「ここには白いご飯もあるし、肉も食べる事が出来る、でも、田舎に帰ればジャガイモとトウモロコシしか食べる物がない」「家には戻りたくない」と話したのは、シンセン市の謀工場で働いていた13歳位の女の子供だそうです。
1月5日付の中国網(電子版)等に拠れば、シンセン市内の電子工場で働いていた四川省涼山州地区出身の童工(児童労働)約40名が、公安や労働局関係者に引率されて地元に戻ったそうですが、その中の一人の子供が記者の取材に「故郷は貧乏なので戻りたくない」「ここには白いご飯もあるし肉も食べられる、田舎では土豆か玉米しか食べる物がない」と話したとの事で、その答えを聞いた記者も沈黙するより他無かったそうです。
鳳凰網(電子版)等に拠れば、彼女達は、一日12時間労働で月給は固定給で2000元と云う条件で働いていたそうです。男の子供も働いて居たそうですが、大部分は女性で、彼女達の年齢は、大半が13歳、14歳の児童だったそうです。また、この工場の生産ラインで働いて児童は女性が多かったそうですが、女性を雇うのは女性は言うことを聞くし、管理しやすいからとの事です。
1月2日に彼女達は、駅(成都?)で地元政府の関係者に引き渡され、地元政府関係者と共に故郷に戻ったそうです。今後は地元の学校に再び通う事になるそうですが、長い間学校にも通っていなかったので勉強について行くのも困難が予想されるとの事です。西昌市涼山州はイ族の自治州で、四川省でも最も貧しい地区の一つの事で、農民の一年の平均収入は僅か、2.3千元程度との事です。
無論中国でも義務教育制度は普及していて、義務教育段階は、基本的には無料とは云え、教科書代、生活費等も必要な上、子供が2.3人居る家庭も多いので涼山地区では「家が貧しいが為、学校を途中でやめる児童は約10%に達する」との事です。
他所へ出稼ぎに行けば安定した収入も得られて家計の助けになる上に、白いご飯や肉も食べる事が出来るとあって学校を辞めて働く事を希望する子供も多いとの事です。無論親も同意して、親戚など紹介で働きに出る児童生徒が多いとの事です。
都市報(電子版)等に拠れば、工場等に童工を紹介すると、一人に付き300元から400元仲介料を貰えると話す人も居るようです。また、別の新聞では、今回の場合も、子供達が本来受け取るべき残業代は誰かが中抜きしていたのではないかとも報じています。
以前私は貴州省に滞在していましたが、滞在中に貴州省の或る少数民族の村を訪れて、その村の小学校を訪ねた事があります。6年生のクラスを覗いたら、他の学年に比べ生徒が少ないのでどうしてか尋ねた所、子供は他所に働きに行っており学校には来ないとの答えが返ってきた事があります。
近年、中国の一部の地区、特に貧困地区や少数民族地区では「小中学生の中途退学者」が増えており、その数字は約10%近くになるとの報道もありますが、児童労働の問題はあまり表には出ないもののそれなりに深刻のようです。