ATSUー歴女(おばさん?)のひとりごとー

見たこと・聞いたこと・ちょっと調べたこと,気ままに「My 日記」として書いています。

石橋克彦『南海トラフ巨大地震』:第1章 歴史

2018-09-14 15:01:33 | 日記 安政地震関連・本・古文書など
最近,災害についていろいろ考えさせられます。

そろそろ,仕事や家の用事などでしばらく中断していた
安政地震関係の勉強に戻ろうと思います。


さて,この本は,岩波書店の全11冊からなるシリーズの1冊です。
「激甚な災害が日本社会に与えた衝撃の意味を考える  叢書 震災と社会(全11冊)」
の1冊目,
 石橋克彦(神戸大学名誉教授)
『南海トラフ巨大地震ー歴史・科学・社会』です。

(「神戸大学」というのがミソで,
 阪神淡路大震災を経験していますから。
 史学科では,古文書のレスキューなどもやっています。)

ただ,ここでは,「歴史」の部分だけ取り上げます。

地震の概要は,既に精力的に続けられており,
以下はあくまでも現時点での私のまとめ・・・と著者は言っています。

その地震の概要を書いたもの。
宇佐美龍夫ら『日本被害地震総覧599-2012』(総覧)
簡略版『理科年表』の「日本付近のおもな被害地震代表」
『日本歴史災害事典』


次に,地震史料。
地震史料というのは,地震記事を含んだ歴史記録(文献史料)のことです。
明治以降,地震史料の収集・刊行が行われています。
武者金吉『増訂大日本地震史料』3巻(1941.43年)『日本地震史料』(1951年)
1970年代からは
東京大学地震研究所・宇佐美龍夫ら『新収日本地震史料』21冊,
宇佐美龍夫『「日本の歴史地震史料」拾遺』8冊

ただし,史料批判が欠かせません。
つまり,史料の解読の際にも歴史的背景の理解や考証が重要。
地震研究者の不注意から,実在しない地震が導かれたこともある。
史料の注意深い取り扱いを重視した場合は,史料地震学と呼ぶこともある。

地震地質学,地震考古学と呼ばれるものもある。
地層や遺物から,年代を推定する必要がある。
文字史料による裏付けが考古学の向上につながる。
特に,液状化跡は,その地点の強震動がわかるだけで,
原因が,南海トラフ巨大地震なのか,
その前後何年か何十年かの間に起きた内陸地震なのか,原理的にわからない。


さて,私が関心をもって勉強している嘉永7年の地震,
安政東海地震・安政南海地震については,
上記の史料が活字化されていることもあり,詳細を伝えてくれる。


・・・ということですが,
よーく考えると,私が調べたいのは,地震そのものではありません。
地震が起きた幕末という時代の庶民です。

科学者としての過去の地震の研究ではなく,
北原糸子『地震の社会史 安政大地震と民衆』のような
歴史学からの・・・。

でも,この本は,基本の「き」のような気がします。
過去に地震でこんなことがあったよ,というのではなく,
「1854年安政南海地震による震度と津波高の分布」
といった地図(総覧の図を簡略化)は,どこでどれだけの揺れがあったのか,
一目瞭然です。

以前,
「嘉永7年(安政元年:1854年)の大地震では,網干は震度6強~6弱だった!?!」(2018-03-17)
の中で,
「兵庫県下では,淡路島南部・尼崎・明石・加古川・網干・赤穂・坂越は,
 震度6強~6弱としています。」と書きましたが,
きっと,この「総覧」に基づいて書かれたのでしょう。

今回の『南海トラフ巨大地震』では,網干の震度は載っていませんでしたが,
加古川や赤穂は震度6と出ています。
ちなみに,姫路は震度5~6。
姫路城は,固い地盤の上にできている,と聞いたことがありますが,
どんどん埋め立てられる網干とは,地盤の固さが違います。
もちろん,震度も変わりますよね。


