オルセー美術館展がある、ということは前から知っていた。実際にパリのオルセー美術館に行くことがあり、美しく親しみやすい絵が多く感じたのにも関わらず、ツアーの関係上時間があまりとれなくて残念だった記憶があったので、今回こそぜひ行きたいという思いがあった。しかも今回は約半数の作品がこちらに来るということではないか。すごいことだ。日程を見ると8月16日まで。もうすぐで終わりだ(汗)主人にも声をかけたのだが、混雑が予想されるので一人で行ってきてとのこと。本当は本人も絵を見たかっただろうとは思うのだが、経験から人混みが苦手というのは分かっているので了解。(その結果八景島になりました)平日の昼間だから今回は大丈夫だろうと高をくくっていたが。。。。。美術館に着くなりびっくり。長蛇の列ができていて入場まで30分待つようにという指示。会期末ぎりぎりの時期だったからなあ。やっぱり主人は来てはいけなかった。
無事会場に入ることができたのだが、会場内も人、人、人。作品はいきなり「最後の印象派」。モネを始めとした印象派後期の作品だ。日本庭園を元にえがかれたと思われる「睡蓮の池、緑のハーモニー」、洋服や日傘にあたる光の描写が見事な「日傘の女性(二作品あるようですが、展示してあったのはこちらからは右、正面を向いている作品です)」、はっとするほど美しい夕焼け空と反射した水、そしてそこから浮き出ているように見える国会議事堂が印象的な「ロンドン国会議事堂、霧の中に差す陽光」という超有名作品が展示されていた。輪郭よりも微妙な光の動きを美しい色彩のタッチで表現したモネ。いつみてもいいのだ。人が多いのにも関わらず「睡蓮の池、緑のハーモニー」と「ロンドン国会議事堂」の前ではしっかり時間をとって見た。その次は踊り子など人物の表現が巧みだったドガの作品が展示してあった。他にもシニャック、スーラ等いい作品がたくさん展示してあったのだが、省略する。
最も楽しみにしていたセザンヌの展示室に入った。当初は物の形の抽象化を始めた人で、分かりにくい絵の創始者だという思いもあったうえに、描かれる対象にもあまり魅力を感じておらず、あまり好きではなかったのだが、実際にオルセー美術館でセザンヌの「籠のある静物」「リンゴとオレンジ」を見て一気に先入観が吹き飛び魅入られてしまった。こんなに説得力のある絵は見たことない、と思った。果物の色の美しさ、平面的に見えて温かみのあるポット、無造作だけどいい感じの白い布、そしてそれらの物のバランスが見事でこの絵から離れたくないと思えるぐらいだった。その絵に今回も再会できたのだ!(見ることができたのは「籠のある静物」で、「リンゴとオレンジ」は今回の展示にはなかったが)やっぱり重量感や説得力があって光っている。天才だと思った。「サント=ヴィクトワール山」も美しい。彼の捉え方が見事なのだろう。これこそ写真ではなくて「絵」だからこそできることなのだと思った。セザンヌの作品はぜひ一度実物を見ることを強くお勧めする!特に「籠のある静物」や「リンゴとオレンジ」は白眉ですよ、本当に。
セザンヌで思いっきり熱くなっていたが、まだまだロートレックなどすぐれた作品が続く。ロートレックも好きだ。人物の表情が動きをもって巧みに描かれている。
そしてセザンヌの次に楽しみにしていたゴッホの部屋にやってきた。こまやかな筆遣いで光の微妙な動きをあらわしたモネの作品と違い、太く長くくっきりした鮮やかな色、油絵の具の特徴をふんだんに生かしたと思えるような線で描いている。「アルルのゴッホの寝室」を見たのは実は三回目。いつ見ても見事だと思う。水色と茶色の組み合わせ、そしてアクセントのように入っている赤と黄色が印象的だ。また「自画像」(左を向いたパイプを吸っていない絵が展示されていました)の目の周囲にみられる緑や赤の線もすごい。線に彼の思いが込められているような気がする。そして本当に美しいと思ったのが「星降る夜」だった。暗い夜空のなか自ら光を放つのは北斗七星とガス灯。その光を川の水面が受け止め美しい反射をなしている。手前にいるのは恋人たち。向こうの岸辺はゆるやかな曲線。静かな風景のはずなのだが筆の線の方向から動きと力が感じられる。想像力がかきたてられる。
ゴッホと同じ部屋にはゴーギャンの作品があった。一時期は人間の内面を表現しようとしていて同士として仲間だった彼ら。その後ゴーギャンはタヒチに向かい、平面的で力強い絵を描くようになる。「タヒチの女たち」の絵からにじみ出てくる生き生きした雰囲気。彼女たちとの語らいもあったのではないかと思えてくる。
その後ルソーの「蛇使いの女」等を見て出口へと向かった。「蛇使いの女」の女性と笛の暗さが何ともいえず印象的だ。ルソーの絵はあやしそうな絵が多いのだが、どの絵にもほのぼのしたユーモアが感じられるのでいつ見ても楽しい。倉敷の大原美術館にある「牛のある風景」という絵も大好きだった。
