久々にプロレスねたをば
プロレス技の一つに、ブレーンバスターがある。直訳すると、頭みそ砕き。ところが、実際には背中から落とすタイプと、頭から落とすタイプの2種類がある。
本来は後者の技こそがブレーンバスターの名に値するのだが、この技は受身が難しく、70年代までは前者のブレーンバスターが広く使われた。これはアメリカではヴァーティカル・スープレックスという。背面そり投げの一種であるので、こちらの名称のほうが的確だと思う。
このブレーンバスターほどプロレス技らしい技はない。なにしろ、投げ手と受け手の呼吸が上手く合わないと、まず投げられない。受け手が投げられることを嫌がったら、まず成立しない技なのだ。
それだけに、上手く決まった時は美しい。しかし、なかなか難しい技で、私も高飛び用マットの上で何度も練習したが、なかなか綺麗に投げることは出来なかった。
その原因の一つに、投げ手に強靭な背筋力が求められることがある。なにせ、相手の頭を脇の下にはさみ、相手の腹に手を差し込んで持ち上げる。そのまま一直線に抱え上げ、後ろに反りながら投げる大技なのだ。
そして、投げられる受け手にも抜群の受身が求められる。なにせ空中逆立ちのような状態から、背面に落とされるので、受身をしくじると危険な技でもある。
もっと言えば、投げ手を引き立てる技でもある。上手く決まれば、観客から歓声が上がる名物技でもあるので、受け手と投げ手の呼吸が大事でもある。
ぶっちゃけ、嫌な奴とはやりたくない技であったらしい。
そんなブレーンバスターの名人が、NWAチャンピオンであったハーリー・レイスだ。独特のガイゼル髭がトレードマークの渋い中年男だ。ハンサムとは程遠い風貌だが、酒場の用心棒を思わせる凄みの有るレスラーであった。
カーニバル・レスラーの出身だと噂されたが、事実喧嘩は強かった。レイスにブレーンバスターを掛けられて、それに協力しないレスラーは稀だった。喧嘩番長のあだ名にふさわしく、怒らすと怖いので有名だった。レイスの見せ場であるブレーンバスターには、協力せずにはいられなかった。
だからこそ、一番美しい放物線を描くブレーンバスターの使い手だった。最近は知らないが、当時は弱いレスラーが使いたくても使えない技が、このブレーンバスターだった。
だからこそ、白人嫌いで知られるブッチャーが、このレイスのブレーンバスターを拒否した時は大変だった。プロレスの試合は忘れ去られ、通路から控え室、あげくに外まで二人は殴りあい続け、慌ててジャイアント馬場が駆けつけ、強引に分けたらしい。
私はこの試合を、下北沢のパチンコ屋の街頭TVで見ていたが、空っぽのリングと右往左往する若手レスラーたちに呆れた覚えがある。はっきり言ってツマラナかった。やっぱりプロレスは演劇でなくてはならない。確たるシナリオのない、即行演技ではあるが、試合を演じてくれねば面白くない。
レイスとブッチャーの喧嘩は、周囲の慌て具合からして、偶発的な事故だったようだが、プロの仕事としては失敗だと思う。本気の喧嘩なんて、素人がみて面白いものではない。
プロレスを八百長だとバカにするよりも、格闘演技の面白さを楽しむことを知って欲しいものです。本気の喧嘩は、観て楽しむには残虐すぎますから。
プロレス技の一つに、ブレーンバスターがある。直訳すると、頭みそ砕き。ところが、実際には背中から落とすタイプと、頭から落とすタイプの2種類がある。
本来は後者の技こそがブレーンバスターの名に値するのだが、この技は受身が難しく、70年代までは前者のブレーンバスターが広く使われた。これはアメリカではヴァーティカル・スープレックスという。背面そり投げの一種であるので、こちらの名称のほうが的確だと思う。
このブレーンバスターほどプロレス技らしい技はない。なにしろ、投げ手と受け手の呼吸が上手く合わないと、まず投げられない。受け手が投げられることを嫌がったら、まず成立しない技なのだ。
それだけに、上手く決まった時は美しい。しかし、なかなか難しい技で、私も高飛び用マットの上で何度も練習したが、なかなか綺麗に投げることは出来なかった。
その原因の一つに、投げ手に強靭な背筋力が求められることがある。なにせ、相手の頭を脇の下にはさみ、相手の腹に手を差し込んで持ち上げる。そのまま一直線に抱え上げ、後ろに反りながら投げる大技なのだ。
そして、投げられる受け手にも抜群の受身が求められる。なにせ空中逆立ちのような状態から、背面に落とされるので、受身をしくじると危険な技でもある。
もっと言えば、投げ手を引き立てる技でもある。上手く決まれば、観客から歓声が上がる名物技でもあるので、受け手と投げ手の呼吸が大事でもある。
ぶっちゃけ、嫌な奴とはやりたくない技であったらしい。
そんなブレーンバスターの名人が、NWAチャンピオンであったハーリー・レイスだ。独特のガイゼル髭がトレードマークの渋い中年男だ。ハンサムとは程遠い風貌だが、酒場の用心棒を思わせる凄みの有るレスラーであった。
カーニバル・レスラーの出身だと噂されたが、事実喧嘩は強かった。レイスにブレーンバスターを掛けられて、それに協力しないレスラーは稀だった。喧嘩番長のあだ名にふさわしく、怒らすと怖いので有名だった。レイスの見せ場であるブレーンバスターには、協力せずにはいられなかった。
だからこそ、一番美しい放物線を描くブレーンバスターの使い手だった。最近は知らないが、当時は弱いレスラーが使いたくても使えない技が、このブレーンバスターだった。
だからこそ、白人嫌いで知られるブッチャーが、このレイスのブレーンバスターを拒否した時は大変だった。プロレスの試合は忘れ去られ、通路から控え室、あげくに外まで二人は殴りあい続け、慌ててジャイアント馬場が駆けつけ、強引に分けたらしい。
私はこの試合を、下北沢のパチンコ屋の街頭TVで見ていたが、空っぽのリングと右往左往する若手レスラーたちに呆れた覚えがある。はっきり言ってツマラナかった。やっぱりプロレスは演劇でなくてはならない。確たるシナリオのない、即行演技ではあるが、試合を演じてくれねば面白くない。
レイスとブッチャーの喧嘩は、周囲の慌て具合からして、偶発的な事故だったようだが、プロの仕事としては失敗だと思う。本気の喧嘩なんて、素人がみて面白いものではない。
プロレスを八百長だとバカにするよりも、格闘演技の面白さを楽しむことを知って欲しいものです。本気の喧嘩は、観て楽しむには残虐すぎますから。
ふむ、よくよく考えるとプロレスラーも大物が減って、スマートだが味がないのが増えました。だから、あまり観る気がしません。なんか寂しいですね。