つれ:「一通り八犬伝のストーリーを描きつつ曲亭馬琴の創作風景が展開されるこの作品はいわば二本の映画が一本になってるようなもんだから、タイパ志向を反映してか邦画に限らず長尺ものは少ない中で八犬伝完結までに28年の歳月を要したのと比例するような2時間半の大作になるのも道理だよねぇ。
化政文化を彩る文化人がオールスターキャストで登場する馬琴の書斎を舞台にした室内劇の趣に八犬伝のアクションを挟み込むのが虚と実の対比を際立たせて、作品としてのテーマはその構成と鶴屋南北の台詞に集約されてるんじゃないかぃ。
馬琴が視力を失ってからの口述筆記の壮絶さも八犬士が本懐を遂げるまでの激しい立ち回りとリンクしてるようで、静と動が同時に進行するクライマックスシーンは一粒で二度おいしい状態になって感興も二本分味わえるってもんだょ」