民数記22章で、バラムがモアブの王バラクに約束の地に入ろうとするイスラエルを呪うように頼まれ、ロバに乗ってバラクのもとへ向かう。バラムは一度イスラエルを呪うことはできない、彼らは祝福されているから、と断っているが、二度にわたる頼みに出かけるところであった。その途上、御使いが道に立ちふさがって抜き身の剣をかざしたので、ロバが恐れて進めないでいるとバラムがロバを打った。この場面でロバが主人のバラムに人間の言葉で語りかけたのであった。
この箇所についてなかなか満足できる注解を見つけることができなかったが、一つ説得力のある説明を見つけたので紹介したい。それは、ブルメンソル(Fred Blumenthal)という人のサイトに掲載されていた。
彼は寓意的に解釈すると最もよく理解できるものとし、マイモニデス(12世紀ユダヤ教徒、思想家)が「この大変興味深い話は実際に起こったことではなく、<預言的示現>と呼ぶべきものである」と言ったのを引用している。以下、ブルメンソルの説明を引用する。
「物言うロバは、普段魔術を行なうバラムの内なる声を現わしており、ロバにまたがる人物は真実の預言者を現わしていた。剣を抜いた天使はバラムの預言者としての特性を殺そうとしていた。(神の制止を聞かず出かけたため)。預言者の役割を果たそうとする、身体を滅ぼそうとしていたのではなかった。
このロバの一件は、切迫した内なる葛藤がこの人物の判断を曇らせたことを示している。バラムの心中にあった自己嫌悪の声が自らの良心を刺し貫き、預言者としての特質がすっかり後退して、御使いが目に入らなくなっていた。彼が漸く我に返った時、預言者としての能力が再び目を覚ましたのであった。(バラクの求めに応じない決意が固まった。)それで、天の使いは阻止のため実力行使をする必要がなくなり、バラムは覚醒し出向いて特別な役割を果たすことになった。天使は姿を消し、ロバは物言わぬ駄馬にもどっていた。」( )内は私の補足。
Source: http://jbq.jewishbible.org/assets/Uploads/342/342_blumbal.pdf
[バラム、バラクともイスラエルと親縁関係にあり、全くの異邦人というわけではないことが分かる。]"Hebrew for Christians" http://www.hebrew4christians.com/Scripture/Parashah/Summaries/Balak/Curses_of_Laban/curses_of_laban.html
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