野良

野良犬や野良猫の姿を見なくなって久しい。

私が子供の頃は、けっこう居たはずだ。しかし、住宅地区で寺町でもある自宅近辺で野良犬や野良猫の姿を見ることは稀だ。野良猫なら多少はいるが、野良犬は、ほぼ皆無に近い。

おそらくだけど、多分保健所が処理してしまうのだろう。昔はうるさいくらいに子供がいる街であったが、子供を見かけることさえ少なくなった。飼い犬を散歩させているのはいずれも高齢者だ。

ネコを飼っている高齢者は、けっこう居るはずだが、多分室内飼いだと思う。つまるところ、人に買われていない犬や猫は、すべて処分の対象とされているのだろう。

正直、嫌な世の中だと思う。まだ高度成長前後の貧しかった頃の日本ならば、捨て犬、捨て猫を飼う人はかなりいたし、保健所に処分されるのは、危険な大型犬が中心だったはず。

経済的には豊かになったが、心は貧しくなったんじゃないかと思っている。

しかし、外国の人からすると、日本の野良犬、野良猫は特別らしい。

日本に滞在している外国人が驚くのは、日本の野良猫が綺麗で、太っていることだ。そういえば痩せ細った野良猫なんて見たことない。飽食な日本では、けっこう残飯は出るし、野良猫に餌をやる人は多い。だから外国の旅行者は、日本の野良猫を幸せそうに感じるそうだ。

そういえば、私の数少ない外国旅行で見かけた野良犬、野良猫はいずれも痩せていたし、なんとなく剣呑な印象があって近づけなかった。どうみても幸せそうには見えなかった。

そう思って、改めて日本の野良たちをみると、たしかに肥えているし、警戒心はあっても、人間を敵視している様子はない。このあたりが、外国の人が不思議の思う所以なのだろう。

ちなみに日本の猫には、尻尾の短い種がいるが、どうもこれは日本独特のものらしく、海外では珍しいとされていう。これは知らなかった。

ただねぇ～、都会に野良犬はいないけど、案外山奥にはいるんだよね。野良というよりも、捨て犬の野性化であり、この子たちは人間を憎んでいるから要注意ですよ。まァ彼らも人間を恐れてもいるから、襲ってくることは稀ですけどね。

良い機会だから書いておきますが、野犬と化した犬は危険です。彼らの牙は人間の筋肉なんて軽く噛み切るし、頑丈な体躯は多少の打撃なんて撥ね退けます。武器を持たない人間なんて、ひ弱な存在だと思い知るでしょう。

ただ知性が高い野犬は、人間とのトラブルを避けます。万が一遭遇したら、慌てて逃げたししたらダメ。狩りの本能から余計に攻撃的になるだけです。むしろ、こちらも大声で威嚇して、ゆっくりと後ずさるのが一番です。ある程度、距離を取れれば野犬のほうから去っていきます。

要するに、野犬の縄張り意識を刺激したが故に攻撃態勢に入ったのです。なお、絶対に背中はみせず、相手を睨みつけて威嚇することが重要です。熊もそうですが、相手が反撃してくると分かっていると、攻撃を避けるのは野生の本能。

もっともこの方法が使えるのは、クマや犬といった狩猟性の高い肉食獣。逆に草食獣である猪や鹿はやみくもに突っ込んでくるので、これはもう逃げるか避けるしかありません。一応書いておくけど、シカってけっこう強いし、怖いですよ。人が素手で勝てる相手ではないです。

最後にどうしても書いておきたい。野性動物を餌付けしてはいけません。人にも動物にも有害ですから。これが分からない、上っ面だけの善人が多いが故に、人を襲うサルやクマが出てくるのです。

繰り返します、餌付け、絶対ダメ！！！