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近江のなれずし製造技術、甲賀売薬の製造・販売用具を国の文化財登録へ(滋賀県)

 国の文化審議会が1月20日、滋賀県内の「近江のなれずし製造技術」を国の登録無形民俗文化財に、「甲賀売薬の製造・販売用具」を登録有形民俗文化財に、それぞれ新たに登録するよう文部科学相に答申した。
官報告示などの手続きが完了すれば滋賀県内の無形民俗文化財の登録は初めてで、有形民俗文化財は3件となる。

↑写真:中日新聞より

「近江のなれずし製造技術」: すし、発酵食品の変遷伝える
 「近江のなれずし」は、琵琶湖や周辺の川で取れる魚をコメと一緒に乳酸発酵させて作る、淡水魚の伝統的な料理法
琵琶湖の固有種ニゴロブナで作る「鮒(ふな)ずし」が有名だが、他にハスやモロコ、アユ、ドジョウなどさまざまな魚で作られる。
 平安時代から続き、現在も滋賀県内の料理店や家庭で作られる。主に正月や祭りなど祝いの席で食べられる。すしや発酵食品の製造技術の変遷を、今に伝えている点が評価された。

 うろこや内臓を取り除き、塩とコメを合わせて漬け込む。発酵させることで、長期保存が可能になる。小魚の場合は漬け込む日数を短くし、大型魚の場合は骨を取り除くなど、魚種や大きさに応じた作り方が伝承されている。

 滋賀県内の食材や食文化の研究を続ける有志団体「滋賀の食事文化研究会」の桑村邦彦会長は「登録をうれしく思う。滋賀の宝物として、世代を超えて受け継がれることを願う」とし、三日月大造知事は「食文化を継承してきた方に敬意を表し、貴重な文化財が末永く受け継がれていくよう取り組みたい」とのコメントをそれぞれ発表した。

 大津市打出浜の居酒屋からっ風」では10年ほど前から、沖島(近江八幡市)の漁師に教わった作り方で仕込んだ鮒ずしを提供している。店主の田中大士(もとし)さんは、「伝統料理の継承にとって、登録は素晴らしい。料理で工夫し、多くの人に親しんで貰えるよう努めたい」と喜んだ。


↑写真:中日新聞より

「甲賀売薬の製造・販売用具」: 交易分野では全国で初めて
 「甲賀売薬」は行商人が顧客の家に薬を預け、定期的に訪ね、使った分の代金を受け取る配置売薬として知られる。
江戸時代後期に甲賀の山伏が布教の際、土産物として薬を携行したのがルーツとされる。明治から昭和にかけて行商人が全国を売り歩いて発達し、現在も続く。登録されれば、交易分野で全国初となる。

 用具は江戸時代後期−昭和の2488点。甲賀市が所蔵し「甲賀市くすり学習館(甲賀市)に保管されている。うち製造用具は782点。木製の薬研や陶器製の鉢などがある。原料をすりつぶした粉末に水や薬剤を加えて練り、かたどって乾燥させるまでの作業に使う。

 販売用具は1706点。行商人が薬などを入れて運んだ行李(こうり)や、客の家に置いておく薬箱、日本地図、会計時に使ったそろばんなどがある。多様なデザインを取り入れた薬袋や「おまけ」にした紙風船からは、商売上の工夫が感じられる。

 長峰透館長は「地域の売薬業の成立と展開を示す貴重な資料。用具から見られる工夫を伝え残し、地域の産業振興にも生かしたい」と話す。

 くすり学習館では、答申を記念した企画展を1月21日から開く。答申された用具類のうち175点を、解説パネルとともに展示する。無料。月曜休館。

問い合わせ: 甲賀市くすり学習館
甲賀市甲賀町大原中898−1
0748ー88ー8110
http://www.kusuri-gakushukan.com/

<中日新聞より>
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