釧路市議会2024年12月定例会は、本日スタートしました。
初当選した鶴間秀典市長と初めての論戦をしました。🗣️
市民はこれまでの市政を変えてほしいという願いを込めて、鶴間市長を誕生させました。
学校給食費の無料化などよいものは後押ししたいという気持ちで臨んだのですが、果たしてどこまで変わるのかな、という疑問を持ちました。🤔
1回目の質問の全文をご紹介します。
答弁と再質問は、正式な議事録ができてからご案内します。
(Q1) 新市長の政治姿勢
鶴間市長改めてよろしくお願いします。鶴間市政になって初めての議会ですので、私たち日本共産党議員団は、新市長の政治姿勢について、それぞれテーマを分担して質問をさせてもらいます。私は市政の重要事項の1つとして深刻な物価高騰から市民のくらしを守る施策について質問します。この点については、前市長の取り組みは極めて弱かったため、市政の転換を望む多くの民意によって鶴間市長が誕生したと考えられます。中でも北海道新聞のインタビューで「市民に伝えたいことは」という質問に対し、市長は「物価高などで生活が苦しくなっています。困った人に手を差し伸べられるような市役所にしていきたい」とお答えになりました。全く同感です。そのためどこまで真剣なのか新市長に問いたいと思います。
(福祉灯油)
物価高騰により、これから寒冷地では特に、暖房費の高騰が予想されます。灯油は今でも1リッター120円程度で、高止まりのままです。そのような中だからこそ、自治体としてできる対策をとる必要があるのではないでしょうか。昨年12月1日時点で福祉灯油の実施を決めていたのは、道内では141自治体で、8割近くの自治体で実施されました。残念ながら、釧路市は実施されませんでした。福祉灯油は、寒冷地こそ必要な事業で、全国一律よりは地域の特徴に応じて自治体が主体的に実施すべきものではないでしょうか。
このことについては先の9月議会でも質問しましたが、「必要に応じて対応していきたい」という答弁をいただきました。今こそ必要な時期なのではないでしょうか。
このまま国に対策を求めるだけでは、また今年も福祉灯油がないまま、長くて寒い冬を迎えることになりかねません。高齢者世帯や低所得世帯ではとりわけ、暖房費を節約しようとして寒さをこらえて努力をしていますが、それでも限界はあります。今年は何としても福祉灯油を実施していただきたいと思います。新しい市長が誕生して市民は期待をしている訳です。そこで改めて福祉灯油の実現について、市長はどのように考えているのか答弁を求めます。
(市独自の給付金)
今、国は住民税非課税世帯に3万円を支給し、子育て世帯には子ども1人につき2万円上乗せする制度を公表しています。しかしこの国の制度だけで十分かはよく考えなければなりません。例えば令和5年度も似たような事業がありましたが、その時の支給額は10万円、子ども一人につき5万円加算しました。昨年と比べても今回公表されているものは、金額が少ないと感じます。住民税非課税世帯の多くは年金だけで暮らしている世帯といえます。
そのため市独自で給付金を支給することは必要で、前市長にもそのような提案をしましたが、国の制度以上の給付金はありませんでした。新しい市長が誕生したことで、多くの市民が期待しています。そこで市独自の給付金を支給することにはどのような見解をお持ちなのか市長の答弁を求めます。
(学校給食費の無料化)
物価高騰から子育て世帯の市民の暮らしを守る対策として有効なのは、学校給食費の無料化です。これまで釧路市も期間限定で行われたことがあります。 無料化は子育て世帯からは好評で、継続を強く望まれていました。しかし国からの交付金が終了すると、無料化も終わり、市独自で再開することはありませんでした。国も無料化に向け検討を始めていますが、いまだに実現されていません。これまで無料化をしない根拠として学校給食法の規定を挙げてきましたが、無料化を禁止しているものではありません。市民は新しい政治を期待して鶴間市長を選んだのであります。市長が予算編成をすれば実現可能な施策ですので、教育長ではなく、市長の考えをお示し下さい。
(Q2) ソーラーシェアリングを活用した農業
(釧路市での可能性)
