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日向坂46、『Happy Smile Tour』で迎えた変革のタイミング 四期生のライブ初参加、挑戦的な演出でも広がる可能性

2022年11月16日 23時35分00秒 | 日向坂46

こ~んばん~わ





 日向坂46の全国ツアー『Happy Smile Tour 2022』最終公演が11月13日、国立代々木競技場第一体育館にて開催された。2022年は初の東京ドーム公演や『W-KEYAKI FES. 2022』など大会場での公演が目立った日向坂46だが、ツアーとなると昨年秋の『全国おひさま化計画』以来実に1年ぶり。今年は9月10日の愛知を皮切りに、兵庫、神奈川、東京と全国4都市で8公演を行なった。公演数こそ決して多くはないものの、だからこそライブ1本に注ぎ込む熱量は強力なものがあり、また東京公演には加入間もない四期生がライブに初参加するなど、演出スタイル含め変化と新たな可能性を感じさせる貴重な機会となった。

 オープニングはツアータイトルの印象からは異なる、ややダークな演出で度肝を抜く。黒いガウンにフードを被ったメンバーが姿を現すと、キレのあるダンスとともに佐々木久美や齊藤京子、金村美玖が拳を突き上げ、スクリーンに映った青白い月のような球体にヒビを入れていく。そして、その球体が割れたところで、1曲目「My fans」に突入。ひとり、またひとりとフードを外していくメンバーは、いつも以上にクールな表情と不適な笑みでこの曲を表現していく。ここからどう“Happy Smile”な世界へと変化していくのだろう。

 そんなことを考えていると、エレクトロ調のダンストラックを経てベージュの衣装へと早着替えしたメンバーが、ライブ終盤の盛り上げ曲として定着している「NO WAR in the future 2020」「キツネ」を早くも投入。特に後者では間奏にメンバーそれぞれのソロダンスもフィーチャーされ、ひたすらカッコよさを追求したステージが繰り広げられた。

 かと思えば、MCでは富田鈴花がステージ上に大きめな虫がいることを報告し、それを佐々木久美が素手で“退場”させるというハプニングも。「きっと代々木公園から、ライブが観たくて来たおひさま(=日向坂46ファンの総称)ですかね」と言って、会場を和ませた。さらにその後、このツアーを楽しくするための呪文「ハッピーチャチャチャ、スマイルピロピロピロ〜」をメンバーが唱え、声を出せない観客は体でリアクションするなどして一体感を高めていった。



 この頃から少しずつ“Happy Smile”な世界へとシフトし始めたライブは、一期生による「耳に落ちる涙」で会場をしっとりとした空気で包み込む。曲中、加藤史帆の頬を涙か汗のような雫が滴るなど、楽曲の持つムードと合致したことでより濃厚な世界観が展開されていく。そこから二期生+三期生・上村ひなのによる「君のため何ができるだろう」へと引き継がれると、エモーショナルな空気はさらに増幅。さらに、極め付けの1曲「僕なんか」で会場は最初のクライマックスを迎える。クールな第1ブロック、エモーショナルな第2ブロックと、MC以外ではハッピーさが強調されない見せ方。もちろんこれまでも披露してきた要素ではあるが、序盤にハッピーオーラを抑えた構成はグループのこの先の進化を考える上で新たな手札になるのだろうか。







 「耳に落ちる涙」からのアリーナ後方サブステージでのパフォーマンスをひと通り終えると、再びメインステージへ戻り「飛行機雲ができる理由」へ。ステージ後方一面に広がるLEDスクリーンに青空と雲が映し出され、その曲調とともに日向坂46本来のポジティブさも復調していく。その空気は続く「君しか勝たん」でさらに加速し、“Happy Smile”モードへと完全移行。幸福感いっぱいの歌とパフォーマンスに、観る側にも自然と笑みが溢れる。



 そのハッピーモードの極め付けとして、続くブロックでは四期生がライブ初お披露目となった。メンバーがひとりずつ登場しソロダンスを見せていくと、12人全員が揃ったところで四期生初オリジナル曲「ブルーベリー&ラズベリー」を歌唱。堂々とした歌とダンス、非常に息が合った全体のパフォーマンスを前に、彼女たちが加入数カ月だという事実を忘れてしまいがちだが、純白の衣装をまとった姿から放たれる初々しいオーラは間違いなく新人そのもの。この個性と存在感を持つ彼女たちが先輩メンバーに合流したあと、日向坂46はどう変化していくのかを考えただけでもワクワクしてくる。





