話は変わって、別の日の出来事。
ユースホステルに泊まった日、ちょっとした事件が起きました。
小学3年生のEくんが朝から「パジャマがない」と騒いでいました。
Eくんのお母さんがベッドの脇やカバンの中を手際よく調べて回りながら、
「ちゃんと探しなさい」と注意し、
「カバンの中も戸棚もみんな調べたんだよ」とEくんは困り切った様子で
いささかあきらめ気味に周囲をかき回していました。
どうせもう見たから、もう一度見たってないのに……と思いながら、
うるさく言われるから探しているポーズを取っているという感じです。
人気者のEくんのこと。他の部屋の子らもぞろぞろ集まってきました。
Eくんがすっかり意気消沈していたので、他の子らの協力を仰ぐことにしました。
「事件!事件!警察や探偵になりたい子は集まって!
隊長も呼んできて!」と声をかけると、ちょうどその時、
一番年長で他の子から隊長と呼ばれているGくんが、
どんな楽しいことが起こるのかとワクワクした表情で部屋に入ってきました。
「えっ!事件?警察の仕事?了解です。ハッ、イエッサ!」と
敬礼のポーズを取りました。
「落ち着いて、パジャマがなくなった時のことをよく思い出してみて。
そういえば、お風呂のところに忘れ物置き場があって、
衣服やタオルが置いてあったわよ。」というと、
Eくんが、「朝まで来ていたパジャマなんだ。
だからお風呂のわけないよ」と言いました。
確かにお風呂に入ったのは昨晩ですから、今朝まで着ていたパジャマを
そんなところに忘れるわけがありません。
そのやり取りを聞いていた隊長は、「うーん」と考えてから、
「さぁ、まず、みんなでお風呂の忘れ物置き場に行ってみよう」と言いました。
「ちがうってば。あるわけないよ。だって、さっきまで着ていたんだから」
「でも、まず行ってみよ!」と隊長。
とにかくあるかどうかより、警察っぽく、
上階の風呂場に調査に出かけたい様子です。
「まって、隊長。
もう一度、パジャマが消えた時のことをよく思い出して
調べてみよう。
この部屋にいた他の子は誰?
その子が間違って、自分のリュックにEくんのパジャマを入れてしまったかもしれないよ。
それから、シーツはもうシーツ置き場に出しに行ったの?
もしかしてシーツにパジャマをくるみこんで、
出してしまったかもしれない」というと、
警察や探偵になった子たちはめぼしいものを調べはじめました。
Eくんが出したという使ったシーツの置き場に行ってみると、
大量のシーツの山ができていました。
「さあ、片っ端から調べなくちゃ」と子供たちが
今にもシーツの山に飛びつきそうだったので、
「よく推理してよ。Eくんがシーツを出した時、
どのくらいまでシーツが入っていたの?」とたずねると、Eくんは、「ここ!」と
自分の胸くらいの位置を指さしました。
そこで、隊長を中心に怪しいシーツを開いてみると、
Eくんのパジャマがシーツにぐるぐる巻きにされて
いました。
「やった-!事件解決!」と子どもたちは大喜びでした。
物をなくすというネガティブな体験も、関わり方によっては
思い出に残る楽しい出来事に変わるものです。
うれしそうにはしゃぐ男の子たちの声を聞いて、
女の子たちが集まった時にはすでに事件が解決していていました。
ちょっとつまらない女の子たち。
「あっちが警察なら、わたしたちは大泥棒になろう」ということに
なりました。
紫外線を当てると光る「秘密ペン」を使って
大泥棒の秘密組織の仲間かどうかを確認できるようにしました。
部屋に宝を隠して寝たふりをする男の子たち。
女の子がなかなか宝を見つけられないと、寝言のふりをして
ヒントをくれていました。
先日はありがとうございました。
ネガティブな体験も関わり方によっては楽しい出来事に変わる…おっしゃる通りですね。
多分、息子も私も根が真面目で(自分で言うなですが)忘れ物をする自分が許せない…その割には忘れ物が多くてその度に凹む…というのを繰り返しているような気がします。
息子は息子で、「物が見つからなかったらとりあえずお母さんに言う→怒られながら探すが見つからない→お母さんが探すと見つかることもある→見つかってもきちんと探しなさいと怒られる。見つからなかったらさらに怒られる」というネガティブな思いばっかりだったと思います。
こういった楽しい出来事に変える経験があると、「自分ってダメなヤツ」と落ち込むことにはならなくて済みそうです。
また、記事にしていただくことで、たかが忘れ物で息子を追い詰めていたなぁと私もハッとしました。
自分の中にある「忘れ物なんて許せない」等の気持ちをまず整理しておかないといけませんね。。。