入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「早春」 (16)

2017年03月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 焦点のボケた何とも締まらない写真だと言われるかも知れない。しかし、この景色を実際に目にすれば間違いなく感動する。咲き始めた山桜、背景には5月の青い空と、中央アルプスの残雪の峰々が連なる。目に染みる。
 牧場にはたくさんの山桜の木があるが、中でもこの桜は好きな木の1本で、毎年花の咲くのを楽しみにしている。また、左手に見えてる空木岳の山容の方が険しく、主峰の駒ヶ岳よりもこの山桜を引き立てて見せている。このころには、里ではとっくに桜の花は忘れられているだろうが、標高差1千メートル、約1か月の遅れで、花の季節が追いかけてくる。

 ここまで書いたら、北原のお師匠から電話が入った。6月のコナシの花の咲くころに入笠へ、10名ばかりを案内して来たいという。本家・御所平峠から高座岩へ行き、北原新道を下り、テイ沢を夫婦ガ淵辺りまで案内し、そこで引き返し、入笠の山腹を車で巻いてヒルデエラ(大阿原)までのコースだと言う。昼飯の話になったから、たまには小屋を利用したらどうかと言ってみた。「お茶か味噌汁ぐらいは用意するから」とも。そしたら師には時代遅れの山小屋は全く想定外だったらしく、それで話がトントンと進み、決まった。
 お師匠はいろいろと気遣いの人だ。これまで何度となく人を案内してきたけれど、「当牧場を〝有料利用″する話は一度もなかった」と、そう、何かの時に冗談めかして弟子が言ったらしい。どうもそのことが頭の中にあって、即決してくれたようだ。
 幾らの金額でもない。それでも、そういう些細なことにこだわって、小屋もキャンプ場も守られていくのだという気持がある。大げさに言うなら、信念だ。当然、山小屋をお師匠様ご一統に利用してもらえれば、張り合いにもなる。
 私生活では、缶ビール1本がいくらかも知らない。当然、花も樹木も、鳥も星の名も知らない。音楽についても、知らない。そうやって過ごしてしまった。それでいて、牧場のことになると「信念」などという言葉まで出てくる。「執念」とか「妄執」とかの方がふさわしいかも知れない。
 
 贅沢な時を常念岳の麓で過ごした。ウン十年経ってもますます元気で健啖なご婦人3名、少し押され気味の元腕白少年3名、愉快でありました。ET子さん、メールありがとう。
 
コメント
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