いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

名曲シリーズ シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団

2013年03月26日 | ピアノ・音楽

 友人のピアノを聴いた後はオーケストラを聴きに行きました。シルヴァン・カンブルラン指揮読売日本交響楽団による、東京芸術劇場名曲シリーズです。シルヴァン・カンブルラン氏指揮の演奏を初めて聴いたのは昨年10月に「マ・メール・ロワ」と「ダフニスとクロエ」でしたが、音が上へ上へと舞い上がるまるで夢のような世界にすっかり心奪われました。そして12月には第九を聴きに行きさらにお気に入りに。彼の来日時は必ず一度は演奏会に行こうと決めてやってきたこの日。期待しながら行きました。東京芸術劇場に行ったのは初めてだったのですが、改装されて華やかな施設になっていました。

 曲目は以下の通りでした。

メンデルスゾーン作曲 弦楽のための交響曲第8番 ニ長調

モーツァルト作曲 協奏交響曲 変ホ長調 K.Anh.9

休憩

モーツァルト作曲 交響曲第39番 変ホ長調 K.543

 最初の弦楽のための交響曲第8番はメンデルスゾーンが13歳の時に作った曲で弦楽器だけの演奏でした。第1楽章、最初の短調の出だしから湧き上がるような軽やかな主題へと舞い上がるところで一気にわくわくと何か物語が始まりそうな雰囲気に。第2楽章は中低音の弦楽器が活躍。ゆっくり歩くような感じだからこそ却ってごまかしのきかなそうな部分だろうと思いながら聴いていました。第3楽章ではたちまち華やかで楽しい雰囲気に。第4楽章では若々しくはつらつとした音楽が。中には対位法のようなおっかけっこもありわくわくした気持ちになりました。モーツァルトとどことなく似ていたところもあったような気が。

 モーツァルト作曲の協奏交響曲は木管楽器のソロが活躍する曲でこの曲も初めて聴いた曲でした。木管楽器のソロの方たちの織りなすアンサンブルと背景のオケとの溶け合いが素敵でした。クラリネットとホルンが印象的だった気が。どちらもソロで聴くことはほとんどないのですが豊かでのびやかな気持ちになれそうでした。

 休憩後は唯一知っていたモーツァルト作曲交響曲第39番。この交響曲第39番に出会ったのは学生時代。交響曲を初めて聴きたいと思った時期と、指導教官がモーツァルトが大好きだったのとが重なり、最初に是非自分でCDを買って聴こうと思った交響曲がモーツァルトの後期の交響曲でした。クラリネット五重奏曲をいつも研究室でかけていた指導教官に交響曲のお勧めのCDを尋ねたところ、ホグウッドという答えが返ってきたので何の疑いもなくホグウッド指揮の38番プラハと39番が入っているCDと40番と41番ジュピターが入っているCDを購入したのでした。初めて購入した交響曲のCD、モーツァルトとの出会いとともに交響曲そのものとの出会いでもあったホグウッドのCDの中にこの39番も入っていて当時何度も聴いては励まされていたのでした。(当時は分かっていませんでしたが、実はピリオド奏法が流行しはじめた時期だったのでした) なのでこの曲を生演奏で聴けることをとても楽しみにしていました。おそらくカンブルラン氏も古楽的なアプローチをしそうだから、ホグウッド氏と近いところがあるのではないかという期待もありました。

 カンブルラン氏が第1楽章を振り始めた瞬間、当時の思い出もともによみがえってきました。しかし今回は何といっても生演奏。奥行きがあって薫り高い演奏がステージからどんどん湧き上がってきました。カンブルラン氏による指揮のモーツァルトはどこまでも温かく軽やかで想像力をかきたててくれそうな演奏でした。ちなみに序奏、実は指揮者によってはかなりゆっくりしているのですね。後でヨッフム、ベーム、ワルターの指揮による演奏を聴いてびっくり(気付くの遅すぎですね)

 第2楽章、主題のかけあいを大切にしていそうなカンブルラン氏の動きが素敵でした。それぞれの楽器がお互いにお話ししているような感じでした。音のみによるオペラ劇場。

 第3楽章のメヌエットはまさに舞踏としてのメヌエットでした。曲とともにタクトを躍らせていたカンブルラン氏、そしてその指揮棒に合わせていた楽団員たち、タクトに合わせて合わせて音を躍らせていました。思わず私も拍子に合わせて指揮しそうになりました。さすがに指揮は恥ずかしかったのでうなずきつづけていましたが(爆)幸せな気持ちになれるメヌエットでした。

 第4楽章の主題はとても印象的で大好きなのですが、さすがです。ダイナミックに主題を繰り広げてくれました。オーケストラ、もっと指揮棒に乗って疾走してくれてもよかったかもしれない、というところもありましたが、全体としては色彩豊かで素敵な演奏だったと思います。旋律が消えたりころころ転調したりと変化に満ちた音楽、その中にあるドラマがしっかり伝わってきました。カンブルラン氏の解釈でしょうか、途中、金管楽器が3回続けて音を鳴らすところが数回あり華やかな雰囲気を作り出していたのも印象的でした。終わるときには温かく満ち足りた気持ちになりました。

 今更なのですが生でオーケストラを鑑賞する際には指揮者の動きと音の立ち上がり方、そしてパートごとの音の違いとパート内でも場所による音の違いとをしっかり感じ取ることが大切だと思いました。その感じ取る感覚器官は主に耳と目とおそらくプラスアルファ。空気のような皮膚感覚も大切なのではと感じました。

 今後もまたカンブルラン氏指揮による演奏を聴きに行きたいと思いました。


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