休憩室から、富士山が見える。
遠いのに、色んな場所から見えるのって、すごい。
冬の空気が澄んでいるから、すごく綺麗。
雪山は、心を浄化させる。
富士山は、ツアーで、二度登った。
一度目は、装備不足と高山病で、途中でリタイア。
持病持ちの弟の方が、頂上へ行ってしまった。
悔しくて、翌年、1ケ月ジョギングし、
準備満タンで、再チャレンジ。
頂上で、ご来光を見た。
富士山は、岩がゴロゴロで、
近くで見ても、楽しくはない。
ただ高いから、登ってみたかっただけである。
富士山を見ながら、
イヤホンで、「あずさ2号」を聴く。
8時ちょうどのあずさ2号は、
今は、あずさ5号になっているらしい。
乗ってみたい。
富士山を見ていると、旅したくなる。
そのせいか、20代の頃に行った、
山中湖のペンションを思い出した。
確か、転職先が決まって、勤務前に、
友人と一緒に、冬に行ったのである。
人の少ない山中湖で、
やっているペンションは限られていた。
このペンションの事は、時々思い出していたのだが、
まだ、営業しているだろうか。
本気で確認したくなった。
行くなら同じ、冬がいい。
ネット上では、そのペンションの情報は載っていた。
電話したら、画面に個人名が出た。
「山中湖のペンション『〇〇〇』でしょうか?」
「そうです…。でも、ペンションは、もうやってないんです。
両親が亡くなって、建物も老朽化して…。」
女性の声のように思えた。
両親?
あの時のオーナーは、亡くなったのか?
「実は私、〇〇年前に、そちらに行ってまして…。
自転車で、世界を旅行していたオーナー、男性の…。」
「そうです。私です。」
「あ~、オーナーが死んじゃったのかと思いました。
そんなに年取ってないのに。」
「いや、年です。もう、70才ですよ。」
「私は、〇才になりました。(笑)」
「確か、転職先が決まって、
その前に、どこか行こうとして、冬に行ったんです。
他に、お客さんいなくて、貸し切り状態でした。
自転車旅行のビデオ、見せてもらいました。」
「写真、もらってたかな…。」(何か思い出した様子。)
「私、ピンクのダウン(本当は安物の綿入り)着てました。
建物の前で、3人で、同じポーズで撮りましたよ。
写真、送ったと思います。」
「宿泊者の記録あれば、私、〇〇〇〇と〇〇〇です。」
「皮革のキーホルダー、持ってます。」
オーナーが、この話に、すごく食いついた。
「あれは、ペンションが新しい時に作った物で、
その後は、売ってないんです。」
「そうなんですか?
じゃあ私達、新しい時に行ったんですね。」
「いつまで、営業してたんですか?」
「10年前まで。」
今は、別な場所に住んでいるが、
建物は、まだあるそうだ。
たった1泊だったのに、
長い間、お世話になっていたような気がした。
「楽しかったです。」
思わず口から(心から)出て、話を終えた。
あの時、レンタサイクルで、湖を一周した。
意外な出来事もあったので、
もっと話したかった。
やっているか確認だけのつもりだったのに、
本当に、行きたくなっていた。
大きくて、綺麗なホテルに泊まるのもいいが、
小さくて、アットホームだと、
いいも悪いも、記憶に残る。
人と人を繋ぐのって、
時間や年月の長さではなく、
会話なんだろうな。
古くからの友人も、
ずっと一緒に過ごしているわけじゃないから、
知らない事、たくさんあるしね。
ペンションがやってなくて、
オーナーと電話を切った後、
こんなに寂しい気持ちになった事に、
自分でも、驚いている。
今日も、富士山が綺麗だ。
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