ノーブル・ノーズの花の穴

麗しき本音のつぶや記
~月に1度ブログ~

異端じゃないでしょ!

2014-05-21 11:04:00 | 

林修先生と、小池百合子さんの対談本、
「異端のススメ」を読んだ。

最近、私は、
分かりやすい話し方と、怒りを穏やかに表現できる、
林先生の事が、気に入っている。

だが、林先生は、この本で、
指名する相手を間違えた。

小池さんは、全然異端じゃない。

林先生は、小池さんに気を遣うあまり、
媚びてしまっている。

小池さんは、それをいい事に、
女性は優秀=私は優秀、と言っているだけだ。

小池さんは美人だし、
女総理もいいかと思っていたけど、ガッカリ。

そもそも、女性の社会進出が、
少子化を食い止めるなんて、本気で思ってるのか?
逆だろうが。

特化

男尊女卑が顕著だった昔、
男と女の役目は、ハッキリ分担されていた。

女は、子供を産み、家事をこなし、
男は、外に出て働き、家族を養うのが当たり前だった。

男女の能力は、特化されていた。
だから、子供は増えたのだよ。

女が働き、自由に使えるお金を得たら、
ここぞとばかり、自分の為に生きようとするに決まってるじゃん。

実際、出産どころか、
結婚さえしていない人、周りにたくさんいるよ。

それに、結婚したとしても、
仕事のストレスで、ホルモンバランスくずして、
よけい妊娠しづらくなるでしょ。

命がけ

反面、本気で子供が欲しい人は、
不妊治療の副作用で、乳がんになって死んだり、
自分で産むのをあきらめて、
第一子、第二子とも、他人の子供をもらい、
育てる人もいる。

どうせなら、そういう命がけの人に、
責任持って、子育てして欲しい。

「保障するから、何でもいいから産んでくれ。」じゃ、
おかしな子供が増えるだけじゃないの。

バカな親に育てられた子供は、自分勝手で、
罪は犯しても、納税する大人にはならないよ。
それでもいいの?

不自然

元々、男と女の能力が違うのに、
何でもかんでも平等にするのは、
かえって不自然じゃない?

能力がある女性が、世に出た時は、
差別しないでねって、意識が先でしょ。

女の方が優秀だとか言ってる男に限って、
そんな事、ちっとも思ってないんだから。

女を働かせて、
税金納めてもらいたいっていうのが、本音だろ。
年金受給、70才以上をめざしてさ。

そのわりには、よけいな改正をして、
働いている人の仕事を奪うんだから、矛盾してんだよ!

女をリーダーにしたら、真面目だから、融通きかないよ。
会社は、インチキできなくなるよ。(笑)

でも、女社会の方が、原始的で、
自然破壊されなかったかもね。

男は、人工物を作りたがるでしょ。
女は守る事、男は捨てる事が得意だからね。

専門職

それから小池さん、P99の件だけど、
「専業主婦になりたがってる女性が増えてる。」って言うのは、
女がやりたい事が、この国じゃできなくて、
戦線離脱してるんじゃないよ。

経済力のある男に養われた方が、
楽に決まってるじゃん。
悪い?
ハーッハハハハ。

だってさ、経済力のある夫なら、
妻は、安心して子供を産めるんだよ。

学校から帰って来て、
お母さんが、家にいた方がいいでしょ。

小さい頃、守ってもらえたからこそ、
他人を守れる大人になれるんだよ。
親が、十分かまってあげないと、子供の質が落ちるよ。

小池さんは、専業主婦をバカにしてんじゃないの?

結婚したら、単純に、食費も家事も2倍になる。
貧乏人の妻は、社会進出せざるを得ない。

本当に、少子化をふせぎたかったら、
「この人の子供なら産みたい!」と思える、
強い男を増やす事だね。

じゃなかったら、代理母の進化形で、
女王蜂のように、出産専門職でも作れば?
それで生まれた子供は、
国が責任持って、優秀な人間に育てる。
「世にも奇妙な物語」みたいになっちゃうけど。(笑)

ドM男

先日、パンケーキの店で、
隣にいたカップルの会話に、ア然とした。

彼は、彼女の言いなりで、
その口調は、まるで女友達のようだった。

クリームチーズをつけるタイミングに、ダメ出しをされても、
テーブルマナーの話をされても、全てに同調していた。

彼女は、自分が食べ終わると、彼の都合も聞かずに、
「出よ!」と言い、いきなり立ち上がった。

今時の男子は、あれでいいのか?
ドSの女社長の下に、ドMの男社員が集まったら、
上手くいくのだろうか。

イクメン気取りなのか、
以前、電車の中で、スーツを着て、カートを持って、
1人で乳児を抱えている若い男性がいて、
「いったい、何をしたいの?」って、憐れに見えたよ。

小さい子は、お母さんの方が好きなんだよ。
子供にしてみれば、わざわざ、ごっつい男に、
ダッコされる筋合いはねーよ。
バブーッ!

