、翌年の2012年から生産年齢人口の減少が始まり、2012年には生産年齢人口が約9億3700万人に減少したそうです。今の状態が続けは、2023年以降は毎年800万人ずつ減少して、2030年頃には、生産年齢人口は、約8億人程度にまで減少するとの事です。
一人っ子政策を緩和する事により、急激に超高齢化社会へと突き進む歩みを少しでも遅くしたいという危機意識があるようです。また、一人っ子政策を緩和する事で、生産年齢人口の減少にも歯止めをかけたいという思いもあるようです。
夫婦の内どちらかが一人っ子の場合は、二人目も産んでも良いと云う今回の緩和策も、全国一斉に実施すると云うのではなく、各省、自治区、市等の実情に応じて実施時期を決めるとの事ですので、実施の時期は地域によりバラツキが出るようです。各省、自治州、市、区等の人民代表大会或は常務委員会で現行の法律を改正した後に、各自治体の実情に即して「二孩政策」(二人の子供を産むと云う規則)を策定した後に、実施するとの事ですが、各自治体の関係当局=「人口計生部門」に、希望者は申請して許可を受けなければならないとの事。
また、今回の緩和策を受けて、二人目を産むかどうかネットを通じて調査したところ、産まないと答えた人は7%、二人目を産みたいが子供を育てるのに費用がかかるので産まない(養育孩子成本太高)と答えた人が約30%、子供に兄弟姉妹が居た方が子供の成長にも良いので産むと答えた人は約63%だったそうです。また、約84%の人が、今回の緩和策で人口が大幅に増加する事は無いと思うと答えていますが、約9%程の人は人口は大幅に増加するのではないかとも答えています。