まず、この動画の曲を聴いてみてください。動画左上の文字は見ないでください。見える方は目をつぶってください。
どこかで聴いたことがあるようなないような曲ですが、明らかに2声のフーガですね。2声のフーガと言えば真っ先に連想されそうなのがバッハのインヴェンションですが、インヴェンションにはこんな曲はなかったですね。
では次にこの動画の最初の曲を聴いてください。
こちらは楽器はチェンバロですが、曲はおなじみの曲ですよね。
そしてもう一度最初の動画に戻ります。
なんだかバッハのインヴェンションに似ているような気がします。
しかし、この曲を作った人は、な、なんと、あの
フレデリック・フランソワ・ショパンで
曲名は「フーガイ短調 KK.IVc/2」
なのです。
実はこの曲、PTNAのピアノ曲事典にもちゃんと掲載されています。twitterでフォローしている方が紹介してくださいました。ショパンはバッハを尊敬しており、例えばプレリュード(前奏曲 )はバッハの平均律クラヴィーア曲集に敬意を示して作られているし、他の曲もハーモニーの作り方などバッハに近い(そしておそらくこのフーガよりも複雑な)要素が含まれています。バッハを研究していたと思われるので、このような曲を作っていてももっともだと思うのですが、他の曲からショパンに対して持っていたイメージとはかなり違っていたのに衝撃を受けました。、簡素ですっきりしていてかっこいい。ピアノの詩人と言われるショパンですが、この曲に限ってはチェンバロで弾いてもぴったりな気がします。作曲年は1827年という青年期説と1841年という中年期説とに分かれています。また作品番号はショパンの曲の作品番号によくついている「Op」ではなく「KK.IVc」という記号がついています。実はこの記号、ワルツ、マズルカ、変奏曲の数曲にもつけられていますが、身近ではなかったので興味深く感じました。
それにしてもあれだけショパン、ショパンと言っていた時期もあったのに、この曲の存在にかすりどころかまったく気づかなかったとは。。。
ちなみに紹介してくださった方がこの曲を知ったきっかけが、ポーランドのインターネットラジオによる、Wim Ten Haveという方の編曲による弦楽版(version for strings)によるものだったのも衝撃的でした。この曲の存在も知らない人が多い中、なんとすでに弦楽版に編曲までしていた方がいらっしゃったのですね!腰を抜かしそうでしたが、この弦楽版というのもぜひ聴きたいものです。
まだまだ謎はありそうです。 この曲の楽譜、楽器店では見たことないのですがきっとどこかにあるでしょう。探し当ててみたくなりました。
音楽の世界は謎多き世界、まだまだ謎めいたものが、身近なところでうごめいていそうな気がします
(ある方から情報をいただきました。〇音から出ているショパンピアノ遺作集に楽譜があるそうで、31~2歳ごろに書かれ、主題はケルビーニのものだそうです。ありがとうございました。)