またしても森・元首相が失言をやらかしたそうだ。
この人、ご自身の立場を考えた上での発言なのかが疑わしい。日本はアメリカ追随外交が基本なのだから、公人がそれに反した発言をしたら問題あるのは当然だ。
しかし、敢えて言えば私は、さほど失言だとは思っていない。たしかに先に手を出したのはロシアである。だが何故にロシアがウクライナを侵略したかといえば、それは欧米がウクライナを誘惑したからだ。
原因を作ったのは、間違いなくNATO加盟を餌にウクライナを誘惑したEUとアメリカである。ロシアにとってウクライナと白ロシア(ベラルーシ)は絶対防衛圏だと知りながら、ロシアの弱体化を狙ったウクライナ勧誘である。
あまりメディアが報じない軍需産業の動向をみれば、欧米が何を狙っていたのかが明白であろう。ウクライナを支援する目的で、旧ワルシャワ機構加盟国の兵器をウクライナへ送る。そして、その代わりに西側の二級線の兵器を旧ワルシャワ機構加盟国へ輸出して補充する。
ロシアは世界上位3位内に入る武器輸出国である。そのロシアの縄張りを奪って、西側の市場に東欧諸国を編入させたおかげで、西側の軍需産業は大儲けである。
更にロシアの兵器が既に時代遅れであり、ドローンを始めとして西側の兵器に大きく後れをとっていることが、世界中に宣伝されてしまった。これでは、これまで安さに惹かれてロシア製兵器を買っていたアジアやアフリカ、中南米の国々の市場も危うい。
欧米は自国の兵士の血を流さずして、ロシアの弱体化を進めることに成功しつつあるのが現状である。
一方、ロシアの侵略を受けたウクライナだが、たしかに被害を受けた国である。自国をロシア軍に荒らされ、事実上親族関係に近いロシアとの間で血を流し合ってしまった。両国間には血縁、地縁でつながっている市民が多数いる。決して一枚岩の国情ではない。
では森氏の言う様にゼレンスキー大統領にも問題はあるのか。
私は大ありだと思っている。ウクライナは本来食料輸出国であり、ロシアと共に多くの国の生活必需品を輸出してきた。しかし、戦争により貿易は大幅に減り、ウクライナもロシアも国民の生活は苦しくなる一方だ。
しかしウクライナは欧米からの支援を受けている。その支援の内、何割ぐらいが政治家や官僚たちの懐を潤しているのか。もちろん証拠はないが、ウクライナが贈収賄を日常的にする国であることは有名である。(世界の過半がそうですけどね)
またロシアン・マフィアの異名をとる非合法組織の本拠地がウクライナであることも有名だ。当然に西側からの援助の一部は、こちらにも流れているはず。ウクライナの一部の人たちにとって、ロシアとの戦争が続けば続くほどに西側からの援助の恩恵を受けられる。これもまた一面の事実だ。
実際、ゼレンスキー大統領は今回のロシアからの侵略により奪われた領土だけでなく、過去に奪われたクリミア半島の奪還まで口にしている。戦争を続けたい本音をあからさまに出しきている。
だが、その一方でウクライナの多くの国民は、戦争により家族は離散し、あるいは戦いに倒れ、住み慣れた住居、馴れ親しんだ郷里を追われ、経済的にも困窮している。
私はロシアが正しいなんて思わない。もっといえば、戦争を正しいとか、悪であるとか倫理面で判じることに違和感を感じている。侵略されたウクライナへの同情心はあるが、だからといってウクライナが正しいとも思えない。
森・元首相は対米追随を国是とする公的な立場上、口にすべきでないことを発言したのは確かだ。でも一般のマスコミならば議論の俎上にあげるべき内容だとも思う。
それを単なる政権批判にしか使わないマスコミの見識のなさに、私は呆れています。
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