犯罪だって、ガスボンベ女とか、コンビニ強盗とか、
女も暴力的になってるし。
もう十分、社会進出してるんじゃないの?(笑)

ダークな少子化

ヒュー・ジャックマンが好きで、
映画「プリズナーズ」を観たんだけど、重い!
「ラブリーボーン」についで、暗い!

児童誘拐、殺人…。
日本とは違う理由で、少子化になりそう。

しかし、洋画のサスペンスは、
邦画に比べて、構成力があるなぁ。
海外は、本当に凶悪事件が多いから、
作品が、リアルなんだよね。

プライド

林先生が、小池さんを相手に選んだのは、
自分が東大出なのに、予備校講師をやっている事に、
コンプレックスがあるからじゃないの?

本の冒頭に、「閣僚まで務められた方が、
…一介の予備校講師との対談に応じてくれるはずがない―。」
なんて書いてあるが。

このイヤミな謙遜こそ、
自分は、政治家と同等レベルの「東大出」だという、
林先生のプライドなんだよ。

だって、本当に「異端」をテーマにしたいのなら、
タモリでも、呼べばいいじゃん。
戸部田誠さんの、「タモリ学」を読んでいるのだが、
タモリの方が、よっぽど異端だよ。

林先生は、小池さんを指名してしまった為に、
この本では、自分を語りきれていない。
2人が語っているのは、
「異端」ではなく、「特別意識」だ。

そもそも、本当の異端は、「異端」を語らないよ。
それが、普通なんだから。

やっぱり、林先生は、本じゃなくてTVで、
「今でしょ!」って言ってる方が、面白いなー。

 

 

 

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金子哲雄のあふれる涙

2013-09-19 11:11:34 | 

金子哲雄氏の「僕の死に方」が、
ようやく、図書館から回ってきた。

彼らしく、前向きな文体だからこそ、
リアルに伝わってくる、壮絶な闘病生活。
残された時間を、仕事で埋めるしかない、
死への恐怖。

4人兄弟のうち、すでに3人が、
幼い頃に、亡くなっている。
長寿遺伝子が、働かないのだろうと、
本人が分析するように、私も、そう思う。

でも、彼のように、人の倍気を遣って、人の倍働けば、
人生は、半分になってしまうかもしれない。

そして、それができるという事が、
彼のエリート意識なのではないかと思う。

皮肉にも、忙しい彼は、在宅医療になって初めて、
「好きな時に好きな事をする」ようになる。

世の中は冷たい

治らない病気に、目も合わせない医師。
ここでも、世の中は弱者に冷たい。

彼の人脈をもってしても、
対応してくれる医師に、たどり着くのは大変なのだ。
名も無き貧乏人なんて、即死だ。

おしゃべりバカは、ここでも最悪で、
金子さんが、やせた事を、「気持ち悪い。」と言う、
ネットの書き込みに対し、
「肺がんで、先が短いから、
あともう少し我慢すれば、見なくてすむようになるよ。」と、
レスがついていたと言う。
ひどい !!

限られた人にしか、話していない事情を、
他人に、しゃべるバカが、必ずいる。
まったく、腹立たしい事だ

あふれる涙

正直、自殺したい。
でも、もう、それもできない。
体が、まったく動かない。

明るい彼から、出るとは思えない、
末期患者の切実な思いに、衝撃を受けた。

本の中の見出しにもある、「あふれる涙」。
これ以上、あてはまる言葉は無い。

一個一個、ブレーカーが落ちるように死んでいく。
奥さんが、彼の最期の呼吸を、読み取る。

ここにも、他人事ではない、深い悲しみがある。

 

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未来回避

2013-02-18 11:06:27 | 

風が、強い日だった。
ピーコートの青年が、ビルを繋ぐブリッジから、
身を乗り出して、街道を見下ろしていた。

「まさか、死ぬつもりじゃないだろうな。」

私は、遠目に見守っていたが、
やがて青年は、足を降ろし、
いったん、向かいのビルへ行きかけた。

私は気になって、立ち去る事ができず、
青年が、今度は、こっちのビルに向かって、
歩いて来るのを見届けて、やっと安心した。

家族に、この話をしたら、
「風で、何か飛ばされたんじゃないか。」と、
あっさり言われた。

そうかもしれない。
ブリッジの上は、すごい風だった。
私も、ハンチングを押さえたくらいだ。

雇用問題で、死にそうな気分だった私は、
青年の行動に、「自殺」を連想したが、
普通は、「落とし物」か。(笑)

