北海道東部の牧畜農家を恐怖なさしめたヒグマ、OSO18が射殺された。
撃ったのは役所勤めでハンター歴5年程度の新人さん。警戒地域外であったので、無造作に撃ち、その肉の一部は既に出荷されてジビエ料理として客の胃袋の中だそうだ。
ひとまず安心だが、第二、第三のOSOが出没しそうで怖い。このOSO18が恐れられたのは、従来のヒグマとは異なる捕食行動を取ったからだ。クマは通常、獲物を埋めるなどして保管して、定期的に訪れて食べる。そこを狙うのがクマ撃ちの常道であった。
しかし、このOSO18は異常に警戒心が強く、牧場の牛を60頭以上襲っても再び食べに戻ることはしていない。それゆえにベテランの熊撃ちハンターの追撃を逃れてきた。そこを事情を知らぬ新人ハンターが仕留めたというから分からないものだ。最もこの新人ハンターさん、エゾシカを大量に仕留めている期待の新人なので偶然とは言えないだろう。
ところでヒグマは本来雑食性であり、主食は植物や昆虫などであることが多い。しかし近年エゾシカが植物などを食い尽くしてしまい、それゆえヒグマはエゾシカを襲って食べる傾向が増えたらしい。OSO18も糞の分析などから植物よりもエゾシカなどを食べていたことが分かっている。
今回、OSO18を仕留めたハンターは、エゾシカを多数駆除していたというから不思議な縁だと思う。それにしても自然のバランスは繊細で絶妙だ。エゾシカがヒグマの主食である植物を食い荒らしたのは、エゾ狼が絶滅して以降、天敵が激減したからこそだ。
ヒグマにしたところで、俊敏なエゾシカよりも牧場の牛のほうが捕えやすい。ただ賢いヒグマは人間の恐ろしさを知るが故に、なかなか牧場の牛には手を出さない。そこに現れた臆病にして賢いOSO18がヒット&アウェイ戦法で牛を襲ったわけだ。
でも、これで一安心だと思ってはいけない。OSO18はその体格からして成獣であり、子を為している可能性が高い。ヒグマは基本単独行動だが、幼少期に親ぐまの狩りを見て真似るという。第二、第三のOSOが出没する可能性はゼロではない。
そして今回の騒動で分かるのは、ヒグマに対しては警察も無力であり、動物保護団体も邪魔なだけ。ベテランのハンターさえも騙し抜いた賢いヒグマは、若い(といっても40代)ハンターの普通のハンティングで狩られた。
北海道に限らず日本の猟銃使用による野生動物の排除は、年々その担い手の高齢化が進むが故に減少している。ヒグマどころかツキノワグマにさえ歯が立たたない警察は、ひたすら狩猟免許を厳しくすることしかしていない。
ちなみに自衛隊と称する軍隊の兵士たちは、通常弾薬を装填していない小銃を装備しており、上官に申請し会議で許可を得ないと射撃はできない。当然にクマちゃんは、すたこらさっさと逃げてしまい、せっかく銃弾を装填した小銃を構えても、肝心のクマはいない。
会議室にクマはいない、現場にこそクマはいるんだ。
それが分からないのが空調の効いた快適な会議室で、国内の治安、市民を守ることの意義を語るエリート官僚様である。まぁ彼らにとっては市民を守るよりも、自分の経歴に傷がつかないことの方が重要なのでしょう。問題が起きても、なにもしなければ失策も発生しません。
ヒグマさんには一度勇気を奮ってもらって、お役所の一番広くて快適なお部屋を襲ってもらいたいものです。少し前に北海道の自衛隊駐屯地の基地にヒグマが侵入しましたが、兵隊さんは逃げ足が速くて、誰も傷つかなかった。市民がクマに傷ついても、それはあくまで事故であり、エリートの経歴に関係するものではない。
ヒグマさん、筋肉もりもりの兵隊さんよりも、美食で肥え太ったエリート官僚のほうが美味しいですぜ。私の心からのアドバイスです。誰かクマ語に翻訳して伝えてね。
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