Story
原爆投下から13年後の広島。そこに暮らす平野皆実(麻生久美子)は、打越(吉沢悠)に愛を告白される。だが彼女は、原爆で父と妹を失い、自分が生き残っているという事が深い心の傷になっていた。そんな彼女の想いを打越は優しく包み込むが、やがて皆実に原爆症の症状が……。半世紀後。今は東京で暮らす皆実の弟・旭(堺正章)は、家族に内緒で広島の旅に出る。そんな父を心配する娘の七波(田中麗奈)は、ひょんなことから友人の利根東子(中越典子)と共に、旭の後を追って広島へ向かう……。(goo映画より)
2007年/日本/佐々部清監督作品
評価 ★★★★☆
第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した、こうの史代さんのコミック「夕凪の街 桜の国」を映像化。
この映画は、友人と一緒に8月に観た作品なのですが、引越しの準備などで公私ともに忙しく、、やっとレビューを書くことができました。。ほんのりと泣けるとても良い作品だけに、どうしてもレビューを書きたかった作品です。。
この映画は、「夕凪の街」と「桜の国」の二部構成になっていて、「夕凪の街」では、麻生久美子さん主演で、原爆投下から13年後の広島を描いており、「桜の国」では、田中麗奈さん主演で、その半世紀後の現在の広島を描いています。
過去と現在の広島で生きるヒロインたちが、原爆によって傷つき悩みながらも毎日を懸命に生きようとする姿には心を打たれました。過去と現在のヒロインを演じた麻生久美子さん、田中麗奈さんは、どちらも原爆症発症の不安と戦いながらも家族に気を使い、明るく振る舞うヒロインを好演しています。また、二人のヒロインがまったくキャラクターが違うタイプなので、どちらのヒロインにも感情移入しやすくて、2つの物語の世界にどっぷり入り込んでしまいました。
この映画では、原爆投下後の広島の様子などはかなり控えめに描いているので、刺激が強い映画は苦手という方にも比較的観やすい作りになっているのではないかと思います。ただ、映像での表現は控えめですが、セリフによって原爆で生き残った人々の辛さ、哀しみをとてもリアルに描写しているので、かえって心にびしびしと響くものがあります。特に、麻生久美子さん演じる皆実の「原爆は落ちたんじゃない、落とされたんだよ。」、「誰かに死んだほうがいいと思われたのに、生き残ってしまった。」などのセリフはとても心に訴えかけるものがありました。
田中麗奈さん演じる七波のセリフもとても良かったです。父親と一緒に広島の旅に出るうちに、父親の抱えていた秘密を知り、原爆で亡くなっていった母親と祖母、そして父親の姉・皆実の想いに触れて、「この二人(両親)を選んで生まれてこようと決めたのだ。」というセリフには涙が溢れて止まらなかったですね。というのは、「桜の国」では、七波の両親、つまり皆実の弟・旭と彼の妻が結婚に至るまでのエピソードが何度か登場するのですが、この二人の恋愛がとても切なくて泣ける素敵なエピソードとして描かれています。この二人の恋愛に心打たれたせいか、余計に七波のセリフが心に染入りました。
「夕凪の街」の皆実と打越の恋物語も良かったのですが、私はそれ以上に、旭と彼の妻が、被爆者という心の傷を乗り越えて、強い絆で結ばれていった過程にとても感動しましたね。
ユーザーレビューでは、「夕凪の街」の方が評価が高いですが、旭と彼の妻の恋物語がとても心に残る良いシーンだったせいか、私は「桜の国」も同じくらい良かったと思います。2つの物語を合わせて、素晴らしい作品に仕上がっているので、一人でも多くの人に観てほしい映画です。
映画『夕凪の街 桜の国』公式サイト
(「夕凪の街 桜の国」2007年8月 横浜 109シネマズMM横浜にて鑑賞)
原爆投下から13年後の広島。そこに暮らす平野皆実(麻生久美子)は、打越(吉沢悠)に愛を告白される。だが彼女は、原爆で父と妹を失い、自分が生き残っているという事が深い心の傷になっていた。そんな彼女の想いを打越は優しく包み込むが、やがて皆実に原爆症の症状が……。半世紀後。今は東京で暮らす皆実の弟・旭(堺正章)は、家族に内緒で広島の旅に出る。そんな父を心配する娘の七波(田中麗奈)は、ひょんなことから友人の利根東子(中越典子)と共に、旭の後を追って広島へ向かう……。(goo映画より)
2007年/日本/佐々部清監督作品
評価 ★★★★☆
第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した、こうの史代さんのコミック「夕凪の街 桜の国」を映像化。
この映画は、友人と一緒に8月に観た作品なのですが、引越しの準備などで公私ともに忙しく、、やっとレビューを書くことができました。。ほんのりと泣けるとても良い作品だけに、どうしてもレビューを書きたかった作品です。。
この映画は、「夕凪の街」と「桜の国」の二部構成になっていて、「夕凪の街」では、麻生久美子さん主演で、原爆投下から13年後の広島を描いており、「桜の国」では、田中麗奈さん主演で、その半世紀後の現在の広島を描いています。
過去と現在の広島で生きるヒロインたちが、原爆によって傷つき悩みながらも毎日を懸命に生きようとする姿には心を打たれました。過去と現在のヒロインを演じた麻生久美子さん、田中麗奈さんは、どちらも原爆症発症の不安と戦いながらも家族に気を使い、明るく振る舞うヒロインを好演しています。また、二人のヒロインがまったくキャラクターが違うタイプなので、どちらのヒロインにも感情移入しやすくて、2つの物語の世界にどっぷり入り込んでしまいました。