病んでるな、私。

ブリッジを渡って、私が行こうとしていた書店に、
目当ての本は無く、
後日、その本が売られていた別な店に、
もう一度、行った。

ドンキのように、商品が、
うずたかく積まれた、怪しい雑貨店。
レジ袋には、BOOKの文字。
でも、本以外の商品の方が多い。

死角になっているのに、万引き防止で、
店員がウロウロする事もなく、ゆっくり物色できる。
変わった物が多いので、まず、手に取ってもらう事を、
コンセプトにしているのかもしれない。

隅にある書籍コーナーで、私が、再度手にしたのは、
テレンス・リーの、

「3秒おいて、慌てなさい。」

10月18日にも書いたように、
竹山に対するアドバイスに、感動した私は、
彼に、一目置いていた。

レジの若い男子店員が、
すごく嬉しそうに、「ありがとうございました!」と言った。

久しぶりに、本が売れたからか、
元々、そういう子なのか、分からないが、
それだけで、何だか、この店が気に入った。

テレンス・リーの危機回避本は、とてもリアルだ。
最終的には、直感と、臨機応変だと言う。

本人は、「ずっと死にたいと思って生きてきた。」らしい。
「だろうな。」と思った。
傭兵に行くぐらいだから。

でも、他殺はイヤだと。
なるほど。
戦争に行くと、今度は、
「死んでたまるか!」に、なるわけだ。

きっと、テレンス・リーには、過去に、
ホンマでっか!?なトラウマが、あるんだろうけど、
震災後に来た、4000通のメール全てに、
返信したと言うのだから、すごい。
面倒見いいなぁ。

この本は、私にとって、頼もしい1冊になった。

迷走する未来

電車の中で、金の指輪をした、オシャベリな年寄りが、
向かいの席の親子に、子供の年令を尋ねた。

母親が、「2才です。」と答えると、
「72才も違う。オレぁ、74才だから。頑張れよ!!」と、
子供に向かって言った。

本当にそうだと思って、胸が熱くなった。

この子が、大人になった時、
世の中は、どうなっているのだろう。
それを見る事も無く、先に逝く者は、
「頑張れよ!!」としか、言いようがない。

明日の責任は、誰も取らない。

テレンス・リーが、パワースポットについて、触れていたので、
何となく、近所では有名な神社の境内を、待ち受け画面にし、
ピンクのお守りを、ストラップにしてみた。

気休めか、命がけか。

いなくなる

気づいたら、Rちゃんが辞めていた。
コンバースも、無くなっていた。

Rちゃんには、彼がいたが、
あの人の事も好きだったのを、私は知っている。

いつのまにか、ロッカールームの名前が、
いくつも剥がされていた。

元カノは、まだいる。
私は、まだいたい。(笑)

みんな、よく平気で、仕事を辞められるもんだ。
未来が恐くないのか?

見られてる

私が早朝、出勤する時、1階で、
「キュルキュルキュル~、ピシャッ。」と音がするので、
何だろうと思っていたが、
それが、毎回だという事に気づいた。

ダンナが死んでから、周りが気になるのだろうか。
ブーツの音を、気にして歩いても、同じだった。

正直、気持ち悪い。
ああやって、噂話のネタを探しているのかと思うと、ゾッとする。
しかも、普段は愛想良くしてるくせに。

こっちは、1人暮らしの年寄りだから、
気にかけてあげなきゃと思っていたのに、気が失せた。

未来に、会話は無い。
LINEは、スタンプだ。
しゃべりたい人は、手話か、鈴木奈々になるだろう。

 

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騙されてるわけじゃない

2012-06-18 11:37:59 | 

「マッチポンプ売りの少女」という本は、読後感が、とても悪い。
物事の裏事情を、実名をモジッて、騙された話にしているのだが、
だから何だって言うのだ?

元々、基本は、「安かろう、悪かろう」だろう。
たまに、「高くても、悪かろう」もある。
(特に、ブラジャーは、高くて良さそうでも、体に合わないとイミが無い。)

「高かろう、良かろう」で、ほぼ納得。
「良かろうが、高過ぎるう」もある。

安い新築マンションを買って、
後から管理会社に、高い積立金を、ボッたくられたとしても、

マンションは、間取りや立地条件が気に入って買うのであって、
まず管理会社ありき、じゃないだろう。
積立金が貯まっている、気に入らない中古マンションを買えと言うのか?

