Story
1795年、イギリス・ハンプシャー。オースティン家の次女ジェイン(アン・ハサウェイ)は、裕福で家柄のいい相手との結婚を望む両親(ジュリー・ウォルターズとジェームズ・クロムウェル)に迫られ、地元の名士レディ・グリシャム(マギー・スミス)の甥との結婚をしぶしぶ検討していた。そんな時、ジェインはロンドンで法律を学ぶアイルランド人の青年トム・ルフロイ(ジェームズ・マカヴォイ)と出会う。彼は知的だが貧しかった。しかし、強い独立心を持つジェインに、トムは徐々に惹かれていくのだった。(goo映画より)
2007年/イギリス/ジュリアン・ジャロルド監督作品
評価 ★★★★☆
映画を観ながら、これまで出会ったジェイン・オースティンの映画化作品が頭の中を駆け巡りました。「いつか晴れた日に」('95)、「Emma エマ」('96)、「プライドと偏見」('05)・・・200年以上も前に描かれた作品が、現代でも人々の心を捉えて放さないのは、そこに普遍的な主題が貫かれているからなのですね。
ところで、上に挙げた3つの作品の中で、「プライドと偏見」のキーラ・ナイトレイだけが観ていてちょっと違和感がありました。決して演技が悪いと言う訳ではないです。エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、グィネス・パルトロゥ、そしてアン・ハサウェイと並べてみると、ジェインの作品には、美人でもちょっとくずれたところがある女優の方がしっくりするみたいですね(笑)。キーラは整いすぎていました。
さて、映画の中で「礼節の境は激しく脅かされた」「しかし突破されることはなかった」という言葉が何度か繰り返されます。ジェインから結婚を控えた姉へのお祝いの朗読の中の言葉です。
これを聞いて、そうか恋愛というものは、礼節の境目でのぎりぎりのせめぎ合いなんだな、と気づいてこの言葉を噛み締めました。礼節を外れるかどうかのところで激しく行ったり来たりするものだから、いつの時代でも恋は人の心を激しくかき乱すのでしょう。
一方、ジェインの恋の相手のトムが、善悪の境を審判する法学生というのも象徴的です。感情の動物の女性と論理にはしる男が激しくぶつかるから、そこに様々なドラマが生まれるのだと思います。
トムとの交際を通じて、単なるファンタジーだった恋愛が彼女の中でよりリアリティのあるものに昇華されていく過程がよく分かりました。
実在のジェインはアジソン病で亡くなったとの事ですが、映画の中の晩年のジェインも病の影響か少し痛々しい雰囲気でした。しかし、私には恋の病にうちひしがれた姿に映って仕方がありませんでした。
評価 ★★★★☆
アン・ハサウェイがフレッシュな魅力でジェイン・オースティンを好演!
ジェイン・オースティンの小説は読んだことがないのですが、『いつか晴れた日に』など映画化された作品を通して彼女の名前は知っていました。でも、実在のジェイン・オースティンという女性が、彼女の描いた小説の主人公さながらに、愛する人と駆け落ちまでしようとした情熱的な女性だったとは知らなかったです。
というわけで、200年以上の時が経ってもなお今の時代の女性たちを夢中にさせる、その魅力的な恋愛小説は、彼女自らの恋愛経験が活かされた自伝的小説と言っても過言ではなかったのですね。
この時代の女性は財産を相続する権利がないので、結婚することが唯一の選択肢とされていた時代でした。オースティン家は決して裕福とはいえない家庭環境なので、ジェインの両親は、彼女が経済力のある家柄の良い男性に嫁いでくれることを願っていたんですね。だけど、ジェインは愛のある結婚をしたいと願う女性なので、裕福な地元の名士からプロポーズされても、好きな男性ではないからと首を縦には振らないわけです。そんな矢先に、ジェインは貧しくても知的で素敵な男性と出会い、やがて恋に落ちるのですが、今度は経済的な理由から彼との結婚を断念せざるを得ない状況に陥ります。
この映画を観て、なんというか、結婚に迷う時の女性の心理って、今の時代も昔の時代もあまり変わらないものだなと思ってしまいます。(お金はなくても)愛のある結婚をしたいか、(愛はなくても)お金に困らない結婚をしたいか、これって女性にとっては究極の問題で、その答えは女性によっても大きく違ってきますよね。欲を言えば、愛もお金も両方ある結婚なら言うことないんでしょうけど・・。
そこで、ジェインの凄いところは、愛のある結婚が出来ないならばと、小説で食べていく決意をして、自ら独身の道を選ぶわけです。今の時代の女性でもなかなか決断できないような選択肢を、こんな封建的な時代の女性がやってのけたのだから本当に凄いことだと思います。
そんな独立心の強い自立したジェイン・オースティンという女性を、アン・ハサウェイが可愛らしく魅力的に演じていました。アン・ハサウェイは知的なイメージがあるせいか、アメリカ人の彼女が演じても全然違和感がなかったですね。『プラダを着た悪魔』のようなコミカルな演技から、こういった古典劇の役どころまで、幅広い引き出しを持った貴重な女優さんだと思います。
アン・ハサウェイのフレッシュな魅力と、ジェイン・オースティンの小説さながらの恋愛ドラマに、最後まで釘付けとなった120分でした!
