数日前、藤田嗣治画伯の旧居跡を訪ねた時、萩の花が今を盛りと咲き匂っていた。そう言えば「萩」は秋の七草のひとつだったなと思い出した。秋の七草は
「萩・桔梗/葛・藤袴/女郎花/尾花・撫子/秋の七草」
(はぎききょう くずふじばかま おみなえし おばななでしこ あきのななくさ)と憶えたものだ。
ついでに端唄の「萩桔梗」も思い出した。よく芸舞妓さんの演目としてYouTubeなどで見ることがあるが、昨年の鶴屋百貨店「大京都展」で祇園東の舞妓さん・満彩尚(まさなお)さんが踊っていた。
動画撮影NGだったので録画できなかったのが残念だった。
江戸端唄・俗曲の笹木美きえ師匠のサイトから詞章と解説をお借りして掲載してみた。
〽萩桔梗 中に玉章忍ばせて 月に野末に 草の露
君を松虫 夜毎にすだく 更けゆく鐘に雁の声
恋はこうしたものかいな
〽波の瀬に 月は今宵も 影差せど 届く瀬のなき わが思い
あだし 仇波 寄せては返す 夢見る暇も 涙ぐむ
辛い浮世じゃ ないかいな
【解説】
秋の風物に託して、恋い慕う女心を唄い上げられたもので
幕末から唄われている。
玉 章:(たまずさ)手紙
野 末:野の隅 野の端
すだく:群がり集まる・虫が泣く事
あだし:自分を悩ます
仇 波:変わりやすい人の心