携帯会社だって、生保だって、次々と新しいパックを打ち出すのは、
客の為なんかじゃなく、会社が儲ける為に、決まってるじゃんか。

何かが安くなったら、何かが高くなってるんだよ。
どこかの保障が厚くなったら、どこかが薄くなってるんだよ。
その上、使わない人の方が多いから、会社が儲かるんだよ。

世の中は全てマッチポンプ

「年金7万円は、もらえるようにしましょう。」

ヒヒヒ、でもいずれ、それは70才以上という事に…。

そうなった頃、それを決めた偉い人達は、
みんな、死んじゃってるからねー。

この国じたいが、マッチポンプなんだよ。

じゃあ、どうしようか。

今、払ってる年金は、今の老人を支える為と考えて、
健康で、自分の事は、自分でやれるように、努力しましょう。

生保は、ギャンブルです。
お金を請求しないで済んだら、健康で幸せだったという事です。
(満額、自分で受け取るまで生きるゾー!!)

Hルメスのバッグが、何百万だなんて、高過ぎます。
でも、買う人は、騙されてるなんて思ってないでしょう。

イライラしてるのは、ジェーン・バーキンだけで、
「バッグは、こうして使うのよ!」と、
踏ん潰して広げたり、ステッカー貼ったりしています。

宗教も、ネズミ講も、後で文句言わない人だけ、やって下さい。

あなたは、何を重視したいの?
どこに、お金をかけたら満足なの?

選択肢は、自分にある。
騙されてるわけじゃない。
よく考えないで、面倒くさがってるだけなんだよ。

私は、人嫌いだけど、ネガティブじゃない。
だから、暴露本より、TV「がっちりマンデー!!」の方が好き。(笑)

 

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市橋達也のパワー

2011-03-03 14:17:51 | 

リュックサックに子猫をつめて―

大槻ケンヂの詩には、このフレーズがよく出てくる。                                                      そう言えば、市橋の背格好は、                                                      20代の頃のオーケンに、よく似ている気がする。                                            (水嶋ヒロほど、爽やかではない。)                                                 

この本を、ドラマにするなら、エンディングは、                                            筋肉少女帯の、「キノコパワー」以外に、考えられない。

驚く

何だろうね、このエネルギーは。(笑)                                                 親のスネかじりが、人を殺して逃げているにもかかわらず、                                       常に、目的意識を忘れない。                                                       もしかしたら、怖くて、気を紛らわせていたのか。

英語を勉強しながら、逃走するなんて、考えられない。                                         公園で、残飯をあさりながらも、                                                        「ライ麦畑でつかまえて」を、原書で読む。                                   

島へ渡る時には、パスタを買い、                                                    ラジオから流れる、「Born To Be Wild」で踊る。                                               

大学で学んでいたのが、風景建築であった事から、                                        川沿いの美しい景色を見て、覚えておこうとする。                                          

とても、将来の無い、殺人犯のする事じゃない。                                         

私は、この手記を、懺悔本だとも、サバイバル本だとも、思わない。                               人が生きる上で、感じなきゃいけない事が、たくさん詰まっている。                                そういう意味では、市橋が、これを書いたのは、ムダではない。                                

不覚にも、私の中では、吉川英治の「三国志」、                                           SF「アルジャーノンに花束を」に続く、BEST3に入ってしまった。                                  殺人犯の行動だと分かっていても、泣きながら読んだ。                                         そのことじたいに、驚いた。

呆れる

意外だったのは、リンゼイさんを殺した時に、                                            彼には、付き合っていた彼女がいた、という事だ。                                        

「あなたの唇、黒人みたい。」そう言われたのを思い出し、                                    自ら、下唇を切った彼は、                                                           リンゼイさんに対する、コンプレックスがあったように思う。                                        

私は、てっきり、独り身の彼が、                                                     リンゼイさんに、片想いしたゆえの犯行かと思った。                                          

しかも、犯行直後に、彼女に電話していたなんて!                                         一緒に死んでくれ? そりゃムリだろ。                                                 彼女にしてみれば、殺人以前に、自分という女がいながら、                                    リンゼイさんに、ちょっかい出していた事に、まず腹立つだろう。(笑)                              

でももし、彼女が電話に出ていたら、                                                 自首を促されていたかもしれない。                                                   そして彼は、苦労知らずのまま、刑務所に入り、                                          ヘタレのまま、人生を終えただろう。                                                      

