胎児期と出産

どうやら私たちは、胎児期と出産、誕生についてよく理解する必要があります。他の動物ならば誕生以前に終了する成熟や発達は、人間の場合、誕生して約3年くらいかかります。脳容量の約90％が満たされた頃、つまり誕生後にその成熟や発達は完成するのです。人間のこどもは非常に未熟な状態で生まれてきます。私たちは、自分のこどもの未成熟が本当にどのようなことを意味しているのかを理解する必要があります。温かな羊水生活から誕生の過程で引き起こされる変化にもかかわらず、こどもはまだ胎児期を続けているのであり、誕生という段階、つまり子宮内の胎児期から子宮外の胎児期に移行するのです。そして生まれてきたこどもの要求に答えるのに最適な人物たちとの、「絶え間ない」、それまでよりも複雑な相互関係が待っているのです。新生児の要求でもっとも重要なものは、皮膚を通して受け取る信号です。それが外界と交わすコミュニケーションの、生まれて初めての媒体となるのですから。視界を手に入れた胎児が母親の胸に抱かれ母乳を飲むことは、子宮外の胎児期の肌で交わす母親とのコミュニケーションであり、両者の身体の変化への助け合いにもなっているのです。