この映画では、原爆投下後の広島の様子などはかなり控えめに描いているので、刺激が強い映画は苦手という方にも比較的観やすい作りになっているのではないかと思います。ただ、映像での表現は控えめですが、セリフによって原爆で生き残った人々の辛さ、哀しみをとてもリアルに描写しているので、かえって心にびしびしと響くものがあります。特に、麻生久美子さん演じる皆実の「原爆は落ちたんじゃない、落とされたんだよ。」、「誰かに死んだほうがいいと思われたのに、生き残ってしまった。」などのセリフはとても心に訴えかけるものがありました。
田中麗奈さん演じる七波のセリフもとても良かったです。父親と一緒に広島の旅に出るうちに、父親の抱えていた秘密を知り、原爆で亡くなっていった母親と祖母、そして父親の姉・皆実の想いに触れて、「この二人(両親)を選んで生まれてこようと決めたのだ。」というセリフには涙が溢れて止まらなかったですね。というのは、「桜の国」では、七波の両親、つまり皆実の弟・旭と彼の妻が結婚に至るまでのエピソードが何度か登場するのですが、この二人の恋愛がとても切なくて泣ける素敵なエピソードとして描かれています。この二人の恋愛に心打たれたせいか、余計に七波のセリフが心に染入りました。
「夕凪の街」の皆実と打越の恋物語も良かったのですが、私はそれ以上に、旭と彼の妻が、被爆者という心の傷を乗り越えて、強い絆で結ばれていった過程にとても感動しましたね。
ユーザーレビューでは、「夕凪の街」の方が評価が高いですが、旭と彼の妻の恋物語がとても心に残る良いシーンだったせいか、私は「桜の国」も同じくらい良かったと思います。2つの物語を合わせて、素晴らしい作品に仕上がっているので、一人でも多くの人に観てほしい映画です。
映画『夕凪の街 桜の国』公式サイト
(「夕凪の街 桜の国」2007年8月 横浜 109シネマズMM横浜にて鑑賞)
マチャアキのお父さんに???と思ったので
その分 「夕凪~」が好きだったかも?(でも原作を読むと マチャアキがピッタリな雰囲気のお父さんなんですよね~笑)
「桜~」の中で 田中さんの弟さんと 友人の恋愛部分も泣けてしまいました。
原爆は子々孫々まで ヒトを不幸にしようとする・・・
TBさせて頂きますニャン♪
早速、コメント&TB頂いて嬉しいです!
確かに。。青年時代の旭と比べると、なんでお父さんはマチャアキなの?、、と雰囲気が変わり過ぎですよね。。
そうか~、私は原作を読んでいないんですけど、原作の雰囲気とピッタリだったんですね。。^^;
七波の弟と友人の恋愛話も良かったです!
原爆のせいで、その子々孫々まで差別や偏見の目で見られて、、なんだか切なかったですね。。
でも、それを乗り越えていく姿がほほえましかったです♪
「夕凪~」のキャスト、雰囲気がとっても好きでした。
なので、「桜の国」で、若き日の面影が全く無いマチャアキと田山さんになってて
ええ~~っって感じでしたが、
両方に胸を刺す言葉や、忘れられないセリフがあり
とても感動した作品でした~
丁寧に映画を観ていますね。
それに心がこもった判りやすいレビューですね。
「桜の国」の見所は、旭と妻の恋ですよね。
これは久しぶりに大泣きした作品です
この映画には、「戦争の恐ろしさ」が
ある意味、ストレートに描かれていたと思います
私も含め、「戦争を知らない子供たち」が
映画を通してでも、その悲劇を知る事は、
大切な事だと思うのですが、
ド派手な爆撃シーンや戦闘シーンばかりでなく、
この映画のように、
戦争が民間人に残した大きな傷跡を伝える事も
また重要なのではないかと…
年月が経つにつれ、戦争を知る人も少なくなり、
それでも、語り継がなければならない大切な事が
沢山盛り込まれた作品でした
TBとコメントありがとうございます!
私もこの作品の雰囲気がとても好きでした~。
特に、「夕凪~」での主人公たちが暮らす街の様子は、隣人同士が肩を寄せ合って暮らしている感じが伝わって来て、なんだか切なくなりましたね。。
「桜~」ではいきなりマチャアキや田山さんになっていて、、私もえ??という感じになりましたよ。。
もう少し面影のある人を起用してほしかったですね。。^^;
本当に、一つ一つのセリフが心に染みた、とても味わいのある素晴らしい映画でした。
こちらこそコメントありがとうございました!
お褒めいただいて嬉しいです。
「桜の国」は、旭と彼の妻が結婚するまでの回想シーンがあったから、余計に釘付けとなりましたね。
プロポーズのシーンで、旭の妻が嬉しさのあまり泣き出すところなんかは、自分も幸せになってもいいんだ、という思いが伝わって来て、こちらまでもらい泣きしてしまいました。。
心のこもったコメントありがとうございます。
私もこの映画は泣けましたね。。
また、戦争がいかに恐ろしいものか、考えさせられた映画でした。
本当にド派手な爆撃シーンを描いた映画が多いなかで、こういう民間人の立場から戦争の悲惨さ、残酷さを描いた映画は、とても貴重だと思います。
私達も「戦争を知らない子供たち」ですが、今の若い人たちにこそ、ぜひ観てほしい映画ですね!
この映画を観て、今の時代に生きることがどれだけ恵まれているのか、そんなことにも気づかせてくれる映画でした。
僕は、七波のお母さんの少女時代が好きでしたね。
とろいけど、心の優しそうな子でね。
原爆スラムの中に、しっかりと育っていました。
遅くなりましたが、コメントありがとうございました。
私も七波のお母さんの少女時代好きですね。
子供の頃の彼女と旭のやり取りがほのぼのしていて、なんだか良かったです。
本当にあんな大変な状況にもめげず、たくましく育っていたのには心打たれましたね。