まだ、ヘタレだった彼が、彼女に電話するのも、しかたないか。                                   ビニールハウスで、シイタケをかじる、頼りない彼は、                                           やがて、島でヘビをさばいて食べるくらい、たくましくなっていく。

使える

その内容から、単なる自慢話だと、読む人もいるようだが、                                      市橋は、生きる為に、                                                          自分の知識と能力を、総動員させたように思う。                                  

大学では、園芸部だっただけあって、植物に詳しい。                                          何でも、図書館で調べてから行動する。                                               さすが、インテリの逃げ方は違う。                                                     

そして元々、彼に備わっている雰囲気。                                               ボン育ちで、ヒョロっと背が高く、「ハイ。」と素直にしていれば、                                 汚い格好をしていても、飯場じゃ、                                                   「ハキダメにツル」だったに違いない。                                                  

同僚にも、「使えないのに、使ってもらえるのがよく分かる。」と言われ、                                            沖縄の女性店員にも、「あんた、モテるでしょ。」と言われている。                                

彼が捕まった時に、イカれた女子達が、ネットで、                                         「水嶋ヒロに似てて、カッコいい。」などと騒いだが、                                           あれも、しかたない。                              

市橋が、周りに身を任せるたたずまいは、                                              「腹減ってないか?これでも食べろ。」と、言いたくなるような、                                  放っておけない感じがする。                                                        

実際、彼は、チケット代を不正し、フェリーに乗った時、                                      「仕事が無い。生きていけない。」と土下座して、許されている。                                 見た目も、生きていく為の武器になる、という事だ。

浮ぶ

それにしても、細かい事を、よく覚えているものだ。                                            

公園のトイレで、水を流すボタンと間違えて、                                            警報ブザーを押した、というのには、笑えた。                                               この時は、まだ、パニくっていたのだろう。                                                           

「車両は、中央の通路を挟んで、長い席が向かい合うかたちの電車だった。」の後、                      「車両は、中央の通路を挟んで、2人掛けのシートが続く電車だった。」と、                            もう一度、似た表現を繰り返すが、この微妙な違いも、                                            彼のたどったルートが分かるようで、興味深かった。                                       

寄ってきたハトに、「おまえらにやる食べ物なんか無い。」や、                                  片足だけのバスケットシューズを見て、                                                     「もう片方あれば履けるのに、と思った。」などは、                                        「辛い」という言葉を使うより、状況が分かった。                                        

つぶしたアルミ缶が、大きなポリ2袋で、300円満たないとは。                                         私が、座ったまま稼ぐ時給は、1400円だ。                                               市橋の「初任給」に、涙が出た。                                                      

しかし、そんなホームレスから、                                                    服だの食べ物だのをもらえる、日本という国は、                                          いったい、どういう国だ?(笑)                                                    

私達は、恵まれ過ぎだ。                                                         感謝を忘れているのは、市橋だけじゃないだろう。                                         

映画や本のタイトルも、よく出てくる。                                                 内容と、その時の自分を、照らし合わせる。                                              私は、彼が紹介する作品を見たくなった。                                             

淡々と書かれた事はみな、正直に思える。                                              編集者が、どれくらい手を貸したか分からないが、                                         これが、彼のオリジナルの文なら、                                                   読み物として、とても良く書けていると思う。

学ぶ

感謝を知らなかった彼が、寝場所にも、一礼するようになった。                                       

過保護な子供達よ、毒を口にして苦いと感じたら、                                          市橋のように、自分で吐き出せよ!                                                    

フヌケな警察、TVのウソ、安全対策のウソ、                                                      そして、人間そのもののウソ。                                                          

ハイレベルな生活から、                                                        「生きとったか?」が挨拶の、人間扱いされない生活へ。                                          

市橋の両親は、この本を読んで、号泣してるだろうな。                                           

「仕事ができる人は、余計な事もする。だから嫌われる。」                                    人生のベテランから、生きていく術を教えられる。                                         

「最初の印象がいい人は、後になって態度が変わるから信用しない。」                              同感だ。私の周りにもいるよ。                                                       

怒ると、力が出る。                                                            怒りを、仕事に向けた。                                                              

細かい事は、どうでもよくなる。                                                     人としての、キャパが広がったのだ。                                                   

明日は無くても、飯場で暮らす市橋は、                                               生きる気力に満ちている。                                                       

市橋は、一生涯かけてやる事を、                                                    2年7ヶ月で、やってしまったんじゃないか。                                                しかし、それは、彼にとって、順序が逆だったけれど。                                        

学ぶ事に、年齢も立場も、関係ない。                                                           犯罪者から、それを感じても、恥だとは思わない。                                         私は、この手記から、改めて「生きる」という事を学んだ。

