能に「クセ」という部分がある。一曲の中でも見どころ、聞きどころとなる部分である。これは中世の芸能「曲舞(クセマイ)」の謡い方を観阿弥(世阿弥の父)が能の中に取り入れ、能の完成度を高めたものといわれる。一方、「曲舞」は明治維新後、ほとんど滅んでしまったが、唯一、奇跡的に残っているのが福岡県みやま市瀬高町大江の幸若舞である。これは、明治時代末期、国文学者・詩人の高野辰之が「大江幸若舞」を訪ね、芸能史上特筆すべき古典芸能であることを広くPRしたことが、存続の危機から救い今日も国内唯一の幸若舞が残った大きな要因といわれている。現在は国指定の重要無形民俗文化財となっているが、能の「クセ」を見ながら「幸若舞」や滅んでいった中世芸能に思いをはせるのも味わい深いものである。
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