新聞はこの季節、紙面刷新とかで終わってゆく企画がありますね。中でも残念なのは朝日新聞日曜読書面での亀和田武さんの連載「マガジンウオッチ」が今日で終了したこと。
亀和田さんとは大学時代からの知り合いですが、雑誌編集を経てものかきになられ、時にはテレビのキャスターをなさったりもしてますが、この仕事は特に素晴らしかった。軸のしっかりした批評眼と、雑誌というメディアへの愛情、自在な文章術が相俟った見事な芸になっていました。
またどこかでこんな企画が立てられることを祈ってます。
こちらはまだまだ続く(いつまでも続いてほしい)NHKfm土曜朝のピーターバラカンさんの「ウィークエンド・サンシャイン」。昨日の放送の特集(?)、「ウィモウェ」もしくは「ライオンは寝ている」という曲に関する話がとても面白かった。
ナマで聞いているぶんには、他のことをしていたり、用があってその場を離れたりするのでよくわからない部分があったので、今日、録音してあったのを聞きなおしました。
「ライオンは寝ている」はトーケンズのヒット曲としてよく知っていました。ナイロンズほか、様々なアーチストもカバーしている。
個性的な曲だなあとは思っていましたが、その出自については調べようと思ったことすらありません。今回、トーケンズ(初期のリードボーカルはニール・セダカだった!)のヒットの前に、ピート・シーガーの率いるウィーヴァーズというグループが持ち歌にしていたことを知ってビックリ。「ウィモウェ Wemoweh」というタイトルで歌っていて、ライオンを含む英語の歌詞はついていない。とにかく「ウィモウェ、ウィモウェ」とアフリカ系の意味不明の歌詞を歌っていたようです。
ここでは、時間をさかのぼる感じでバラカンさんのしゃべったことをひっくり返して書いていますが、この「Wemoweh」はピート・シーガーのヒアリングによるもので、彼は南アフリカの内容不明のレコードを聴いて、これを自分たちのレパートリーに取り入れたらしい。
元の曲はソロモン・リンダ Solomon Lindaというズールー人男性が作って、自分のグループで歌ったもの。そもそものタイトルは「ンブベ Mbube」だったというのです。
ソロモン・リンダは牛の群れを追っている時、ライオンが襲ってこないように、歌詞になった言葉(ライオン出るな、というような意味らしい)を繰り返しつぶやくように歌っていて、それを曲にしてステージにかけるようになった。そしてレコーディングも行なった1930年代末のことです。
バラカンさんのお話は、さらにさらに紆余曲折があって、この曲がディズニーの「ライオンキング」の中で歌われ、その印税がソロモン・リンダの遺族に支払われるようになるまでをたどっていましたが、とにかくビックリすることの連続で、よく知っている曲にこんなエピソードが隠されていたなんて思いもよりませんでした。
英語のページで検索すれば、さらに詳しいことが読めるかもしれません。いつか時間がある時に調べてみるつもり。