相次ぐ警察官の不祥事・・・

　３月に入って、立て続けに警察官の不祥事が発覚、それも６０歳の定年を目の前にした分別ある年代の男たちばかりである。一生を棒に振ったわりにはやったことがセコイ。事が発覚して囚われの身になって初めて悟るであろうが、「後悔先に立たず」だよ。
　　　　　　　
　★大阪府警福島署の刑事課長だった男性警部（５５）が昨年、強盗強姦事件の証拠品として保管中のたばこの吸い殻がなくなっていることを知り、代わりに事件とは無関係の吸い殻を証拠品として捏造していたことがわかった。府警は証拠隠滅容疑で立件する方針。（８日の記事から）

　★佐賀県警は７日、覚醒剤事件の捜査で取り調べた相手やヤミ金業者などから多額の借金を重ねていたとして、佐賀署の５０歳代の警部（課長級）を減給１０分の１（６か月）の懲戒処分にした。警部は同日付で依願退職した。
　別の事件で逮捕された容疑者の供述で分かったそうだが、昨年９～１１月、数回にわたって計約１００万円を借りたという。さらに警部は２００８年３月～昨年１１月、ヤミ金融業者や消費者金融などから計約２７００万円を借りていた。金は競馬などのギャンブルや遊興費に使ったという。

　★警察署に保管されていた遺失物の現金を盗んだとして、警視庁は７日、同庁東京湾岸署警務課巡査部長の工藤純夫容疑者（５８）を窃盗の疑いで逮捕した。発表によると、工藤容疑者は２０１０年９月から１１年１１月までの間、計３６回にわたって、同課事務室の金庫に保管中の現金計約１６９万円を盗んだ疑い。
　工藤容疑者は落とし主が現れ、返還したように書類を偽造していたというが、昨年１１月、拾い主から落とし主が現れたかという問い合わせで事件が発覚。盗んだ金はパチンコや遊興費に充てていたとみられている。

　★飲酒運転の取り締まりの際、呼気のアルコール濃度の数値などを捏造したとして、大阪府警は６日、証拠隠滅、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で、泉南署交通課警部補の山下清人容疑者（５７）＝同府熊取町大久保北＝を逮捕、同署を捜索した。
　監察室によると、山下容疑者は１人で取り締まりを行い、男性から見えないようにアルコール測定器を操作。事前に偽造した測定結果を用意し、すり替えたとみられる。

　★パトロール中に民家の敷地へ侵入し、女性用下着を盗もうとしたとして、岡山県警は６日、県警備前署地域課の巡査長小竹森茂容疑者（５７）（岡山県赤磐市下仁保）を住居侵入と窃盗未遂の疑いで逮捕した。小竹森容疑者は容疑を認めており、自宅からも女性下着数点が見つかったという。

 　警察官といえども人間だから過ちも犯すだろうが、これらの事件では同情の余地はまったくない。そもそも警察官という職業に対する自覚、認識が足りないのではないか。これでもう老後を支える退職金はパー、再就職の見込みも薄いだろう。そして最悪の場合、家族崩壊に至るやもしれないのである。一生を棒に振ることになったのは自業自得だが、家族にしてみればたまったものではない。
　　
　警察官が不祥事を起こしても実名が出ないケースがある。これは、法律は犯したが逮捕には至らなかった場合のことである。万引きや下着泥棒、わいせつ犯罪など、逮捕するかどうか微妙なケースでは、逮捕しない―という選択をして、実名を発表せずに隠蔽することがあるという。また、被害者を説得して、犯罪そのものがなかったことにしてしまうこともあるという。こうした例はテレビドラマにもよくある話だが、「臭いものにはフタをしろ」という警察組織の事なかれ主義、身内意識の強さがそうさせるのであろう。

　警察官の処分で一番重いのが懲戒免職で、この場合、退職金は出ない。逮捕されて有罪になった場合は、基本的に懲戒免職だから、やはり退職金は出ないそうである。次に重いのは、退職金が出る諭旨免職。さらに、謹慎が命じられて給料も出ない停職、文書で処分を伝える戒告などがある。処分されると、もう出世の見込みはないし、周囲の目もあり居づらくなるのだろうか、これまでもすぐに依願退職するケースが多い。
　それもそのはずである。依願退職が認められた場合、警務部厚生課から組織に登録されている再就職を斡旋してもらえる。本来は定年退職者等のために再就職を斡旋する部署であるが、懲戒処分者でも例外ではないという。 再就職先は交通安全協会、共済等外郭団体や警察と取引のある一般企業、警備業者である。悪いことをして辞めても、依願退職なら退職金は満額もらえて、再就職の斡旋もしてもらえる。一般社会では考えられないことだが、警察って、市民には冷たいけど身内には温かくて親切なんだねえ。