ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

気仙沼・石巻支援公演、行って参りました(その12=立町ふれあい商店街~曹洞宗庄内青年会のみなさんと)

2012-03-08 20:53:41 | 能楽の心と癒しプロジェクト
プラネタリウム公演を終えて、大崎でラーメンを食べると、地吹雪の中一路石巻に戻りました。スーパー銭湯で汗を流すと「みなと荘」の明友館さんに2泊目のお邪魔をして、明友館の千葉恵弘さん、斉藤良太郎さんのお二人と深夜まで談笑して、ようやく眠りました。

翌朝、2月13日は ぬえにとってはちょっと寝坊気味の朝6時起床。大崎とこの石巻の活動の最終日の撮影に東京から駆けつけてくださった写真家のYさんと待ち合わせてまた女川の被災地に向かいました。マリンパル女川や周辺の様子…ぬえにとっては前日と同じ場所を廻りましたが、思い立って雄勝公民館に行ってみることにしました。

これが雄勝公民館。津波によって観光バスが屋上に乗り上げていることで有名な場所ですが、まだ ぬえは訪ねたことはありませんでした。ところが笛のTさんの情報で、近々この観光バスは撤去されるのだそうです。震災から1年近く経ってようやくこちらも復旧に向けて動き始めたようです。そこで撤去される前に一度見ておこうと思いまして。

なんだか不思議な光景ですね。公民館の建物も観光バスも、一見すると無傷のように見えます。ただ、誰かのいたずらで ちょい、とバスを乗っけたような。。

さて本日は石巻の中心部、立町(たちまち)にある「復興ふれあい商店街」で、今回の訪問では最後の公演がありますので急いで戻らねばならない。。のですが、そうして道を急いでいると、いつしか周囲は見慣れた風景に。「ここは。。?」。。なんとそれは大川小学校のすぐそばでした。全校児童のうち7割近くの犠牲者を出した悲劇の現場。ぬえはここには、またしても偶然に通りかかったのでした。。



前回ここに来た時は気づかなかった…いや、まだあの頃は学校の周囲にはうずたかく瓦礫が積み上げられていましたから、ここまでたどり着けなかったのだと思いますが、東北が生んだ偉人・宮沢賢治の言葉とともに世界中の子どもたちが手を繋いでいる壁画があったのですね。。



石巻に戻って、明友館に運び込んだままになっていた伊豆の子ども能のママたちからの支援品…お菓子やおもちゃ、体操着などを千葉恵弘さんに引き渡し、それから今日の公演会場である「立町復興ふれあい商店街」に向かいました。



到着してみると、すでに曹洞宗庄内青年会のみなさんはテントの中で炊き出しのご準備中でした! …覚えていますか? 曹洞宗の山形県からのボランティアのお坊さんたち! 渡辺祥広さんがリーダーとなって、ぬえなんかよりずっと以前から湊小に通い、住民さんたちに茶菓をふるまいながらお話相手になっておられる方々です。ぬえは9月にはじめて湊小で渡辺さんたちと一緒に活動させて頂いて、その謙虚な振る舞いにいたく感激したのでした。ぬえなんぞが煌びやかな装束をまとって舞をお目に掛けるのとは対照的に、作務衣を着て楚々と水菓子を勧めておられる。。その姿は本当に清くて美しいものでした。以来、ぬえは石巻に行く計画ができるたびに渡辺さんに連絡を取って、ご一緒に活動できないかお伺いしております。

前回、年末に石巻で活動した際にも渡辺さんはご多忙のところ単身でお出ましになり、ご一緒の催しを行いましたが、今回はなんと総勢7名のお坊さんたちが集まってくださいました。



「立町復興ふれあい商店街」は、市の中心部に作られた仮設商店街です。もとは駐車場だったようですが、ここをつぶしてプレハブの仮設の建物を造り、ここで被災した店舗の仮営業を再開させる、というもの。なんといっても現地で今必要なものは仕事、雇用なんですよね。生活の再建のための第一歩。でも、いくつか仮設商店街を見てきましたが、このような良い立地での営業再開は、本当に幸運。。稀有な例だと思います。