中国では一般的に、小麦粉で作った物を麺と云う様です。それに引き比べ、米を原料として作った物は一般的に、米線、米粉等と呼ばれている様です。貴州省や雲南省では、有名な饵块,饵丝等も米を原料にして作られた物です。湖南省や貴州省で見かける米豆腐と呼ばれる物も米を原料とした物です。
中国の中でも、雲南省は米を主食とする地域に属する事もあり、小麦を加工した物よりは、米の加工品である米線、米粉、饵块,饵丝等が多い様です。大きくは黄河流域に属する陝西省、山西省、河北省、河南省、山東省等は小麦を主食とし、長江流域の湖南省、湖北省、江西省、浙江省、広西チワン族自治区等は米を主食とする様です。尚、小麦が中国に伝わる以前は、小米と云われる粟が主食だったとの事。また、最近の学問成果としては、稲作が一番早く始まったのは長江流域と云われている様です。以前は雲南省周辺が稲作の起源と云われた事もあったようですが、中国に於いては、湖南省乃至は広西省が稲作の起源とされている様です。
無論の事ですが、近年では、蘭州拉麺、山西省の刀削麺、北京の炸酱麺等は中国の多くの地域で広く知られ、大抵の大都市では、それらの麺は今や何処でも食べる事が出来る様になりましたので、そう云う様な大まかな区分も崩れつつある様ですが
どちらかと云えば、米を加工した米線、米粉、饵块,饵丝等が多い雲南省にあって巍山県の南詔鎮には、一根麺と云う小麦で作った麺があります。一根麺とは、云わば紙縒りを縒るようにして小麦粉を麺状にして作る麺の一種です。一本の太く、長い紐の様な麺です。
小麦粉を加工して麺状にする場合には、機械で加工しない手作りの場合に、蘭州牛肉拉麺の作り方を思い浮かべる日本人も多いかもしれませんが、あのようなやり方は誰でも出来るものではありません。あれは云ってみればプロの技で、それなりに経験と技が必要なので、蘭州拉麺専門店以外の所以外では余り見る事は少ないと云えます。
中国でも、機械による加工が、まだそれ程一般的でない場合には、トコロテンを作る様な仕方で麺状に加工する事も多かった様です。また、捏ねた小麦粉を手で、広く延ばしたり、紙縒りを縒る様に麺状に加工すると云う仕方も結構中国各地で見られるとの事です。
巍山県南詔鎮にる一根麺のお店。鎮内には一根麺の専門店が何軒かありますが、この店が一番美味しいと思います。手で紙縒りを縒るようにして麺の形にする様です。この店は地元でも有名な店でお客も多く、12時頃には売切れとなります。
この様にして鍋に入れて麺を茹でますが。一人分見当になると、途中で挟み等で切ります。手で千切る場合もある様ですが、この時はハサミで切っていました。 この様に三本の麺を鍋に入れて茹でる場合は三人前の麺を茹でると云う事になります。この店はお客が多いので、何時も二 三人前づづ麺を茹でます。
麺を鍋に入れて茹でる処。米線、米粉、饵块,饵丝等が主流の巍山県にあって、何故この一根麺が南詔鎮で流行っているのかについては色々議論があるようですが、外省に働きに出かけた地元の人がこの一根麺を持ち込み、その後、この麺が地元の人に受け入れたとの事。雲南省では、この様な一根麺は極めて珍しい事もあり、今では町おこしにもこの麺は一役買っている様です。尚、この様に二本の麺を鍋に入れる場合には、二人分を作っている事になります。
出来上がった一根麺。小椀が8元。一人前の麺がどの位の長がさかは分かりませんが、4メートル位かなと思います。
麺はやや太めです。手て紙縒りを縒るようにして麺状にする。巍山県南詔鎮は漬物も有名で、自家製の漬物も載せます。
自分で漬物やネギ等適当に乗せます。漬物も大変美味しいです。
小麦を加工して、麺状にするには、中国でも地域により色々と違いがある様で、山西省の刀削麺は文字通り独特な形をした小さな刀状の道具で捏ねた小麦 を削り麺状にします。(注:日本の東京等にも刀削麺の専門店のあった様に思います) また、山西省や陝西省には、箸の様な物で削り、麺にした物もあります。 当然ながら、中国にも、日本で蕎麦やうどんを手打ちにする様なやり方と全く同じ作り方で作る麺もある様です。中国では麺食として名高い山西省だけでも 200種類もの面があると云われていますので麺の作り方も様々の様です。
また、捏ねた小麦粉を手で、広く延ばしたり、紙縒りを縒る様に麺状に加工すると云う仕方も結構中国各地で見られるとの事です。
中国でも、機械による加工が、未だそれ程一般的でない場合には、トコロテンを作る様な仕方で麺状に加工する事も多かった様です。トコロテンを作る様に、道具を使い、捏ねた小麦粉に圧力を加え麺にする事もあるようですが、 この様なやり方は中国に住む朝鮮族の間では広く見られる作り方です。私は、1989年延辺朝鮮族自治区の朝鮮族の多く住む所で、見た事がありま す。私が直接観たのは、蕎麦粉から作る所謂冷麺でしたが、山西省等では、今でも一部の地域では、この様な道具を使い麺状に加工するとの事です。また、日本の四国等で今でも作られている手延 べ素麺のような作り方も有る様でが、元々は素麺も中国から日本に伝わったので、この様な作り方は、中国の方が云わば本家、本元と云えます が、、、。
云ってみれはテコの原理を応用して、捏ねた小麦を丸い穴に入れ、上から押して麺状にします。下には丸い穴が開いており、上から押すと麺となって出て来ますが、一般的にはこの道具を大なべの上に置いて、鍋の中に麺は直接落ちる様になっています。一回で丁度一人前ほどの量となります。大なべの上に据えるのでかなり大きいです。
この様に麺状になって出て来ます。私は1989年中国東北部の延辺朝鮮族自治区でこの様な道具で麺を作るのを観た事がありますが、麺は所謂冷麺でした。山西省や陝西省等の農村部では今でもこのような道具を用いて麺を作る地域があるとの事です。中国語では【铪饹床子】と云う様です。また、この様にして作った麺は铪饹麺と云う様です。中国の中でも、特に山西省、陝西省、青海省等で多く見られるとの事です。
今では木製の物ではなく、この様な金属製が主流の様です。また、ネット等で調べると家庭用の小さな物も売っている様です。これを使えば簡単に麺に出来る訳で、誰にも簡単に麺を作れるとの事。