具志堅さんは、もともとは北九州の出身。高校を卒業して国立の琉球大学に入って沖縄に住み始めました。そして同じ大学の地元の人と出会って結婚したので、ご主人のためにと沖縄の料理を習ったのだそう。そして、どうせ習うならと、より本格的な宮廷料理である琉球料理を勉強しました。だから、具志堅さんの料理はやさしい味なんです。薄味ながら、出汁や素材の旨味がしっかり感じられるふくよかな味。ほっとします。<o:p></o:p>
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本格的な琉球料理は手間と時間がかかります。だから、沖縄でも若い人は作る人が少なくなっているのだとか。お手軽なチャンプルーや揚げ物は家で作っても、伝統的な料理は惣菜を買って済ませるのは、忙しい主婦にとっては仕方ないでしょうが、残念なことでもあります。そうした結果として、かつて長寿世界一であった沖縄は日本国内でもワースト2位に転落と、健康に大きく影響していると言われています。<o:p></o:p>
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料理教室のためにと、具志堅さんは沖縄らしい黄色と赤の塗り箸、ウメーシも用意してくれていました。最近は沖縄でも見かけることが少なくなりましたが、以前は沖縄のそば屋や定食屋ではどこの店でも、テーブルにウメーシを立てた箸立てが置かれていました。なつかしや。沖縄好きな人にとっては、これもうれしい心づかいです。
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くしくも、この日は旧暦のお盆間近でした。「沖縄に戻ったら、またすぐにお盆の準備で豚肉を大量に煮込んで煮物を作り始めます」と笑う具志堅さん。沖縄ではお盆は正月よりも重要な行事で、「正月には帰省しなくてもいいから、お盆には必ず帰ってこい」と言われるほど。ウンケーと呼ばれるお盆初日にはジューシーを供えて先祖の霊を迎え、ウークイと呼ばれる送り日には豚の三枚肉やごぼうの煮物、魚天ぷらなどを詰めた重箱を供える習慣があります。
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クーブイリチーも伝統的な琉球料理です。具志堅さんは「これは多めに作って作り置きします。食べるたびに温め直して煮詰まっていくので、はじめは薄味に仕上げます」と教えてくれました。なるほど。それでも初めの状態で作ってくれたクーブイリチーは、薄味ながら美味しく食べられる絶妙な塩加減で、大変勉強になりました。<o:p></o:p>
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出汁をたっぷり吸わせたおふのおいしさも、具志堅さんのフーイリチーで改めて知りました。いままで沖縄で何度も食べているのに、新鮮な感動でした。これも出汁の旨さがあってこそ。ジュワッと染み出る旨味に、これまで軽んじていたおふを使うということの意味を思い知りました。<o:p></o:p>
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「下の子どもがまだ高校生なのでね、東京に来ても3~4日しかいられないんです」と、お忙しい具志堅さん。教室を開けるのは隔月で1回程度かも、とのことですが、ぜひとも長く続けてもらいたいものです。このまーさん(おいしい)なジューシー、習わないのはもったいない。<o:p></o:p>
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<o:p> <筆者 写真 とらお></o:p>
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