次にソーラーシェアリングを活用した農業についての質問に移ります。ソーラーシェアリングとは営農型太陽光発電とも呼ばれ、農地の上部空間に太陽光発電を設置し、農業と発電事業を同時に行いつつ、太陽の光を「発電」と「農業」でシェアする取り組みのことをいいます。私たち日本共産党議員団は11月6日、神奈川県小田原市で先進的な取り組みをしている合同会社小田原かなごてファームを視察してきましたので、その事例も参考にして質問させてもらいます。
ソーラーシェアリングは具体的には農地の上に足の長い支柱を立て、その上に日光が差し込む間隔をあけてパネルを設置します。そうやって、パネルの下で農作業をしたり、トラクターなどの農機具を使っていました。夏の強い日差しから農作物を守ることもできます。
この農場では耕作放棄地を積極的に購入・賃貸して、自ら耕作したり、市民農場として貸し出したりしていました。事前に釧路市の担当課に伺ったところ、市内には耕作放棄地はないとのことでしたので、マイナスからのスタートにならず釧路は幸いだと思います。更に北海道は神奈川県の農地とは規模が違いすぎます。工夫をすれば神奈川県以上に可能性があるのではないでしょうか。釧路の農業や気候とソーラーシェアリングは相性がよく工夫しだいではなじんでいくものと考えますが、市の見解をお聞かせください。
(ソーラーシェアリングの補助金)
気候危機が叫ばれている中、化石燃料による発電を抑え、再生可能エネルギーに変換することは急務です。もちろん湿原にメガソーラーを建設することに規制をかけるのは当然のことです。しっかりゾーニング、地域区分をして再エネを増やす必要があります。この点、視察した小田原かなごてファームから学ぶべき点があると感じました。この農場では当初は耕作放棄地だった所でみかんを栽培し、さらにそれをジュースに加工するなどしていましたが、経営の多角化をしても持続可能性には限界があったそうです。何か他の方法はないのかと模索して出会ったのがソーラーシェアリングだったそうです。そして平成27年に耕作放棄地でソーラーシェアリングの建設をはじめ、徐々に発電所を増やし、視察した時は7号機の建設がされていました。この農場の小山田代表は雑誌のインタビューで次のように話していました。
「資本金40万円の小さな会社ですが、定期的に入ってくる売電収入と収穫したミカンを加工したジュースの売上とで収入は年間1000万円以上になりました。会社は私一人で運営しているので、融資の返済分を差し引いても家族で生活していくのに十分な収入は確保できています。」
このようにインタビューに答えていました。家族経営、小規模経営の農家が持続するためのヒントがあるように感じました。
調べてみるとこのような取り組みは他でも行われていました。例えば福島市では農民連が中心になって、段々畑の一部1300平方メートルの土地に140枚のパネルを設置する発電所を設けました。パネルの下の畑では有機ダイズを育てています。また二本松市では更に広い6万平方メートルの農地に9500枚のパネルを設置し、ブドウ、エゴマ、ダイズを育てるだけではなく、牧草地として肉牛の放牧もしています。農家の経営を安定させ、副収入が入る仕組みは重要です。
このような取り組みを後押しするには、補助金によって設備投資の費用を抑える必要があります。例えば、小田原市では国から交付される交付金、環境省「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」に基づいて、小田原市地域脱炭素移行・再エネ推進重点対策加速化事業補助金が用意され、それによって建設資金の2分の1が補助されたそうです。国の交付金を使って市が導入を積極的に後押しをしています。このような取り組みが釧路市にもできないのか答弁を求めます。
(再生可能エネルギー条例の制定)
関連して再生可能エネルギー条例の制定について質問します。視察した小田原市の隣には松田町があり、再生可能エネルギーの利用等の促進に関する条例が制定されています。その条例には「地域エネルギー享受権」という全く新しい概念を権利として書き入れたところが斬新的です。すなわち第3条基本理念を要約すると「再生可能エネルギーは地域と一体不可分であり、古来から地域の財産として生活の基盤としてきた。したがって町民には地域エネルギー享受権を有する」と定められています。湿原のメガソーラーを規制する条例と併せてこのような再エネ条例は必要と考えます。このような条例について市の見解をお尋ねします。