My Life is for me

私達は日々、「市橋」にすれ違っているかもしれない。                                        ドトールで、楽しげに語り合う2人が、                                                 次の日には、血まみれになっている可能性もある。                                        

彼が、若くて丈夫だった事、                                                       1人で過ごしたのが、沖縄だった事、                                                 周りの人が、意外にも親切だった事、                                                      それらが、彼に幸いしたように思う。                                                    

そして、市橋には、自殺しない強さ、したたかさがあった。                                    

もし、フェリー乗り場で捕まらず、島へ渡っていたら、                                       彼の言うように、餓死していたかもしれない。                                                   捕まった事で、彼は又、生き長らえた。                                                 

刑務所での生活は、自由なホームレスより、辛いかもしれない。                                           しかし、市橋が、犯した罪は重い。                                                      

一生、自由を奪われ、自分が殺した人の影に怯え、                                               小さな花壇でも設計して、「リンゼイ」という花でも咲かせよ。                                   

せっかく、生き方を学んだのに、                                                       彼にはもう、それを試す人生は無い。                                                   皮肉だ。

 

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正直良かった、「市橋」本

2011-02-17 13:50:55 | 


彼が、捕まった時から、気になっていた。
この本を買う時に、うしろめたかったのは、
私も、つまらない一般人だからなのだろう。

でも、読み始めたら、買って良かったと思った。
ああ、そうだったんだ、と思う事もあれば、涙も出たりした。

別に、彼に同情はしていないし、
この本が、減刑を狙って書かれたとか、
そんな事は、どうでもいい。

淡々と描かれる逃亡生活は、とてもリアルで、
反省でもなく、あきらめでもない、不思議な虚無感が、
今の私に、ピッタリだった。

犯罪者ではないが、人嫌いな私も、
他人の目を見ずに生きる、人生の逃亡者のような気がした。

しかし、親の愛情を受けて育った者は、
元々、ネガティブではない。
私も、市橋も、決して、「死のう。」などとは思わない。
「逃げてでも生きろ。」と思う。

だから、読んだら、元気が出てきた。
孤独に、ドン底は無いんだなと思った。

まだ、全部、読み終えていない。
詳しい感想は、又、今度書く。

私より先に、読み終えた家族が言った。

「市橋は、死刑にならないな。」
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今頃「ホームレス中学生」

2009-06-10 13:25:35 | 


図書館で予約していた本が、1年以上たって、
ようやく回ってきた。

とっくにドラマも見てしまったし、
今更読まなくていいかと思っていたが、
読みやすいので読んでいる。

ドラマが、忠実に描かれていた事がわかる。
田村はこれで、億万長者かっ!
いいなぁ~。

同じように自叙伝を書いても、売れるとは限らない。
田村の場合、ネタで話していたのが良かったのかなぁ。
シリアスでも重くなく、
ヒューマンなのが、良いのだろう。

エッセイとか、ドキュメンタリーって、
書けそうで書けない。
このぐらいの文章なら書ける、そう思っても、

他人の不幸を面白がりながら、何かを得ようとする―

こういう図々しい連中(私も含む)に、
ウケなければならないのだから。(笑)
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地震予知

2008-05-17 14:14:43 | 


中国四川省大地震が起こったその日、
出勤途中の電車の中で、警告音が鳴った。
それと同時に、ほとんどホームに到着していた電車は、
定位置の少し手前で停止した。

今まで聞いた事もない音だったので、緊張していたら、
まもなく、車内アナウンスが流れた。
しかも、とても淡々とした声で…。

「ただいまから地震が発生いたします。
つり革、手すりにおつかまり下さい。」


「へっ?」
すでに地震が起きたから停止したのではなく、
「これから」と言ってるのだ。
「こわっ!!」
しかも、この電車は、地震予知装置と連携されていたのか?
知らなかった。

地震が起きるなら、ドアを開けておいてほしいと思ったが、
いろんな意味で、危険だから開けないのだろう。
まもなく、
「安全が確認されましたので、ただいまから○○駅を、
3分遅れで発車いたします。」
何事もなかったように、運転は再開された。

地震警報は誤報だったらしい。
これは、午前10時過ぎくらいの事だったが、
この日の午後、四川省で大地震が起こったのだ。

日本では揺れなくても、この時、地震予知装置は、
地中の奥深い何かに、反応していたのではないか?