 MCでは四期生がひとりずつ自己紹介。後輩たちを前に先輩メンバーの表情からは自然と笑みがこぼれ、優しい眼差しで四期生の一挙手一投足を見守る。これを受けて、キャプテンの佐々木久美が「12人の四期生が加わりました。総勢33人になり、横一列がこんなに長くなって私たちもうれしいです。33人になっても変わらずに日向坂46らしく、これからも頑張っていきたいと思います」がと改めて挨拶する。続いて本ツアーを怪我で休演し、この東京公演から復帰した潮紗理菜が「みーぱん(佐々木美玲)が昨日の夜、『何か不安なことがあったら明日みんなで確認しよう。みんなきっと迷惑じゃないから、全然言っていいんだよ』と連絡くれて。今日も不安なしで楽しんで、全力な気持ちでこのステージに立てています」とメンバーとの絆の強さを明かす一幕もあった。



 以降はユニット曲や期別曲を交えながら、グループの持つ多様性やさまざまなカラーを展開していく。影山優佳、金村美玖、富田、上村による「その他大勢タイプ」、佐々木美玲、東村芽依、河田陽菜、松田好花による「10秒天使」で音楽的な広がりを見せたかと思えば、三期生による「ゴーフルと君」で弾けたパフォーマンスを提示し、デビューシングル曲「キュン」を挟んで一期生「真夜中の懺悔大会」、二期生「恋した魚は空を飛ぶ」でそれぞれ圧倒的なパフォーマンスで観る者を魅了する。さらに、「アディショナルタイム」で一糸乱れぬダンスを披露したかと思えば、続く「ってか」ではアリーナを囲む回廊に散ったメンバーが目の前で迫力あるダンスを繰り出し、一瞬たりとも目が離せない。

 そして、クライマックスとして披露されるのが最新シングル曲「月と星が踊るMidnight」。ライブ冒頭の演出で青白い月が砕かれ、ダークな世界へと飛び込んだ日向坂46が徐々に“Happy Smile”を取り戻し、この曲で煌びやかな星空に浮かんだ新たな“月”を浮かべる……そんなストーリーが想像に難しくないこのライブを最高潮に導くに相応しい「月と星が踊るMidnight」では、センターの齊藤京子を筆頭に力強い歌と息の合ったダンスで唯一無二の世界を構築。その幸せに満ち溢れた空気を引き継ぐように披露された「知らないうちに愛されていた」で、会場の一体感をピークにまで高めてライブ本編を終えた。



 アンコールは、佐々木美玲をセンターに据えた「アザトカワイイ」から元気いっぱいにスタート。会場内が再びハッピーオーラに包み込まれると、続くMCでは齊藤がツアー初日でセンター曲「月と星が踊るMidnight」を初披露したことに触れつつ「このツアーは私にとってすごく大切な思い出になりました。これからもいろんな歌番組で歌えるように頑張りたいと思います」とポジティブなコメントを寄せる。続けて佐々木美玲が「(ツアー中)メンバーが欠けたりしたこともあったんですけど、こうやって千秋楽は誰ひとり欠けることなく、そして四期生も加わり、大きなグループになってすごくうれしい気持ちでいっぱいです」と感慨深げに話すと、佐々木久美は「私は皆さんが作ってくれる、“あれ”が大好きなんですよね」と次に披露する楽曲について触れる。すると、客席のペンライトが瞬時に虹色に染まり、「今回は私たちも一緒に、皆さんの“虹”に参加させてください」と「JOYFUL LOVE」を会場がひとつになって作り上げていった。曲中、虹色のペンライトがウェーブを作る場面もあり、さらに会場の一体感が増していく。そして、グループを象徴するような1曲「日向坂」で約2カ月にわたり続いた全国ツアーを完走した。





 

ライブの見せ方で新たな試みを用いるという挑戦的な演出と、四期生加入による可能性の提示など、グループが変革のタイミングを迎えたことを感じさせた今回の『Happy Smile Tour 2022』。観る者をハッピーで笑顔にさせるという軸はそのままに、この先どんな進化を遂げるのか。年末に控えた恒例のクリスマスライブ『ひなくり2022』でその片鱗を感じることができるかもしれない。

■セットリスト
日向坂46『Happy Smile Tour 2022』
2022年11月13日(日)国立代々木競技場第一体育館
00. Overture
01. My fans
02. NO WAR in the future 2020
03. キツネ
04. 耳に落ちる涙
05. 君のため何ができるだろう
06. 僕なんか
07. 飛行機雲ができる理由
08. 君しか勝たん
09. ブルーベリー&ラズベリー
10. その他大勢タイプ
11. 10秒天使
12. ゴーフルと君
13. キュン
14. 真夜中の懺悔大会
15. 恋した魚は空を飛ぶ
16. アディショナルタイム
17. ってか
18. 月と星が踊るMidnight
19. 知らないうちに愛されていた

<アンコール>
20. アザトカワイイ
21. JOYFUL LOVE
22. 日向坂

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