入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「冬」 (11)

2019年11月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうで7か月の契約が終わり、牧を閉ざす日が来た。大晦日よりか、きょうの方が一年の終わりを感ずるし、人を待たない歳月の経過を重く感じている。
 
 今春初日、春の雪に阻まれてド日陰の手前で車を捨てて歩いた。思いがけない雪掻きが仕事始めとなった。6月、今年は待ち望んでいたコナシの花が一斉開花せず、クリンソウも鹿にやられた。牛は50頭ばかりが上がってきたが、雄牛にはかなり手を焼くことに。CMや映画の撮影などが入り、牧場の経営を助けた。夏、秋と悪天には泣かされ、キノコが駄目だったのもそのせいだっただろう。そして台風、今年は牛を早めに下したから良かったが、牧場外の被害も甚大だった。

 キャンプ場と山小屋、今年も懐かしい顔、新しい顔、いろいろな人たちが来てくれた。待っていたが来なかった人もいれば、逆に幾人もの新しい出会いもあった。時には野生化と加齢を忘れて、一緒に楽しんだ。
 近年、野外生活の快適さを求め、便利な道具が次々と現れて、街の暮らしと変わらないような過ごし方が可能になった。しかしここは標高2千メートル近い山の中の牧場、鹿もいればタヌキもいる。クマだって姿を見せることもある。そういう森の先住者がいる自然の中だということを、忘れないでいて欲しいと思う。
 まだまだキャンプ場にも小屋にも課題はある。できる範囲のことはそれなりに努力しているが、ただそれでも、ここにしかない広大な自然や、深い平安が足りない分を補って余りあると思っている。

 同じような一日いちにちが過ぎていく間に春、夏、秋と季節が巡り、きょうが来た。この一年を振り返り、悔いはない。山室川、牧場、テイ沢、大きな空、遥かな山並み、そして夕暮れの山路と、どれを取り上げても帰らぬ時を委ねるに値した。粗末に過ごした日など一日もなかったと、去っていった日々に言ってやりたい、感謝をこめて。

 T口さん、返信が遅れてすみません。人数に関係なく、年末年始の営業は間違いなくやります。愉快にやりましょう。湘南UBSさま、11月30日からの1泊2日の小屋での忘年会、しかと承りました。似たような計画、できるだけお受けします。
コメント
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