今年5月頃に、中国で公開された映画に「尺八 一声一生」と云うドキュメンタリー映画あります。この様な映画が日本では無くて、今中国で制作されたと云う事は、中国で尺八を本格的に習う人が増えている事を証明しているのかも知れません。また、中国では尺八が流行っていると云う様な云い方が出来るのかも知れません。
このドキュメンタリー映画は、題名の如く中国で尺八を習う人や日本のプロの尺八演奏家や中国や日本で尺八を作る人々を取り上げた物です。日本在住のアメリカ人で尺八に魅せられプロの演奏家になったアメリカ人も出てきます。
尤も、この映画の冒頭で北京市内の街角で、「貴方は、尺八を知ってるか」と通り縋りの人に尋ねる場面がありますが、当然大半の人達は「尺八」と訊いても知らない人が多い様でした。「尺八」は中国語では「chi ba」と発音しますが、面白かったのは「尺八を知っているか」と尋ねられた一人が「糍粑」と勘違いした事です。このブログでも何度も触れましたが「糍粑」とはモチの事ですが、発音が「ci ba」と大変似ているので、その人はモチと勘違いした様です。
大理古城で「尺八」を教えている私の中国人の知り合いの話に拠ると、この映画が中国で放映された事もあり、最近尺八を習いたいと云う中国人が大理鎮でも増えているそうです。
このドキュメンタリー映画の中に河南省は鄭州市で、尺八に魅せられて独学で尺八を習い将来は尺八で生計を立て様としてる青年が出てきます。その青年の専門は、元々は薬学で薬剤師になる積りだったのが、日本の尺八演奏家の佐藤康夫氏の尺八を聞いてから、その尺八に魅せられプロになるべく努力しているとの事です。最初アルバイトをして、1,000元程のプラスチック製の尺八を手に入れyoutube等で勉強しているとの事です。また、何れは竹製の尺八を手にしたいとの事。
この青年が、日本の尺八演奏家佐藤氏が西安の空海が留学したお寺で演奏会をするので、尊敬する佐藤氏の演奏を聴くべく、鄭州から西安に向かう場面でこの映画は終わっていますが、何れ日本でもこの映画は上映されるのかも知れません。
豆辨電影と云うネットサイトで、この映画の簡単な紹介があります。それに拠れば、この映画は中国、日本、アメリカ等の地で尺八の演奏家、製作者、学習者を取り上げた云々とありますが、アメリカ人の日本在住の海山と云う号を持つ演奏家は取り上げられていますが、この映画を見る限りアメリカでは取材しておりません。彼はハワイで大学の時に尺八に出会い尺八を習ったとの事です。今は日本の千葉県に住んでるのでアメリカでは取材はしてません。でこの記事を書いた人は、そもそもこの映画を見たかしらと云う疑問も沸いて来ました。
それから気になった事の一つは、この映画の最後の方で、この映画監督達と日本のプロの演奏家達が一緒に酒を飲む場面が出てきますが、そこに居る中国人の通訳のレベルは余り高いとは云えない様で、難しく、大変に込み入った専門的な会話を交わしている中で、会話の内容が通じたのかと、少し心配になりました。この最後の場面では、貴州に住む苗族の「飛歌」と云う苗族の音楽の話も出てきます。
また、この映画に出てくる日本人のもう一人のプロの尺八の演奏家は、家が代々続く尺八の宗家の三代目との事ですが、その故郷は福島県の会津若松の様で、福島県会津地方や河南省鄭州市や貴州に住む少数民族苗族の伝統的な音楽にも触れているので、私としてはそれぞれの地に少しは縁もあるので、それなりに楽しむ事が出来ました。今現在私の所で、日本語を習っている中國人の中に、尺八の師匠や尺八を勉強している中国人が二人居るので、そう云う点でも面白くこの映画を見ました。