再スタートです。



PS.話がそれたままでした。(9月15日追記)
この本の第1章では,南海トラフ巨大地震と思われる地震,
1944年・1946年の地震から,
幕末,近世,中世,古代とさかのぼり,
なんと,684年の白鳳地震(天武地震)まで書かれています。
私が「基本のき」と言ったのは,
それぞれの地震の震度,津波,
史料についてわかりやすく説明してくれているからです。

ちなみに,この白鳳地震の根本史料は『日本書紀』
でも,南海巨大地震の特徴をよく伝えているそうです。






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4 コメント

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Unknown (雪花)
2018-09-15 16:46:06
ATSUさんのがんばりにはいつも感心します。

生涯学習インストラクターについてはよくわかりました。
2級申請は出来ることがわかりましたが、多分しないと思います。気が変わったらわかりませんが。
年齢からいってちょっと足踏みします。
通信講座だけは続けます。

今、応用コースステップ2を受講してますが、五回目の課題は姫路です。ATSUさんのところだと親しみがわきました。読めない地名があったので図書館で調べたり
して、網干もわかりましたよ。
返信する
めざすだけですが,頑張ります! (ATSU)
2018-09-16 06:23:06
まだまだ大変だと思います。
そんな中,コメントありがとうございます。

関西にいても,いつも買っている牛乳がスーパーからなくなりました。(別の牛乳を買っていますが・・・。)

私の場合,生涯学習インストラクターは,目指すのが目的です。古文書の先生をするつもりはありませんし・・・。
もうすぐ基準の解読実践コース2年が終わりますが,1回「B」を取っているので,もう一年してから論文を提出するつもりです。それまでの1年で,書いてみようと思います。
(でも,今回提出した課題は「B」かもしれません。難しかった。)

応用コースステップ2,5回目の課題,覚えていますよ。だって,むちゃくちゃうれしかったですから。知っている地名ばかりでしたしね(笑)

ぼちぼち,マイペースで古文書,楽しみます!

関西はまだまだ暑いですが,きっと,北海道は寒くなってくるのでしょう?!?
雪花さま,くれぐれもお体にお気をつけください。
返信する
知恵泉 (YAPI)
2018-09-19 00:38:40
ATSUさん 
こんにちは

今年は天災つづきで,歴史と防災について考えさせられました。地震についてなど,昔の人の知恵に学ぶことは,まだまだあるように思います。

NHKで先ほど下の番組が放送されたそうですが,ご覧になりましたか。

知恵泉「江戸の危機管理“決め手は日々の蓄積”」

予期せぬ天災が起きたとき、不祥事が発生したら…その時、トップはどう立ち振る舞うか―江戸の危機管理前編では幕末の「安政大地震」を例に、先人たちの知恵を探る。出演 :山本博文ほか
(再放送:9月25日(火)午後0時~0時45分)

私は見忘れたので,再放送を見るつもりです。
ATSUさんが興味ありそうな内容だったので,ちょっとお知らせします。



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バッチリ,録画しました。 (ATSU)
2018-09-19 07:13:26
YAPIさま,こんにちは!
お久しぶりです。お元気でしたか?

知恵泉,ご紹介ありがとうございます。
昨日,新聞のテレビ欄で見つけ,その時間には見ることが出来ないので録画しました。時間のある時にゆっくりと見たいと思います。

先日,久しぶりに「みんなで翻刻」をのぞくと,史料がふえていました。(私が気が付かなかっただけかもしれません。)
「諸國大地震大津波実説早引方角附 世直り一覧 嘉永七年甲寅十一月四日・五日」(ステージ8)
その中には,なんと,「姫路」だけでなく,「網干」「むろ」(今の室津)も載っています!むちゃくちゃうれしくなってしまいました。(ちょっと切れ目になっていて,見にくいですが)

今日は,「歴史秘話ヒストリア」の「蒙古襲来」を予約しています。
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