ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

デザートも外交

2018-05-16 11:57:00 | 社会・政治・一般

少し前に安倍首相が、中東各国を歴訪したことは新聞やTVなどで報じられたとおり。

でも、報じられなかったこともある。いや、マスコミが分かっていなかったのか、それとも意識的に無視したのかは分からない。

イスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相との会食の席のことだそうだ。デザートとして供されたのが、驚いたことに革靴を模した容器に入れられた甘味類。


テーブルの上に靴なんてと、これを外交上失礼だと批難する声が上がっていたが、実はこれはイスラエル側の確信的行為であるようだ。

第二次世界大戦時、ハンガリーの首都ブタペストで事件は起きた。街を流れるドナウ川沿いに連行されたユダヤ人数十名は、その場で靴を脱がされ、次々と撃たれて殺された。当時、靴は貴重品であったので、その靴だけが川沿いに置き並べられ、ユダヤ人の遺体は川に投げ捨てられた。

安倍首相に供された靴の容器のデザートは、イスラエル側の「私たちは、日本がドイツの同盟国であったことを忘れてないぞ」とのメッセージではないのか。

もちろん、イスラエル当局はこの件に関して沈黙を守っているし、日本の外務省も知らん顔をしている。

だからメッセージ説は憶測でしかない。

私個人としては、おそらくメッセージ説が真実だと思っている。日本人がユダヤ人に対して差別意識をもっていないのは確かだが、ナチス・ドイツの同盟国であったのは歴史上の事実である。

おまけに戦後、日本はどちらかといえば、アラブ側に同情的であった。石油という戦略的物資の確保という面はあったのであろうが、イスラエルの頑なな姿勢は、日本人にとってパレスチナ難民問題とからまり、アラブ側へ心情的に傾いていたことは確かだと思う。

そして、それはイスラエルをひどく苛立たせてきた。今だってエルサレムへのアメリカ大使館移転に対して、日本のマスコミは批判的な報道をすることが多いので、イスラエルが安倍首相に辛辣なメッセージを無言で表示したのだと想像できてしまう。

外交とは、武器を用いない戦争であることは、話せば分ると思い込んでいる日本人はよくよく覚えておいたほうが良いと思います。


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