不思議な事に、1ヶ月くらい前から、うちのテレビは、
「いったん消して、何時間かたってから又つけると、チャンネルが変わっている」
という現象が起きていた。
今までテレビが壊れても、こういう現象はなかった。

最近、小さな地震が続いていたし、
磁場か何かの変化で、そうなってるんじゃないかと思って恐かったのだが、
なぜか四川省の大地震の後、その現象が直ったのだ。

うーん。
これって、うちのテレビは予知してたって事じゃないのか?(笑)
本当の因果関係はわからないが、恐い。
大地震が起こる前は、必ず何らかの変化が起こっているに違いない。

以前、泊りがけの避難訓練に参加した時に、アドバイザーの講演で、
「ボランティアは、むやみに来られても困る」というような話を聴いた。
外部から人が流れ込む事によって起こる、混乱や迷惑だってあるのだ。

中国が最初、他国の救援を断っていたのは、
「道路が寸断されている為」だと言っていたが、
確かに、いきなり来られても、どこに詰めてもらうかとか、いろいろあると思うし、
決して、救援じたいを拒んでいるわけではなかったと思う。
日本に対して、一番最初に「来てほしい。」と依頼があったのは、
誇らしい事だと思うよ。

急いで救出したい、でも段取りは難しい。
大勢の人間を動かすのは、大変な事だよね。

ただ、中国旅行した時に体験したけど、
場所によっては、順番に並ぶマナーが無かったから、
物資を配る時に、混乱するとは思うけど…。
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川端康成の慎ましきエロス

2007-12-20 13:20:06 | 


「かの子撩乱」のブックレビューを探していたら、
ぽんぽ子さんのエントリーに目がとまった。

「眠れる美女」

「エロスだね。」「夜に読んでくり。」
という文に触発されて、さっそく図書館から借りてきた。

川端康成の作品は、全く読んだ事がないが、
唯一、かの子に優しかった作家だった気がして、気になっていたのだ。

嶽本野ばらの「ドロドロした性描写」に比べたら、
川端さんのは「慎ましいエロス」だと思う。

偶然にも最近、この作品を原作としたドイツ映画が上映されている。
雑誌に掲載されていた小さな写真が、白人の美女だったのには違和感があった。
この作品は、「和風の陰鬱さ」がいいと思うのだが…。

それにしても、あのラストは何だ?
美女との添い寝に通う江口老人に、何が起こるわけでもなく、
娘をあっせんしている「家の女」の正体もわからず…。

私は、美女3人目から飽きてしまった。
だって江口老人は、
「自分は他のオイボレとは違う。」と意気込みながらも、
触ってるだけで、それ以上の事はしないんだもん。(笑)

結局、何もできない江口老人=煮えきらない川端康成なのだろうか。
コメント (3)
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「情熱」という迷惑「かの子撩乱」

2007-12-20 11:35:21 | 


白塗りの厚化粧、派手な服。
岡本かの子の、その装いに私は、
今は亡き「帝人」社長夫人、大屋政子を思い浮べた。

デュポンのカラータイツがお気に入りだった彼女は、
自慢の脚を見せる為に、ミニをはいた。
その行動は、「帝人の株が下がる。」と陰口をたたかれた。
でも、親子ほど年の離れた夫は、
「似合うぞ。ゴルフの時はいて行け。」と恥じる事なく味方したそうだ。

妻の表現の全てを受け入れる一平の、かの子への愛にどこか似ている。

エピソード「かの子撩乱」

私はこの本を、瀬戸内さんが「かの子」を完全に小説化したものだと思っていた。
だがそうではなく、本人はもちろん、一族や周りの作家の言動が、
瀬戸内さんの冷静な分析によって補足されていたものだった。

そのエピソードによって、かの子の人となりが伝わってくる。
本人を知ってから作品を読むと、その意味が本当によくわかったりするものだ。
私にとっては、宮澤賢治がそうだった。

私は今後、かの子の作品を読む予定はないが(笑)、
かの子ファンなら、資料として読む価値はあるだろう。
文章の修飾が多いかの子の作品の引用は、多少読みにくかったりもするが、
もう一度、読み返してみたい気にさせる1冊だ。

気になるアイテム

一平の祖父の安五郎が、古道具屋から「木の魚」を買ってきた。
貧乏になってしまったので、それをながめながら酒を飲む事にしたのだった。

そんな安五郎から「お家再興」をたたきこまれた一平の父、竹次郎は、
その「木の魚」を持って旅に出る。
だが商売は浮き沈み激しく、
「木の魚」は、やがて一平の食膳にのせられるようになる。