映画『ジェイン・オースティン 秘められた恋』公式サイト
(「 ジェイン・オースティン 秘められた恋」2010年3月 塩尻市 東座 にて鑑賞)
1795年、イギリス・ハンプシャー。オースティン家の次女ジェイン(アン・ハサウェイ)は、裕福で家柄のいい相手との結婚を望む両親(ジュリー・ウォルターズとジェームズ・クロムウェル)に迫られ、地元の名士レディ・グリシャム(マギー・スミス)の甥との結婚をしぶしぶ検討していた。そんな時、ジェインはロンドンで法律を学ぶアイルランド人の青年トム・ルフロイ(ジェームズ・マカヴォイ)と出会う。彼は知的だが貧しかった。しかし、強い独立心を持つジェインに、トムは徐々に惹かれていくのだった。(goo映画より)
2007年/イギリス/ジュリアン・ジャロルド監督作品
評価 ★★★★☆
映画を観ながら、これまで出会ったジェイン・オースティンの映画化作品が頭の中を駆け巡りました。「いつか晴れた日に」('95)、「Emma エマ」('96)、「プライドと偏見」('05)・・・200年以上も前に描かれた作品が、現代でも人々の心を捉えて放さないのは、そこに普遍的な主題が貫かれているからなのですね。
ところで、上に挙げた3つの作品の中で、「プライドと偏見」のキーラ・ナイトレイだけが観ていてちょっと違和感がありました。決して演技が悪いと言う訳ではないです。エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、グィネス・パルトロゥ、そしてアン・ハサウェイと並べてみると、ジェインの作品には、美人でもちょっとくずれたところがある女優の方がしっくりするみたいですね(笑)。キーラは整いすぎていました。
さて、映画の中で「礼節の境は激しく脅かされた」「しかし突破されることはなかった」という言葉が何度か繰り返されます。ジェインから結婚を控えた姉へのお祝いの朗読の中の言葉です。
これを聞いて、そうか恋愛というものは、礼節の境目でのぎりぎりのせめぎ合いなんだな、と気づいてこの言葉を噛み締めました。礼節を外れるかどうかのところで激しく行ったり来たりするものだから、いつの時代でも恋は人の心を激しくかき乱すのでしょう。
一方、ジェインの恋の相手のトムが、善悪の境を審判する法学生というのも象徴的です。感情の動物の女性と論理にはしる男が激しくぶつかるから、そこに様々なドラマが生まれるのだと思います。
トムとの交際を通じて、単なるファンタジーだった恋愛が彼女の中でよりリアリティのあるものに昇華されていく過程がよく分かりました。
実在のジェインはアジソン病で亡くなったとの事ですが、映画の中の晩年のジェインも病の影響か少し痛々しい雰囲気でした。しかし、私には恋の病にうちひしがれた姿に映って仕方がありませんでした。
評価 ★★★★☆
アン・ハサウェイがフレッシュな魅力でジェイン・オースティンを好演!
ジェイン・オースティンの小説は読んだことがないのですが、『いつか晴れた日に』など映画化された作品を通して彼女の名前は知っていました。でも、実在のジェイン・オースティンという女性が、彼女の描いた小説の主人公さながらに、愛する人と駆け落ちまでしようとした情熱的な女性だったとは知らなかったです。
というわけで、200年以上の時が経ってもなお今の時代の女性たちを夢中にさせる、その魅力的な恋愛小説は、彼女自らの恋愛経験が活かされた自伝的小説と言っても過言ではなかったのですね。
この時代の女性は財産を相続する権利がないので、結婚することが唯一の選択肢とされていた時代でした。オースティン家は決して裕福とはいえない家庭環境なので、ジェインの両親は、彼女が経済力のある家柄の良い男性に嫁いでくれることを願っていたんですね。だけど、ジェインは愛のある結婚をしたいと願う女性なので、裕福な地元の名士からプロポーズされても、好きな男性ではないからと首を縦には振らないわけです。そんな矢先に、ジェインは貧しくても知的で素敵な男性と出会い、やがて恋に落ちるのですが、今度は経済的な理由から彼との結婚を断念せざるを得ない状況に陥ります。
この映画を観て、なんというか、結婚に迷う時の女性の心理って、今の時代も昔の時代もあまり変わらないものだなと思ってしまいます。(お金はなくても)愛のある結婚をしたいか、(愛はなくても)お金に困らない結婚をしたいか、これって女性にとっては究極の問題で、その答えは女性によっても大きく違ってきますよね。欲を言えば、愛もお金も両方ある結婚なら言うことないんでしょうけど・・。
そこで、ジェインの凄いところは、愛のある結婚が出来ないならばと、小説で食べていく決意をして、自ら独身の道を選ぶわけです。今の時代の女性でもなかなか決断できないような選択肢を、こんな封建的な時代の女性がやってのけたのだから本当に凄いことだと思います。
そんな独立心の強い自立したジェイン・オースティンという女性を、アン・ハサウェイが可愛らしく魅力的に演じていました。アン・ハサウェイは知的なイメージがあるせいか、アメリカ人の彼女が演じても全然違和感がなかったですね。『プラダを着た悪魔』のようなコミカルな演技から、こういった古典劇の役どころまで、幅広い引き出しを持った貴重な女優さんだと思います。
アン・ハサウェイのフレッシュな魅力と、ジェイン・オースティンの小説さながらの恋愛ドラマに、最後まで釘付けとなった120分でした!
映画『ジェイン・オースティン 秘められた恋』公式サイト
(「 ジェイン・オースティン 秘められた恋」2010年3月 塩尻市 東座 にて鑑賞)
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