本当に充実した企画だったと思う。人が多いのも分かるような気がする。広島の美術館はそんなに人が多くなかったので、絵をひとりで見に行くことはゆっくりできる贅沢であり、ひそかな楽しみでもあった。今回はちょっとゆっくりはできなかったな。しかしささやかな楽しみは味わえた。それにしてもこれだけの絵が一度に日本に持ち込まれたなんて。。。もしオルセー美術館のためにパリに来ている人がいたとしたらがっかりだろうと思う。そうならないためにも下調べは念入りにですね。
続きはまた書きます。
無事会場に入ることができたのだが、会場内も人、人、人。作品はいきなり「最後の印象派」。モネを始めとした印象派後期の作品だ。日本庭園を元にえがかれたと思われる「睡蓮の池、緑のハーモニー」、洋服や日傘にあたる光の描写が見事な「日傘の女性(二作品あるようですが、展示してあったのはこちらからは右、正面を向いている作品です)」、はっとするほど美しい夕焼け空と反射した水、そしてそこから浮き出ているように見える国会議事堂が印象的な「ロンドン国会議事堂、霧の中に差す陽光」という超有名作品が展示されていた。輪郭よりも微妙な光の動きを美しい色彩のタッチで表現したモネ。いつみてもいいのだ。人が多いのにも関わらず「睡蓮の池、緑のハーモニー」と「ロンドン国会議事堂」の前ではしっかり時間をとって見た。その次は踊り子など人物の表現が巧みだったドガの作品が展示してあった。他にもシニャック、スーラ等いい作品がたくさん展示してあったのだが、省略する。
最も楽しみにしていたセザンヌの展示室に入った。当初は物の形の抽象化を始めた人で、分かりにくい絵の創始者だという思いもあったうえに、描かれる対象にもあまり魅力を感じておらず、あまり好きではなかったのだが、実際にオルセー美術館でセザンヌの「籠のある静物」「リンゴとオレンジ」を見て一気に先入観が吹き飛び魅入られてしまった。こんなに説得力のある絵は見たことない、と思った。果物の色の美しさ、平面的に見えて温かみのあるポット、無造作だけどいい感じの白い布、そしてそれらの物のバランスが見事でこの絵から離れたくないと思えるぐらいだった。その絵に今回も再会できたのだ!(見ることができたのは「籠のある静物」で、「リンゴとオレンジ」は今回の展示にはなかったが)やっぱり重量感や説得力があって光っている。天才だと思った。「サント=ヴィクトワール山」も美しい。彼の捉え方が見事なのだろう。これこそ写真ではなくて「絵」だからこそできることなのだと思った。セザンヌの作品はぜひ一度実物を見ることを強くお勧めする!特に「籠のある静物」や「リンゴとオレンジ」は白眉ですよ、本当に。
セザンヌで思いっきり熱くなっていたが、まだまだロートレックなどすぐれた作品が続く。ロートレックも好きだ。人物の表情が動きをもって巧みに描かれている。
そしてセザンヌの次に楽しみにしていたゴッホの部屋にやってきた。こまやかな筆遣いで光の微妙な動きをあらわしたモネの作品と違い、太く長くくっきりした鮮やかな色、油絵の具の特徴をふんだんに生かしたと思えるような線で描いている。「アルルのゴッホの寝室」を見たのは実は三回目。いつ見ても見事だと思う。水色と茶色の組み合わせ、そしてアクセントのように入っている赤と黄色が印象的だ。また「自画像」(左を向いたパイプを吸っていない絵が展示されていました)の目の周囲にみられる緑や赤の線もすごい。線に彼の思いが込められているような気がする。そして本当に美しいと思ったのが「星降る夜」だった。暗い夜空のなか自ら光を放つのは北斗七星とガス灯。その光を川の水面が受け止め美しい反射をなしている。手前にいるのは恋人たち。向こうの岸辺はゆるやかな曲線。静かな風景のはずなのだが筆の線の方向から動きと力が感じられる。想像力がかきたてられる。
ゴッホと同じ部屋にはゴーギャンの作品があった。一時期は人間の内面を表現しようとしていて同士として仲間だった彼ら。その後ゴーギャンはタヒチに向かい、平面的で力強い絵を描くようになる。「タヒチの女たち」の絵からにじみ出てくる生き生きした雰囲気。彼女たちとの語らいもあったのではないかと思えてくる。
その後ルソーの「蛇使いの女」等を見て出口へと向かった。「蛇使いの女」の女性と笛の暗さが何ともいえず印象的だ。ルソーの絵はあやしそうな絵が多いのだが、どの絵にもほのぼのしたユーモアが感じられるのでいつ見ても楽しい。倉敷の大原美術館にある「牛のある風景」という絵も大好きだった。
本当に充実した企画だったと思う。人が多いのも分かるような気がする。広島の美術館はそんなに人が多くなかったので、絵をひとりで見に行くことはゆっくりできる贅沢であり、ひそかな楽しみでもあった。今回はちょっとゆっくりはできなかったな。しかしささやかな楽しみは味わえた。それにしてもこれだけの絵が一度に日本に持ち込まれたなんて。。。もしオルセー美術館のためにパリに来ている人がいたとしたらがっかりだろうと思う。そうならないためにも下調べは念入りにですね。
続きはまた書きます。