祖父の執念の「木の魚」は、一平でなくてもゾッとするアイテムである。


かの子は、航海中の箱根丸の甲板で、
アフリカ土人(今ならこんな表現はできないよなぁ。)から
「毛皮」を売りつけられた。

彼女は、その毛皮でコートを作った。
だがそれを着ていると、何度も犬に襲われるので調べてみたら、
「犬の毛皮」をつぎ合わせたものだったと言う。
考えただけで、臭そうなアイテムだ。

この話は、かの子のお嬢様度がうかがい知れて、最も笑えた。

芸術家は「狂気」を装う

瀬戸内さんは、かの子の随筆を、「歌に比べて面白味がない。」と評しているが、
私は、随筆とは「ありのまま」を書くから、随筆と言うんじゃないかと思うのだ。
私信である太郎への手紙の中でも、
自分を「ボク」などと書いて稚拙ではあるが、
かの子の「作られていない」素直な気持ちが、よく出ていると思う。

なぜここで私が、かの子のフォローをするかと言えば、
文章好きと自負のある私が、かつて好きな男に宛てた感情的な私信を、
やはり「稚拙」と指摘された事があるからだ。
彼らの方が、よっぽど文がヘタなのに、
思うまま書いたが為に、そのように事を言われて、とてもくやしかった。

かの子は、「小説家」というより「芸術家」であると思う。
芸術家は、なぜ「変わり者」と思われてしまうのか。
あまりに純粋に、物事と対峙してしまうから(かえってマトモで)、
逃避したり、壊していかないと、堪えられないのではないか。
(神経衰弱という言葉が何度も出てくる。)
つまり「狂気のフリ」をしているかもしれないという事だ。
(パンクみたいなものか。)

「芸術は爆発だ!!」と目をひんむいていた岡本太郎だって、
幼少期から、こんなに老成していたのだ。
(この両親の元なら、そうならざるをえないか…。笑)

タイラント(暴君)か純粋か

元々私は、かの子が夫と暮らす家に、愛人を同居させていたという、
その奔放さに興味を持ち、この本を読んだ。
でも、かの子と周りの人間関係は、
私が想像していたようなスキャンダラスなものではなかった。
夫も愛人も、かの子の「秘書」と化して、
彼女を小説家として大成させる為にひたすらつくした、という感じだ。

だが、かの子ばかりが不倫をしていたわけではない。
結婚してまもなく、放蕩生活をして彼女を苦しめたのは、一平の方である。

貧しさのあまり、幼い太郎を相手に、
「あーあ、今に二人で巴里に行きませうね。シャンゼリゼーで馬車に乗りませうねぇ。」と、
うわ言を言わせるほど、かの子を絶望させた。
女のヒステリックさの陰には、男の身勝手さが隠れているものだ。

でもその一平が、こんなに有名な人だった事も知らなかったが、
こんなに財を成したという事に驚かされた。
裕福になれば、全て相殺されるというわけではないが、
お金があるという事が、自由の基本だと思う。

それにしても「不倫」とは、陰でコッソリするから、ときめくものであって、
こんなにオープンにしてしまったら、
恋愛としては、つまらなくなってしまう気がするのだが…。

かの子を苦手と思っていた、谷崎潤一郎の陰口。
似た感性を持つ、芥川龍之介とのぶつかり合い。
かの子を認めていた、川端康成の実直さ。

かの子をカリスマとして仰ぐか、ただの困ったオバさんと思うかは、
人によって大きく分かれる。

かの子の作品「河明り」より

川を遡るときは、人間をだんだん孤独にして行きますが、
川を下って行くと、人間は連れを欲し、
複数を欲して来るものです。


芸術は運命である。
一度モチーフに絡まれたが最後、
捨てようにも捨てられないのである。

私は「モチーフ」という言葉を、勝手に「恋する人」に置き換えてみた。
しんみり響いてくる。わかる気がする。

かの子はまるで、アニメの「おじゃる丸」のように、
周りを振り回しておきながらも、他人をしっかり観察している。

でも私は、かの子と友達にはなれないだろう。(笑)
それは私が同性で、彼女のタイラントを許容できないせいかもしれない。
あるいは、わかり過ぎて嫌なのかもしれない。

欲しいものは欲しい。そして表現したい。
私もそんな思いを、周囲に巻き散らしているように思う。
物事にこだわれば「おかしな奴」とみなされ、
過剰な表現は、その人を孤立させる。
満たされない悲しみこそが、内なる芸術を輝かせるのだとしても、

「情熱」とは、他人にとっては迷惑なものである。(笑)

それでも、かの子も瀬戸内さんも私も心の中で、

「恋をしないよりはマシ」

と、思っているに違いない。

コメント (2)
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