舌尖上的中国の第二部の第二話では、湖南省は宣章に住むヤオ族の蕨モチが取り上げられています。番組の中では、蕨の根から、デン粉を取り出す工程もそれなりに詳しく紹介されています。
番組等を見ると、蕨の根からデン粉を取り出すには、かなりの労力と時間が必要のようです。先ず、蕨の根を槌などで叩いて、細かい繊維状にして、その後水で洗った後に、その繊維状にした蕨の根を、桶に入れて何度も攪拌した後、何度か水で濾して、8.9時間程置いた後に、水を流すと蕨の根から出来たデン粉が取れるようです。
番組の中では、「蕨モチ」がヤオ族にとってかっては冬季の重要な食料であった事等も紹介されています。番組の中で、食べ方としては、蕨モチにしてそのまま食べたり、砂糖をかけて甘くして食べたりするそうです。蕨の根から取れたデン粉は、やや灰色を帯びていますが熱を加えて食べられる様にすると黒い色に変色するようです。
中国の検索エンジンの百度で「蕨モチ」について検索をかけると、地域により、腊肉と炒めて食べるという食べ方もある様です。また、「蕨モチ」は、湖北省の土家族の間でも食べられているとの事です。土家族の場合は、蕨の根からデン粉を取り出す工程はやや違うようですが、蕨の根を叩き繊維状にしてから、水に晒し、その後デン粉を取り出す事は、ほぼ同じようです。
私は貴州省黎平県に行った際に、「蕨モチ」を食べた事があります。黎平県では、街頭の屋台でも「蕨モチ」を売っています。やや甘く味付けしてあり、ほんのりと甘く、貴州省の蕨モチもとても美味しいです。 貴州省の黎平県以外では、蕨モチは見かける事はありませんでしたが、貴州省でも以前は蕨モチが結構食べられていたのかも知れません。
中国では「モチ」は、「糍粑」或は「粑粑」と云う様で、番組の中では蕨モチは「蕨根糍粑」と呼ばれていますが、「蕨粉粑粑」或は「「蕨粑粑」等とも呼ばれている様です。
豆腐やジャガイモに混じって、黒い物がありますが、それが「蕨モチ」です。ネット等で調べると現在日本で蕨モチとして売られている物は、たいてい白い色をしていますが、それは蕨のデン粉を使っていないからとの事。日本には、昔ながらの製法で作った蕨のデン粉で作った蕨モチは、現在では殆ど無いとの事です。
この番組中では、やはり蕨のデン粉から作った麺、「蕨根粉」は、どう云う訳か取り上げられ無かったようです。かなり前にこのブログでも、蕨のデン粉から作った麺、「蕨根粉」について触れた事がありますので、興味ある方はそちらを覗いて見てください。尤も、その時点では実は、私は、中国にも「蕨もち」があることは全く知りませんでしたが。