まとめて読書する、ということがめっきり減っていてなんとかしたい、と思いながらも読みとおした本です。著者は自称劣等生不良少年出身で、賭博の世界でも有名で麻雀小説も書いていたということも知ったのですが、人生や物事の本質を鋭くとらえていると感じました。若いときに読んでおきたかった本でもあります。ここで紹介したくないぐらい(笑)(また賭け事を決してすすめているわけではないこともご理解ください)主な内容です。
大勢の人にあるがままで関心を持てたのは幸せだと思う。好きになれたのも幸せだと思う。何十年か前のゴミ屋さんの顔や口もきいたことのない運転手さんたちの顔なんかを思い出せたことが心の支えになることもあったそうです。
プロの勝負の世界で大切なのはフォームを崩さないこと、9勝6敗を守ることが大切。そのときたまたまというのではだめ、いつも維持できていないと。継続自体が本当は大変なんですね。あれこれ考えすぎるのがよくないこともある。マイナスを消そうとすると長所が消えてしまうこともあるし。大事なところでチャランポランになる能力、というのが必要だ。自分のそのときの限界を見せてしまわないこと(ついついやってしまうのですが)。スケールの大きさが大切。
中学のころ主席を通した男のすごかったところはずばぬけてスケールが大きかったことだ。学校側が与えるものを乾いた砂地が水を吸い込むようにうのみのように飲み込んでいた。非常に素直になる努力をしていたということだ(ちなみに卒業後は脇目もふらず英文学の世界に突っ込み学者になったそうです)
生きている、というだけで、すでになにがしかの運を使っている。けっして、権利で当然生きているわけじゃない。それ以上の運を費やそうと思ったらそれなりの努力が必要なんですね。
わかるということは、言葉でわかったりすることじゃない。わかるということは、反射的にそのように身体が動くってこと。なんだか実生活やピアノでも言えそうなことです。
ばくちでは勝ち星が先、負け星が後だけど、実生活では負け星が先、それから勝ち星。自分を客観的(外から眺める)ことが大切。
どんな人にもどこかに短所があると思う。その短所とちゃんと向かい合うことから始まる。そしてその短所が致命傷となるようなコースは避けよう。そして自分の一病(短所)をこれだと定めて、これは仕方がないから養うしかない、と思ったら完全人間の誇りは捨てること。その一病に対しては他人から軽く扱われても怒っちゃいけない。
色川さんって、非常に愛情あふれた温かい心の持ち主だったのだと思う。近くにいたら大変な人だったのかもしれないけれど。