Q3 投票機会の保障
(移動式期日前投票所)
次に、投票機会の保障について質問します。先の市長選挙の投票率は55.73%で4年前の市長選を12.07ポイント上回りました。50%を超えるのは平成8年の58.71%以来で28年ぶりとのことであります。どうして上昇したのか推測しましたが、選挙管理員会の新たな施策というよりも総選挙と投票日が重なるダブル選挙だったからと考えるのが自然ではないでしょうか。このまま何もしなければまた元の投票率に戻ってしまうのではないかと危惧されます。
そこで、選挙管理委員会が立会人と一緒に、投票箱を持って車に乗り、施設や自宅など要望がある場所に行くことで投票ができる「巡回投票」を提案したいと思います。今回の総選挙では旭川市、岩見沢市、石狩市など少なくとも10の市町で移動式期日前投票所が実施されました。また、士幌町では昨年の統一地方選挙から高齢、障がい等の理由で投票所までの移動が困難な方のために、事前に申し込みをした方に、車の移動期日前投票所が自宅前まで来て投票できるようにしているそうです。このような試みは釧路市でも必要ではないでしょうか。
そこで他の自治体のやり方を参考にして、釧路市でも移動期日前投票所の実施を求めますが見解をお示し下さい。
(投票所までのタクシー券の支給)
投票機会の保障については更に進んでいる所もあります。例えば神奈川県綾瀬市では、障がいのある有権者や要介護認定を受けた有権者で移動が困難な方に、事前申請なしで市から自宅と投票所の往復に利用できる「タクシー券」を送付しています。このようなタクシー券の支給は兵庫県南あわじ市や栃木県下野(しもつけ)市、愛媛県東温(とうおん)市などでも実施されているようです。投票権の行使は民主主義の基本です。主権者である市民が例え足腰が弱くなっても参政権を行使できるように環境を整えることも市の仕事です。投票所までのタクシー券の支給についてはどのような見解なのか答弁を求めます。
Q4 医療機関、介護施設への支援
(水道光熱費の補助)
次に、医療機関、介護施設への支援に関する質問に移ります。光熱費や食材費の高騰で、今医療機関や介護施設の経営が圧迫されています。特に介護報酬改定後、事業者の収入が減り、閉鎖・休止を検討するところもでてきています。東京商工リサーチが公表した調査では、今年1月から10月までの介護事業所の倒産は145件で、年間最多だった令和4年を既に超過したといいます。訪問介護事業所の倒産も72件に達しているとのことです。特に、訪問介護では「令和6年の介護報酬マイナス改定の影響が出ている可能性」があることを指摘しています。そして「今後、国や自治体の本格的な指導・支援がなければ、零細事業者の淘汰が加速される可能性が高い」などと東京商工リサーチは分析しています。釧路ではまだ訪問介護報酬の引き下げが要因で閉鎖したところはないとのことですが、今後じわりと影響がでてくるのではないでしょうか。
医療機関や介護施設はとりわけ公共性が高く、地域のインフラでもあり、なくなってしまうと市民生活に大きな影響を与えます。行政の支援が必要ではないでしょうか。国に対しては、訪問介護報酬の引き上げをするよう再改定を求めることが大切ですが、自治体としても支援が必要と考えます。
そこで、医療機関と介護施設に対して、水道光熱費などの補助をしていただくよう求めますが見解をお尋ねします。
(介護・福祉職員等への手当)
関連して介護・福祉職員等への直接的な手当についてお聞きします。介護・福祉職員の給料は全産業と比べて月8万円も低いと言われています。待遇が悪いため、人材が集まらなかったり、せっかく就職しても退職してしまう例が後を断ちません。介護・福祉職員の給料アップは事業所の努力だけでは限界があります。行政の補助がかかせないのではと思います。
この点例えば東京都では介護・福祉職員等へ「居住支援特別手当」として月1万円から2万円を支給する事業を今行っています。介護・福祉に関わる仕事は本来は公の機関が責任をもって行うべきですが、現状はそうなっていません。そのため自治体が、例え民間企業の職員であっても手当を支給して、待遇を少しでも改善することは大いに行うべきこと考えます。
そこで釧路市としても、市内で働く介護・福祉職員等へ手当を支給することを求めますが、見解をお示し下さい。
1回目の質問は以上です。