積み重ねた歴史の差が出た試合だった。
パリ五輪の男子サッカーは、スペインに0-3で敗れた。A代表同様に勝利を期待した人も多かろうと思うが、私は厳しいだろうと思っていた。
とはいえ、個々人の能力差はあまり強く感じなかった。感じたのは戦術の差というか、チームとしての共通理解の差であった。若きスペインの選手たちには、ゴールに向かっての共通の理解があった。だから正確で素早いテクニックを駆使しての戦術に、日本とは格段の差があった。
元々スペインは3-4-3のシステムをジュニアからA代表まで一貫して使っている。戦術の理解度は誰がピッチに入っても変らないレベルまで磨かれている。しかし、日本は違う。残念ながら日本人監督及びコーチには、世界の一流国に通じるだけの試合経験が圧倒的に不足している。
一言で言えば、戦術の引出が少ない。だからこそ森保監督の「戦術・伊東」とか個人の資質を最大限に活かしたうえでのチーム戦術となる。現状、このやり方がベストであることは、先のカタール・ワールドカップ大会での成果をみれば分かる。
基本、今回の五輪サッカーチームの監督を務めた大岩氏も同様の戦い方をしている。日本と云えばチームプレーが有名なのだが、こと戦術面に関して云えば、個人を活かす戦術であり、誰を中心にもってくるかで戦い方ががらりと変わる。勤勉でコミュニケーションが強みの日本チームだからこそ出来る戦術でもある。
これはハマると強い。あのドイツやスペインに勝てたのだから確かだ。でも忘れてはいけないのは、カタール大会でコスタリカに負けていることだ。チーム戦術よりも個々の選手の閃きと展開力に頼る柔軟な戦い方をするチームに、即座に対応するだけの戦術指導は出来ないのが、日本サッカーの弱点だ。
これは一朝一夕で解決できる弱点ではない。おそらく海外リーグで活躍し、その上海外でのコーチ経験のある日本人が出てこないと厳しいと思う。単に勝利を稼ぐだけなら優秀な外国人監督に任せれば良いのだが、それだといつまでたっても日本人の指導者が育たない。
やはり長い目で見ていかざるを得ないことが確認できたパリ五輪でした。
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