ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第13次支援活動<気仙沼・石巻>(その19)~JIN'S PROJECTのリーダーが到着!

2013-06-08 02:28:03 | 能楽の心と癒しプロジェクト
夕方16:00。「石巻3.11市民追悼の会」は終了となり、急いで撤収しました。この頃、東京からざわざボラ団体 JIN'S PROJECTのリーダー・折尾仁さんが湊小学校に到着されました!

仁さんとそのプロジェクトには昨年末頃から急速にお近づきになりましたが、ぬえたちの活動とは全然規模の違う、大きな活動をされていてビックリ。ご依頼を頂いて東京での JIN'S の活動のお手伝いもさせて頂きましたが、むしろ教えられることばかりです~

震災直後からの救助活動、避難所時代に「寅さん」の映画を上映するために権利を持つ会社と交渉に奔走したこと、そして大勢の仲間が集まり、各地でほんとうに様々な支援活動を現在も続けていること。。いずれも、ぬえが最初は一人でどうする当てもなく石巻を訪れ、「明友館」や「チーム神戸」に導かれて避難所の掃除から始め、現地関係者の方々の尽力に頼ってTさんら少数の能楽師有志で貧乏な慰問活動をしているのとは規模も志も比較になりません。

それどころか、仁さんからお申し出を頂いて、貧乏な能楽師の支援活動の活動資金の援助について企業に橋渡しをして頂けるとのこと。。これまですべて「能楽の心と癒やしプロジェクト」の活動資金は募金に頼っておりましたが、それも震災から2年を経過して次第に先細りになっています。これは ほとんどすべてのボラ団体さんでも多かれ少なかれ事情は同じでしょう。ぬえは、東京などでの能の公演のチケットのお申込を頂いた際にプロジェクトの活動についても資料を入れて、常に募金を呼び掛けるなどする機会はありますが、いずれにしても活動を長く続けていくためには支出は節約しなければなりません。まさに浄財を寄付くださる厚志家の方はいまでもおられ、かれこれ ぬえたちに賛同してくださる方々のお気持ちは、ちゃんと形にして現地で実現していますし、ちょっとながら支援者の方に現地で買った海産物などのお土産をお届けしたりしておりますが、現実は厳しい財政状況なのです。

そんな ぬえたちにとって、仁さんのお申し出は大変ありがたいことでした。支援企業に提出する書類の書き方から、なんと実際の交渉まで引き受けてくださって。。

とはいえ、いろいろな問題もあって、必ずしも企業さまがプロジェクトの活動資金のすべてを支援してくださるのは難しく、また企業さまへ提出する書類のあまりの煩雑さに、デスクワークの大変さには正直閉口しましたが、これらも仁さんが懇切丁寧に教えてくださり、また訂正もしてくださる、というありがたさ。。

こうしたことから、今回の13次活動では、仁さんの努力もあって交通費の一部を「THE BODY SHOP」さまからご支援頂けることになりました。これは本当にありがたいことで、『星と能楽の夕べ』公演も、プロジェクト自体が貧乏なので毎回出演者には交通も宿泊も自弁を要求していましたのが、今回の気仙沼公演では、多少なりともプロジェクトとして補助することができました。

じつは意外に、これ、大切なことです。ぬえやTさんなどプロジェクトのメンバーの能楽師が仮設住宅などで上演するだけならともかく、『星と能楽の夕べ』のようにピアニストや星空解説の出演者もある場合、いつまでも負担ばかりを要求するわけにもいきません。。それではいずれ破綻が来る。長い活動をご一緒に続けて頂くためには、これら共演者の方々も能楽師と同じように、技術の提供を負担願って、金銭的な負担はできるだけ軽くして差し上げるシステムが必要です。

今回の気仙沼での活動では、こうして共演者への補助は仁さんの努力とTHE BODY SHOPさまのご支援によって実現しましたが、スタッフさんへは何の貢献もできず。。スタッフさんの強力なバックアップによって気仙沼では最高の活動ができただけに、心苦しくもあり、まだまだ課題も多いと痛感しております。

さて仁さんが到着して、湊小学校の撤収お手伝い頂き、仁さんは「チーム神戸」リーダーの金田さんとも懇親することができました。ぬえたちはこれにて湊小を離れて石巻駅前で夕食を摂りながら仁さんと打ち合わせ。

その後、予約してある石巻のボランティア用宿舎にチェックインに向かいました。。が、少々問題があってこちらへの投宿は断念、再びお願いして、この夜も「チーム神戸」事務所に泊めて頂くことになりました。仁さんも宿を決めて、この夜はこれで散会。明日は13次活動最後の公演です!