そして第一号に購入したのが、実は、セルにとっては最後の音源でもあった、1970年の来日時の東京公演でのライブ演奏である「LIVE IN TOKYO 1970」ジョージ・セル指揮、クリ―ヴランド管弦楽団による演奏という有難くそして畏れ多さも感じるようなラッキーなものでした。(実はY市の中古レコード店に置いてあったのです!そのときはそこまで感じていなかったのですが今となっては運命的な出逢いだったと思っています)ソニーの京須氏によるCDの解説によると、1970年の来日時には健康状態が思わしくなかったセルでしたが、音楽への真摯な取り組みは変わらず、殆ど観光はせず一にも二にも音楽、オベロン序曲でフルートかオーボエか、メンバーが一人足りないことに気付き団員が寝過ごしたということに判明すると「クビだ、帰国させろ!」と劣化の如く怒ったという、真摯でストイックな姿勢だったそうです。生涯最後の”初演作品”でもあったという「君が代」の試奏のあと、テンポの当否をしきりに周囲の日本人にしきりに問い、譜面を穴があくまで見ていたということでした。
第1楽章はゆったりとした管弦楽から始まりますが、途中から情熱的なヴァイオリンが入ってきます。ブラームスらしい茶色がかった熱い音楽が次々と登場し、どんどん盛り上がっていきます。第2楽章はオーボエによる天から降ってきたような甘く魅惑的な歌から入るのですが、この美しいオーボエの出だしが原因で、サラサーテはこの曲を演奏したくないと言ったそうです。あの美しい旋律をオーボエが歌っているのをヴァイオリンは見るだけなのが我慢できないと。しかしその後はヴァイオリンが魅惑メロディーを引き継ぎ本領発揮!こんなに美しい歌があっていいのだろうかと思えるような夢の世界が広がります。第3楽章は管弦楽とヴァイオリンが同時に入ります。ジプシー風の力強いヴァイオリンの主題から突き進む音楽、凛々しくてかっこいいです。まさにここで決めてくれた、という感じで終わる第3楽章です。youtubeの演奏をこちらに貼り付けるのはどうか、という気持ちも少しあるのですが、曲自体知らない人もいらっしゃるかと思うので、曲紹介も兼ねて貼り付けます。Orchestre National de la Radiodiffusion Francaiseによる演奏、Otto Klemperer(オットー・クレンペラー)による指揮による、ブラームス作曲ヴァイオリン協奏曲の第2楽章です。